表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鏡の国のアルカバル  作者: ストック
2/2

〇〇 門と壁

 ―――芹沢戒が次目覚めた時にまず目に入ったものは、大きな門と城壁だった。


 ―――なんだこりゃ。

 錆が出ているが、それでも強固そうな金属の門。そして、その横にまっすぐにのびる石とレンガを複雑に組み立てた壁。

 そして、その門に大きく“B2”と書いてある。


 なんだこりゃ。


 あの仏像は「異界の地」といっていたが、Bも2も前の世界にあった字である。異界への転生だと考えたらもう不審な点だ。



「B2……」


 ぱっと思いつくのは鉛筆の固さだが、

 そもそもここは異世界。鉛筆があるかどうかが謎だ。


 逆を見ると、門の前には大きな目抜き通りになっており、その左右には様々な建物が建っている。そのほとんどが木造で、現在の日本の建物とは構造が違うことが見ただけでわかった。

 どちらかといえば西部劇とか、そっちに出てくる街並みに似ている。



 ―――少しわくわくしてきたぞ。

 と、思う反面、この世界で生きていかないといけない不安もある。


 この街がいわゆる“B2”なのか?それとも、“B2”とは別に意味があるのだろうか。




 街には行商人や主婦、農夫など様々な格好の人が行き交っている。

 話を聞いてみて、まずは情報を得たほうがいいだろう。


 が、そうなった時にかんがみるのはこの格好である。



 あの仏像。ご丁寧に、シャツとパンツのみの格好でこちらに送ったらしい。


 この格好で誰彼かまわず話しかけて大丈夫だろうか。自分自身も恥ずかしいという気持ちもあるが、保安官みたいな人に捕まってしまうのかもしれない。


 ふと、道の端でよたよたと進んでいる老人を見つけた。


 ぼろぼろの布を一枚体にまとい、重そうな麻袋を背中に担いで進んでいた。背骨は曲がり、顔はヒゲだらけ、何ヶ月も洗ってないかのような汚らしい姿だった。



 ―――あの人なら自分のこの姿に似ているからいけるんじゃないか。


「すみません」

「んあ?」


 老人はゆっくりと振り返る途中で体勢を崩した。戒はあわてて駆け寄り、麻袋を支える。


「唐突にすみません!ここがどこか教えていただきたいのですが」


 麻袋をそのまま担ぎ上げながら単刀直入に話に入る。


「ここがどこかだって?」老人は目を丸くしながら答える。「ここは、B1最南の街。ホメラナイトだが……おぬしは誰じゃ?」


 B1最南の街だと。“B2”ではないのかここは。

 思っていたあてが外れると同時に、B2が何かが少しわかった気がした。

 つまり、ステージ名なのだ。

 ここは、始まりのステージ“B”の中の“1面”なのだとしたら。

 そして、ここで行われることを乗り越えた先にあるのが“2面”だとしたら、ここは最初の目的は“B2”に行くことなのではないか?


 全て推測の域だが、信憑性はそれなりにあるような気がする。



―――そして私は……

 正直に答えても信じてもらえる保障もなく、なんと言うべきか非常に迷う。

「私は、北の方から来た旅人だ。こんな大きな壁を見たのは初めてだ。ここがどんなところかを知りたい」

 怪しいことを言っているだろうか……しかし、核心を突いていかなければ解らないことばかりだ。


「北……もしかして、おぬし、外から来たのか」

 老人は怪しむように戒の全身を見た。

「よかろう……こちらに来い」

 そう言うと老人は路地裏の方に入っていった。


 あわてて追いかけていくと、人目につかないところまで来て、老人はきびすを返し、戒に向き合った。




「わしの名はアルカバル」

 老人は麻袋を置き、背筋を伸ばした。途端、今までの印象がガラリと変わった。


 すっと伸びる背は、戒よりも高く、全身は細いが鍛えられた筋肉に覆われていた。


 顔はヒゲだらけで相変わらず汚らしいが、その奥から覗く双眸は力のあるものだった。




「元、勇者だ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ