皇帝
第二話目です……
ミステリーのあのドキドキ感、たまりませんよね~
零の前に現れたアホこと萩野仁、後述しますが彼は実は大企業の社長です。
思ってるほどアホではなかったですねぇ~
ガチャリと扉が開く。
「つぅ……」
扉を開けた瞬間に大量の光が流れ込んでくる。
しまった、目をやられた……相手の姿が見えない。
空いている手で顔を隠すがもう遅い。
足音からして向こうは3……いや4人くらいか。
「誰だ!」
こっちから威嚇する……。
向こうは向こうでこの事態を飲み込めてないのか動揺が伝わる。
「……見ない顔だね、君は……そうか、新入り。という事になるのかな?」
一人の男が喋りだした、声からして年齢は20歳後半だろうか?
目が見えなくても攻撃できる手段はあるのだが、男の言葉が気になったので大人しくしていた。
「……あんたらが、俺をここまで連れてきたんじゃないのか? 涼子さんを追っているのか?」
その言葉で向こうはキョトンとしたようだ……何やら向こうでひそひそと相談事を始めた。
「おい! 答えろよ! あんたらが俺を誘拐したんだろ」
しばらくした後、最初に喋った男が答える。
「フハハハハハ、よく気が付いたな小僧。その通り貴様は吾々に……」
スッパーーーンッ!
ものすごい音がした。
えっ? 何、なに? どうしたの?
目が見えないから状況が読めないんですけど……。
「痛いよ禅次」
最初の男が不満そうにする。禅次と呼ばれた男が答える。
「アホか、何適当なこと言ってるんだよ。見ろ、ビビっちまってんじゃん」
いや……ビビったのはあなたが人を殴ったからですよ、て言葉を寸前まで呑みこむ。
「萩野さんはいつも空気読めないですからね~」
「……まったく飛鳥まで、僕はフレンドリーに接してだね、こう緊張をほぐそうと……」
仁と呼ばれた男は何かまだ言いたそうだったが、禅次という男がそれを遮った。
「はいはい、分かったから。で、少年? もう光に慣れてきたんじゃないか? 俺達の事が見える?」
少年、というのは多分だが俺の事を指しているのだろう……光には先ほどからだいぶ慣れているため今ははっきりと目の前の人間の顔が見える。
「え、ああ、はい。だいぶよく分かります。で、貴方達は誰ですか?」
「まあまあ、そんなに焦んなよ少年。まず自己紹介は後回し……。とりあえず知ってもらいたいのは俺らは君の敵じゃあないよ。OK? 涼子さんって人の事なら俺らは関係ない」
禅次と呼ばれた男が優しい口調で一つ、一つ説明をする。
「あ~、OKです」
「よし、それじゃあ俺らはいったん戻るとするか……飛鳥ちゃん、少年にここの説明頼む」
「ちょっと待ってくれ、それは僕の役目だろう? 禅次」
「あ~、はいはい。萩野は俺達と一緒に少年の歓迎パーティーの準備を指揮してくれ。お前が説明すると怖がっちゃうだろ?」
禅次と呼ばれている男が他のみんなをチャッチャとまとめて元の場所に帰ろうとしている。
萩野が振り返って飛鳥と呼ばれた女性に忠告した。
「説明の役目は君に任せることにするよ……なるべく丁寧に説明してあげなさい」
「あ、はい。なるべく……がんばります」
そう言って萩野はぶつぶつと他の人間と一緒に帰って行った。
飛鳥と呼ばれた少女と二人きりで取り残されてから数十分沈黙が続いていた。
……気まずい……非常に気まずい……。
お互い何を喋っていいか分からない、飛鳥は飛鳥で説明するためのとっかかりがないのだろう……。
「あれでも悪い人じゃないんだよ」
「えっ?」
唐突に飛鳥が口を開いた。
「萩野さん、さっきの人」
「ああ」
理解する、確かに悪い人ではなさそうだった……アホなだけかもしれないが……。
「禅次さんが片腕みたいにサポートしてるんだけどね、一応ここのリーダーなんだよ」
マジか……アレでリーダーが務まるのか……。
「あ、紹介が遅れたね。私は及川飛鳥。19歳で大学生やってるの」
「えっと、俺は月城零志……高校二年生です」
JDか……年下だと思ってた。
「へぇー、零志君って言うんだぁ。零君でいいかな? 私の事は飛鳥でいいよ」
「えっと、じゃあ飛鳥さん? まあいつも『零』って呼ばれてるので気にしませんよ」
「よかった」
にっこりと笑う。笑顔が結構可愛いなと思ってしまった。
不覚にもドキリとする。それを気付かれないように無理やり平常心を装った。
「で? ここって、どこなんですか? 日本にあるの?」
その質問に対する答えは、予想外のものだった。
作者からしてみれば皇帝ってホル・ホースの事なんですけど……
このネタ分かったあんたはすごい!!