ラブレター
(こ、こ、これはーーーーーー)
朝、下駄箱を開けると手紙が入っていた。
(いや待て、待つんだ。山田忠信これはあれだ、夢だ)
自分のほっぺたを摘まむ。
(うん。痛い)
「何やってんだ、山田」
「ふぇ、な、な、なんでもないでござるよ。菊池殿」
クラスメートの菊池が話しかけてきたので、慌てて、手紙を後ろに隠す。
「もうすぐ予鈴だぞ」
「すぐ行くでござるよ」
そう返すと、菊池は去っていた。
(よし考え直そう。そうだこれは、いたずらだ。うん、おちゃらけ者の安達の仕業だな! いや待て、スンスン。なんかいいにおいするぞ。これは本物だ)
そこから小生は、タイムスリップしたようだ。
気が付いたら、昼休み。トイレにこもって、手紙を開封する。
(お話があります。放課後体育館裏に来てください)
「しゃーーーーー!」
手紙を握りしめて雄たけびを上げた。
「さあこい、青春」
行き良いよくトイレから出る。
そこから、国語、数学とこなし放課後。猛ダッシュで体育館裏に行く。
体育館裏には二人の女子生徒がいて、一人はクラスの花の椎名まひるちゃんでもう一人は、金髪のギャルだ。
小生に気付いて、二人が視線を向けた。
何やらギャルが、まひるちゃんの肩をたたいている。
(しゃしゃ、しゃんなろー。これはまひるちゃんからの告白じゃねえか。よし、男忠信自分から行くであります)
「あ、あの」
「待ってまひるちゃん。小生から言うであります」
「え?」
「好きです。付き合ってください」
(どうだ。見たかこの男らしさ)
「ごめんなさい」
「え? どうしたでござる?」
「悪ぃ、間違えて私が手紙を入れたんだよ。ぷぅ、ふふ」
「笑ったら駄目だよハナちゃん。ホントにごめんなさい」
「そうだったでござるか……これは失敬。小生の早とちりでやんしたね」
そう言って立ち去ろうとしたら……
「まてよ。こいつ、サッカー部キャプテンを狙ってんだよ」
「ちょっハナちゃん」
顔を真っ赤にして、まひるちゃんが止めようとする。
「まあまあ。今度の土曜日開いてるか?」
「え、開いてるでござるが?」
「なら、一緒に遊園地いくぞ」
「はい?」
「察しが悪いな。まひるとキャプテンのデート助けんだよ」
「はぁ、小生。今、フラれたばかりでやんすが……」
(早くこの場を去りたいでやんす)
「迷惑だよね……」
まひるちゃんがぽつりと言う。
「いやーちょうどよかったでござる。小生、丁度行きたかったでやんす」
「お、乗ってきたな。じゃ、土曜日忘れんなよ」
「ありがと。気持ちは嬉しかったよ」
そう言って二人は去っていき、姿が見えなくなる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ~。ちっくしょう! 世の中やっぱり顔でやんす」
小生は泣きながら走って帰った。
(完)?