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人狼  作者: 枯野
序章終幕
7/13

崩落

はい、実はもう何話目か忘れました……えっ、六話目?


外伝を書く予定があります。

詳しいことが決まったら外伝製作に取り掛かります!

人狼の主人公以外の17人視点。

零志の母親視点、妹視点などの話もありますので、どうぞご期待下さい。

 結局、俺が掃除を終えたのはそれから一時間経ってからだった。

 

 汚すぎだろ……これ……。

 モノローグで流していいレベルじゃないよね? 

 モノローグで一時間とか簡単に言ってるけど、結構大変だったんだぞ……。

 Gを二、三匹追い払ったし。

 涼子さんの婚期がこない理由の一端を見た気がした。

 絶対言ったら殴られるけどな……。

 

「ふぅ……」

 ソファを改造した簡易ベットに寝転ぶ。ここからなら天井のシミがよく見える。

「疲れた、な」

 そう言ってみても俺しか居ないので反応が返ってくることはない。

 誰もいない中、一人ごちる。

 一人きりになるのは本当に久しぶりだ……。

 この頃はどこに行っても人がいた。

 朝、起きれば家族が待ってる。学校に行けばクラスメイトが待っている。

 昼には先輩が、そしてここでは涼子さんが……。

 それは、とても素晴らしいことだ……どこに行っても誰かが居るってのは。

 だけど……。

「所詮は他人だ……」

 家族だって俺には血の繋がりを意味する言葉ではない。

 クラスメイトも先輩も涼子さんも、所詮は他人。

 

 忘れた事はなかった、親父が死んでから俺に急に同情的になった奴等。

 何回か家に親父の同僚が来た。

 そいつらによると俺の親父を刺したやつはどうも「冤罪」で捕まってたらしい。

 いったいどこから漏れたのかこの話はたちまちマスコミに捕まった。

 マスコミは飯のネタとばかりに飛びついた。

 俺に同情的だった奴等は手のひらを返したかのように態度を変えた。

 そのときになって初めて知った「ああ、こいつらは結局他人だった」と。

 家のポストには中傷の手紙が毎日のように届いた、いたずら電話だって考えられないほどあった。

 今考えると義母はよく耐えたなと思う。俺達兄妹を見捨てずに育てた。

 義母の方の親族から再婚の話があったが、義母はあろうことか俺の事を考えて断り続けた。

 そのうちに再婚の話は来なくなったが……。

 惜しいと思う、その時はまだ義母さんは二十五歳だった。普通に再婚を考えられる年だ。

 そのことを義母に言ったら笑って「女の(ばつ)二はきついの」と返された。

 結局、最後まで頼りになったのは親父の残した「血の繋がらない家族」だけだった。

 

 マスコミや世間はあれからしばらくたって他の面白いネタを見つけてそっちに飛び移った……。

 そのうちに家に来る手紙の数はめっきり減ったし電話も掛ってこなくなった。多分興味が薄れたのだろう……。

 

 今は昔よりはマシだ、家に落書きされることもなければ鍵穴にガムを詰められることもない。

 それでも、俺はこの世界が嫌いだ。他者の不幸を喜び、他者の幸せを妬む。

 人間は醜いなと思ったりする。そうしてその人間である自分も嫌いだ。

 若さゆえか、それとも……。

 

 眠いな……明日は日曜だ、バイトを俺一人でやらなきゃいけないからなぁ。

 今日は早めに寝るか……そう思って、携帯に手を伸ばす。

 ……

 …………

 ………………

 あれ、おかしいな? 携帯に手が届かない。すぐそこにあるのに……。

 ふと、気付く。俺ってそんなに手が短いわけではない、と。

「……は?」

 驚愕した、手が無いのだから。

 いや、違う。手首から先が消えていた(・・・)のだから。

「なんだよ……これ」

 驚きのあまり声も出ない。

「ウソだろ、何なんだよこれぇ」

 段々と体全体が消えていく。

「なんだ……これ」

 声も出せなくなってきた。

「…………」

 最初に思ったのは俺はもう死ぬんだな、だった。

 それならそれでもいいかもしれない。どうせこの世に未練なんて無いんだから。

 唯一の心残りは家族に何も言わずに消えてしまう事……それと。

 先輩にも何も言わずに消えること、ぐらいか……。

「仕方ない……か……な」

 意識が薄れていく。思考がまとまらない。

 俺は観念したように眼を閉じた。

 闇が俺を包む。

 

 こうして俺は闇に飲み込まれた。

第一部完結です。

次回からは第二部です物語が一気に進みますよぉ~。


余談ですが作者はマスコミが大っきらいです。

表現の自由だとか知る権利だとかを振りかざして人を不幸にする職業だと思ってます。

偏見かもしれませんのであしからず。

真面目な記者の皆さまゴメンナサイ。

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