数珠丸と骨喰
決闘から3年後
突然父上の部屋に呼ばれた俺はいそしそと執務室に向かっている。
「父上シンです」
「入れ」
「はい失礼いたします」
「ご用件はなんでしょう。」
「シン二人の時はかしこまるな」
「わかったよとうさんで要件ってなに?」
俺も13になり公の場や使用人の前などではとうさんかあさんに敬語を使うようにしている。
いくら親ばかでも貴族のしかも公爵家のものとして最低限の礼節はわきまえている
二人ともすごく嫌がったがなんとかこの状況に納得させている。
「シン。本当に俺は嫌なんだ、行かせたく無いしお前には必要の無い事なんだが・・・・」
「なんだよ!」
「学校に行かなくてはいけないんだ。」
「あー学校かーなんの学校なの?剣術?」
「いや魔法の学校だ。今や戦闘の常識は魔法だ、剣術などひと昔前の遺産だというものさえいる」
「へぇ剣術俺は好きなのにな実際今だにアーサーは俺に勝て無いぜ?」
そうあの日からアーサーとは毎日のように一緒に鍛錬している。
この世界にきて初めてできたマブダチってやつだな。
今ではあいつは領民に優しい次期当主として超領地で人気だし性格もだいぶ良くなったウゼェけど。
「シン、お前の師は俺だ。王国最強剣士の俺そしてお前は今俺に勝ち越している悔しいけど・・・」
そう言ってとうさんは少しいじけてみせるけど完全に手を抜かれていると俺は思ってる。
とうさんは絶対何か隠している。
「まぁわかったよそれでいつからなんだ?」
「明日だ荷物の準備など全部終わっているちなみに寮生活になるからこれから3年間は帰ってこれ無いからな」
「は?」
「ん?」
「かあさんは知ってるのか?」
「知ったらお前を行かせるわけが無いだろ?だからお前にも今日言ったんだが」
かあさんの最近の俺への依存振りは異常だそういう事ならしょうがないだろう
「でも明日からで今日出るのは早くないか?」
「なに言ってるんだ学校は王都だぞ」
「王都か初めてだな楽しみだ。それじゃ行くとするか」
「シン。型だけはなにがあっても使ってはいけ無い。自分もしくは人の命がかかった時だけだ」
「わかった。心に留めておくよ」
「うむ。ならこの剣をお前にやろう」
「これは?」
「こいつの名前は”数珠丸”と”骨喰”」
異様な雰囲気を持つこの世界では見たことのない日本刀をとうさんは出してきた。
数珠丸は白く美しく言うなれば宝剣と言える
骨喰は黒く柄もあまり綺麗ではなくほつれが見える
「”宝刀数珠丸”と”妖刀骨喰”俺が戦時中愛用していたニホントウという剣だ東の国の小国が作ったものだがかなりの業物だぞ。数珠丸はその名の通り美しく切断面も血管が切られたことを感じない程綺麗に美しく敵を切り骨喰はなんでも喰らい尽くすように切るよりも削り取るように切ることができる残酷無比な剣だ。二つとも使い手に技量がない場合はすぐに折れてしまう。今のお前なら心配なかろう。」
この世界にも日本刀があるのかそれにしても妙に心を惹きつけられる。
男としての性なのかそれともこのなんとも言えない雰囲気なのか・・・
「ありがとうとうさん。もらっていくよ」
「お前は魔法が一切今使えない。お守りだ」
「わかったよ。では行って参ります」
「強くなってこい」
そして俺は執務室を出て王都に向かう馬車に乗り込んだ。
「あれ?あなたシン知らない?買い物にでも行ったのかしら。」
「あー学校に行ったよ・・・・・」
「はい?」
この後とうさんは見たことないかあさんの形相を目にし死よりもひどい仕打ちにあったそうな・・・・・