第十一章 対決
ジョーとストラードは、睨み合ったままでいた。
「ストラード、親父とお袋の仇、討たせてもらうぜ」
ジョーはサッとストラッグルを構え、撃った。光束がストラードに向かう。
「愚か者め!」
ストラードの眼がギンと輝き、右手が突き出された。ジョーは目を見開いた。
「むっ?」
ストラードの掌で光束は消滅した。
「バカな……」
ジョーの額を汗が伝う。ストラードはニヤリとし、
「これがビリオンス・ヒューマンパワーと言うものだ。お前と私では、格が違い過ぎる」
「……」
ジョーは呆然として何も言い返せない。
「とは言え、お前は危険だ。その潜在能力には、計り知れないものがある」
ストラードはジョーを睨みつけ、
「だからこそお前を利用し、銀河系の再統一を果たそうと考えたのだ」
「再統一だと?」
ジョーは眉をひそめた。ストラードは右手を下ろして、
「そうだ。お前を動かせば、必ず狸がお前を引き入れようとする。更には他の反乱軍も、お前を味方にしようと動き出そう。銀河は一気に混乱し、戦乱の世となる。そうなれば、帝国の巻き返しも可能だ。再統一も夢ではない」
「そう簡単に事が運ぶものかよ」
ジョーはフッと笑った。するとストラードはニヤリとして、
「その通り。お前は私が思っていた以上の男だった。狸もお前を完全に操る事はできなかったらしいからな。だから予定を変更した」
「変更だと?」
ジョーはストラッグルを下ろしかけた。
「そうだ。やはりお前には死んでもらう。今すぐ、ここでな」
ストラードはサッとステルスを構えた。
「何?」
ジョーは咄嗟にストラードの行動の異常さに気づいた。
(妙だ。奴は火器を持たないはず……。一体これは?)
ステルスから無数の光球が放たれ、ジョーに向かう。
「くっ!」
ジョーは光球をかわし、床を転がった。
「ストラード・マウエルゥッ!」
ジョーはサッと起き上がり、片膝でストラッグルを構え、撃った。
「グバァッ!」
ストラードは光束を胸の真ん中に食らい、後ろに飛ばされて倒れた。ジョーは立ち上がって、
「偽者め」
「見破ったか……」
ストラードの偽者は、口から血を流して半身を起こした。ジョーはホルスターにストラッグルを戻して、
「ストラードは銃は使わねえんだよ」
「なるほどな……」
ストラードの偽者はニヤリとした。
「何がおかしい?」
ジョーは偽者を睨みつけた。偽者は、
「もうすぐここは大爆発を起こす。この皇帝宮そのものが、お前に仕掛けられた罠だったのだ。お前はここで死ぬのだよ、ジョー・ウルフ! アーハッハッハ!」
と高笑いした。ジョーは舌打ちをし、
「何ィッ!?」
ドガガーンと凄まじい轟音が聞こえて、天井が崩れ落ち始めた。
「グギャーッ!」
偽のストラードはその天井の下敷きとなり、絶命した。ジョーは落下して来る破片をかわし、宇宙艇に走った。
ドゴワーンと大爆発が起こり、皇帝宮は吹き飛んだ。そのすぐ外にバッフェンが転がり出した。
「何だ、何事だ?」
彼はジョーの宇宙艇が炎の中から飛び立つのを見た。
「おのれ、ジョー・ウルフ、生きていたのか!?」
バッフェンは立ち上がって走り出す。
「ストラードめ……。本物は一体どこだ?」
ジョーがタトゥーク星上空を飛行していると、
「ジョー、すぐに帰還しろ。帝国の外周艦隊の反撃で、我々は壊滅寸前だ。撤退する」
ケン・ナンジョーの連絡が入った。
「わかった……」
ジョーは炎上する皇帝宮を睨み、一気に上昇した。