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青春  作者: 狸寝入り
1/6

ラブレター

(こ、こ、これはーーーーーー)

朝、下駄箱を開けると手紙が入っていた。

(いや待て、待つんだ。山田忠信やまだただのぶこれはあれだ、夢だ)

自分のほっぺたを摘まむ。

(うん。痛い)

「何やってんだ、山田」

「ふぇ、な、な、なんでもないでござるよ。菊池殿」

クラスメートの菊池が話しかけてきたので、慌てて、手紙を後ろに隠す。

「もうすぐ予鈴だぞ」

「すぐ行くでござるよ」

そう返すと、菊池は去っていた。

(よし考え直そう。そうだこれは、いたずらだ。うん、おちゃらけ者の安達の仕業だな! いや待て、スンスン。なんかいいにおいするぞ。これは本物だ)

そこから小生は、タイムスリップしたようだ。

気が付いたら、昼休み。トイレにこもって、手紙を開封する。

(お話があります。放課後体育館裏に来てください)

「しゃーーーーー!」

手紙を握りしめて雄たけびを上げた。

「さあこい、青春」

行き良いよくトイレから出る。

そこから、国語、数学とこなし放課後。猛ダッシュで体育館裏に行く。

体育館裏には二人の女子生徒がいて、一人はクラスの花の椎名まひるちゃんでもう一人は、金髪のギャルだ。

小生に気付いて、二人が視線を向けた。

何やらギャルが、まひるちゃんの肩をたたいている。

(しゃしゃ、しゃんなろー。これはまひるちゃんからの告白じゃねえか。よし、男忠信自分から行くであります)

「あ、あの」

「待ってまひるちゃん。小生から言うであります」

「え?」

「好きです。付き合ってください」

(どうだ。見たかこの男らしさ)

「ごめんなさい」

「え? どうしたでござる?」

「悪ぃ、間違えて私が手紙を入れたんだよ。ぷぅ、ふふ」

「笑ったら駄目だよハナちゃん。ホントにごめんなさい」

「そうだったでござるか……これは失敬。小生の早とちりでやんしたね」

そう言って立ち去ろうとしたら……

「まてよ。こいつ、サッカー部キャプテンを狙ってんだよ」

「ちょっハナちゃん」

顔を真っ赤にして、まひるちゃんが止めようとする。

「まあまあ。今度の土曜日開いてるか?」

「え、開いてるでござるが?」

「なら、一緒に遊園地いくぞ」

「はい?」

「察しが悪いな。まひるとキャプテンのデート助けんだよ」

「はぁ、小生。今、フラれたばかりでやんすが……」

(早くこの場を去りたいでやんす)

「迷惑だよね……」

まひるちゃんがぽつりと言う。

「いやーちょうどよかったでござる。小生、丁度行きたかったでやんす」

「お、乗ってきたな。じゃ、土曜日忘れんなよ」

「ありがと。気持ちは嬉しかったよ」

そう言って二人は去っていき、姿が見えなくなる。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ~。ちっくしょう! 世の中やっぱり顔でやんす」

小生は泣きながら走って帰った。

(完)?





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