お伽噺のように
昔話をお伽噺のように語ろう
色褪せた景色が
紡ぐ声音で甦るように
昨日と今日が繰り返して
すっかりお茶が冷めた頃
日記の頁の端には
乾いた染みがついていた
群星の中から一つだけ
選び取ろうとしたあの日
見下ろしたのは私を笑う
脈打つ幾千もの光でした
思い返せば
日々は青い夜
朧気な雲に覆われて
通わぬ心を取り出しては
ぬるい風に靡かせていた
折った頁に消しゴムのあと
書いた言葉だけいつまでも
忘れられずにいるのです
歪んだ文字に付け足す言葉を
未だ書きあぐねいているのです
小さな傷が織り成す
喜劇には哀しみが付きもので
それでも語り出してしまえば
ありきたりな話になるのだろう
まるで夢物語のように
暗闇から朝焼けへと渡しても
紡ぐ声音の青い
昔話をお伽噺のように語ろう
今には遠く
私には苦しいほど近いから