1話 人生は9割9部9厘が苦
「なんか自分で書いてて泣けてくるな」
俺は今
『俺の名前は田中拓海!ピッチピチの中学3年生だZO☆」
という書き出しで日記を書いている。
書く事といっても面白いことなんてほとんどない、いっつも日直の時に面白かったことのスピーチとかさせられるけどあれっていじめだよね?完全に先生俺のこといじめに来てるよね?
俺が話せることなんてあだ名に関することくらいしかない。
小さい頃から順に代表的なのを上げると
タコ坊⇒パンツマン⇒アメーバ⇒ボニョッチミ
という感じだ。
いろいろ酷いが一から説明していこう。
まず「タコ坊」。
これは幼稚園の頃にみんなから可愛がられて付けられたあだ名だ。
自分で言うのもなんだが小さい頃の俺はだいぶかわいい子供だと思う、なんかたこみたいにまん丸で気が弱くてひょろひょろってしてた。なのに・・・・・
「・・・・・・・どうしてこうなったんですかね?」
やはり時というのは残酷だ。
どんなに可愛い女の子でもババアに変え、どんなにかわいい子供でも俺みたいな変な奴になる・・・・・・・いや俺みたいになる奴はほとんどいないな。
それ以外にはゴボウとか言われてたな、まあこれは背が高くて痩せてるからこうなったワケなんですが今鏡を見るとほんとにそんな時代があったのか不安になる。
そんで「パンツマン」。
これはいたずらでいきなり後ろからズボンを下げるっていうのがあったんだがその被害に俺の一つ下の学年の教室の前であったんだよ。
もうね・・・・・ホント自殺したくなったよ・・・・・
この時期には他に「太ったスカイツリー」とか「ウンコマン」言われてたな。
「ウンコマン」はまあトイレでウンコしたからこうなったわけだが自分のクラスにウンコマンがあと3人ほどいたから気にならなかったな
ほいで「アメーバ」。
・・・・・まあクラスに一人いたっしょ?
「ミドリムシ」とか「ミジンコ」とか「ミカズキモ」とかの微生物ががあだ名になる奴って。
俺のクラスではアメーバの俺、ミカズキモの山崎、とにかく気持ち悪いなんかの微生物の磯崎、アメーバラディオサの江崎で三大○崎とその他って呼ばれてたな・・・・・もうちょっといいネーミングセンスを持った奴はいなかったんですかね?
そして現在進行形で使われているあだ名「ボニョッチミ」の紹介だ!
このあだ名は何故か唐突に仲も良くなかったのに俺に電話をかけてきて仲が良いどころかほとんど話したこともないK君が遊びに来るよと俺に教えてきてよくよく聞いてみると「夢だったんだぜ☆彡」って話で俺の貴重な20分を奪い取った匿名希望のS君が考えてくれたあだ名だ!
とっても分かりやすく説明すると太っててキモい奴って意味。
おかげさまでど真ん中どストレートすぎて逆に傷つかないという新しい経験を積むことができましたよ、こんな新しい発見はいらなかったけどな
まあここまで見ると「あだ名のことだけで結構書けるじゃん、ばかなの?しぬの?むしろ死ね!」っていう声が聞こえてきそうだ。
でもさ、日記じゃん?未来の俺が見るわけじゃん?下手したら家族とか友達とかにも見られるじゃん?・・・・・友達いないけど・・・・・
まあそれは置いといてさ、嫌なことってすぐ忘れたいじゃないですか!何年も経って黒歴史思い出すとか嫌じゃないですか!
あだ名以外に書く事なんて走高跳で思ったより飛べてたから調子に乗ってたらケツで棒を踏み割ったとか帰る途中に目を瞑って自転車に乗る練習してて10秒行けたから次は15秒だって粋がってたら7秒くらいで横の下水道に落ちた話とかしかねえんだよ!
「やっぱ3日坊主どころか3分坊主くらいの俺が日記書くとかありえねえのかね?これやるから一緒になんか新しいことやろうと思ったんだけどな・・・・・」
俺はさっき買ってきたゲームを見つめる。
ゲームとは言ってもよくあるお話のごとく、ばーちやるりありてまっしぶりまるちぷれいあおんらい?とかいう難しいもんではなくただのゲームだ。
俺は誕生日プレゼントというのをもらったことがない。
その上お年玉も親父の第2の仕事のお金として搾取され続けたためパシリか修学旅行のお土産以外で自分で買い物ということをしたことがなかったのである。
そんな俺が中学3年生にして初めて自分で買い物をしたのである、そして記念すべき俺の買い物はこれ「日本クエスト」である。
このテキトーなネーミングがなんか親近感覚えるんだよな。
内容はそこらへんのRPGと一緒で、登場人物とか地名とかが日本っぽくなってるゲームだ。
そんなに出来が悪いわけでもなければ名作というわけでもない一昔前のゲームといった感じだ。
お金もあんまりなかったから1番安かったこれを買った。
「ま、気を取り直してやりますか」
そうして電源を入れると・・・・・
「グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!」
「ファッ!?」
いきなりでかい地震が起きた。
おかげで気持ち悪い奇声を発してしまった。
突然来てんじゃねえよ、P波はどうしたP波は。
「それより早く机の下に「ガコン!」グベッ!?」
そんな俺の頭に親父が災害の時のために使うために貯めていた小銭の大量に入った缶が落ちてくる。
(あのバカ野郎タンスの上に置くなって言ってたのによぉ・・・・・)
そう思いながらも俺はしぶとく生きる。
普通の主人公ならここで気絶するだろうが俺は生き残ってや「ドガッ!」
俺はもう一発缶の一撃を喰らう。
(・・・・・もう嫌や)
そうして俺は気絶した。




