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冒険者と聖女  作者: 弓場 勢
序章 虹色の面影
1/50

00 Prologue

2020/03/12 内容は重いけど作者の頭はこんな感じなので

楽しんでいってください。

\(^o^)/

 そこは戦場跡だった。

 分厚く、黒い雲に覆われた空。

 戦闘の傷跡残る朽ちた神殿。

 (ひび)割れて面影すら残らぬ神殿の中央に、少年は一人座り込んでいた。


 左右の手のひらの中にあるのは一本の杖と首飾りだ。杖は半ばから折れ、首飾りの紐に通された虹色の石は輝きを失っていた。


 雪のように真っ白な髪が木枯らしに弄ばれ、蒼天を映した瞳は今や曇天に覆われている。

 心の支えだった親友は、魔神との戦いで灰すら残さず消えた。

 少年――ルークは手の中の親友の形見(首飾り)をぼうっと眺めた。虹色に輝く綺麗なだけの石に紐を通しただけのもの。

 ルークが親友へと送った最初の贈り物。

 

「魔神は倒したじゃないか。なのに何で……俺はお前を……」


 血が滲むぐらい右手を握り締めた。

 伽藍堂だった心にどす黒い炎が灯る。

 小さな炎はやがて大火に変わり心を覆い尽くした。


「どうして!! どうしてッ!!」


 右手で地面を殴る、殴る、殴る。

 無意味なことと知っていながら繰り返した。血に濡れた右手。

 その甲には十字の剣を模した紋章が刻まれていた。それは夜を照らす月の様に煌々と神秘的な光を放っている。


「なにが勇者だ……。なんもしてやれなかった、誰も救えなかった!! こんなモノが無ければ誰も失わなかったのに!!」 


 親友と一緒に勇者として人類の敵である魔神を倒したのだ。英雄譚の幕は「めでたしめでたし(ハッピーエンド)」の言葉と共に降りるはずだった。


「ふざけるなッ!!」


 心の中で燻る激情の全てを拳に込めて吐き出した。皮膚が破れ、真っ赤な血が舞った。

 冷たくざらざらした風が嘲るように頬を打つ。傷口がじゅくじゅくと痛み、灼けるように熱い。


 ――ザッザッ


 血の匂いに誘われてか、はたまた美味しそうな獲物を見つけたから。背後から硬い地面を蹴る音が聞こえた。


 振り向けば白い体毛に全身を覆われた猿の魔物がルークを睥睨(へいげい)していた。涎を垂らし、長い両腕を嬉しそうに左右に揺らしている。ともすれば口元も笑っているように見えなくはない。


「はっ……はは。慰めに来たのは魔物でしたってか?」


 自分と同じ白い体毛()に青い瞳。鏡写しのようにそっくりな色合いの魔物の双眸がルークの姿を捉えていた。

 気味が悪く見た目も醜悪極まりない。そんな白猿の瞳に自分の姿が重なった。


 ベルトに差した武器に視線を移す。それは片刃で特徴的な反りを持つ、刀と呼ばれるもの。自暴自棄になっていても体はいつも通り動くようで、鈴の音を鳴らして鯉口を緩め――抜刀。


 全身が悲鳴を上げている。骨は軋み、筋肉は痙攣していた。鉄で出来た左腕(義手)は油を挿していないせいか、ぎぃぎぃと頼りない音色を奏でている。


 できる事なら逃げ出してしまいたい。

 惨めったらしく泣き喚いてしまいたい。

 けれど、それを実行しようとは思わない。今はとにかく溢れる衝動に身を任せてしまいたかった。


「来いよ。真っ二つにしてやる」


 全身の痛みが判断を鈍らせた。斬っては殴り飛ばされ、噛みつかれ。

 結果は子供のチャンバラより酷い泥試合だった。それでも最後は勝った。勝てたのだ。

 ボロボロで、例え内蔵の殆どが傷付き、骨が幾本か折れていようとも勝てたのだ。


「もっと、強くならなきゃ……」


 世界に溢れる〝姿無き隣人〟達はそんな彼を見守り続けた。

 勇者と呼ばれた少年の姿を。

 力に飢えた青年の姿を。

 

「強くなるんだ。もう一度君に会いに――――」


 陽の光さえ遮る暗雲に向けて手を伸ばして、時すらも曖昧なこの地でその名を呼んだ。


「――――アリス」

始めましての方はこんにちは、こんばんわ。

弓場 勢です。

当方の処女作は如何でしたか?

文章が鋼のように堅い? 処女作なので許してください。

感想お待ちしております。感想くれたら咽び泣きます。

もちろん喜びで。( ੭ ᐕ)੭


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