横断歩道
三題噺もどき―きゅうひゃくごじゅういち。
学校の塀沿いに植えられた桜が、紅葉している。
最近知ったのだが、桜紅葉というらしい。
なんとなく、綺麗な名前だなと思ったのを覚えている。
「……」
日差しは未だ熱く、秋なんて感じはしないけれど。
時折冷たい風が吹いてきて、どこかには潜んでいるのかなと。
朝晩はさすがに寒くなってきたし、去年程暑さは長続きしないのかもしれない。
「……」
道路を挟んだ反対側から。
シーソーを漕ぐ音が聞こえてきた。
こんな時間に遊ぶのは暑くないのだろうかと思ったが。
「……」
子供とその親、ではなく。
見慣れた制服を着た男子学生が遊んでいた。
さっさと帰ればいいのにそんなところで遊ぶなら。
「いつものコンビニでいっか」
「ん、」
隣には、あの子が立っている。
スマホと財布という必要最低限の荷物だけを持って、学校を出ていた。
まだ校門を出たばかりのところだけど。
信号のない横断歩道を渡るのに苦労している。
「……」
他に見かける生徒は同じようにスマホと財布のみだったり、鞄とリュックをしっかり持って帰路についていたり、それぞれだ。
基本的には帰る生徒が多いだろう。
車での迎えも来ている。よくもまぁそんなに飛ばして……。
「テストどうだった?」
「んーまぁまぁ」
今日から中間テストが始まっており、基本的には午前中で帰ることになっている。
その後は、家に帰ってもよし、学校で勉強してもよし。
という事なので、私はあの子が残るといえば残るし、帰ると言えば帰る。
ただまぁ、最近は残ることが当たり前になってきたので、帰るのはテスト最終日くらい。
「明日は結構楽だよね」
「まーたしかに」
今日は結構私的には面倒な教科が多かった。
数学がある時点でもうやる気もくそもないのだけど、選択科目がいくつか入ってきたのでそれもそれで……。私が得意だと言える教科なんてほんとに国語くらいしかない。
「てか、アレは何をしてるのw」
「しらないよ」
あの子がアレと言ったのは、先程見つけた公園で遊んでいる生徒たち。
今度はブランコに乗って遊んでいるようだ。
小学生でももっと大人しく遊ぶと思うが……遊びに大人しいも何もないだろうけど。一応、帰宅して自宅待機の時間なんだから、さっさと帰れとしか思わない。
こんな学校の目の前にある公園で堂々と……。ま、校外にでれば教師は関与してこないからな。
「あ、いこ」
「ぉ、ん」
運よく流れが止まり、反対車線の車が止まってくれたのでようやくわたることができた。
横断歩道に歩行者がいれば止まるのが当たり前だというが、この辺りは止まらないのが当たり前なのかと思うくらい止まることはない。
というか、止まってもじわじわと進んでくるから怖くて仕方ない。
「……」
今、止まってくれた車も、まぁ、じわじわと。
ブレーキ踏む力がないのだろうかと思うくらいに止まれない。
渡りきるのが待てないのならさっさと行ってくれればよかったのに。
その直前に止まっていたくせに進みだすのは何なのだろう。
「……」
まぁでもなんというか、見るからに運転が荒そうではある。
偏見で申し訳ないが、頭を丸めてサングラスをかけて車高の低い車に乗っている人が、丁寧な運転をしているとは思えない。
というか、車内の飾りが派手……初めて薔薇とか置いている人見た。どんな趣味?
「うわ」
「……」
こちらが渡りきると同時に、アクセルを全開にして走り出していった。
あと数秒遅かったら引かれていたのではないかと思うくらいのスピードで駆け抜けていった。ここはレース会場か何かか?たいしてゆっくり進んでいたわけでもない。むしろ気持ち早めに渡ったのに……。
「怖かったね」
「ね、」
どこの地域にも、あんな車いるんだろうか。
だから、交通事故って無くならないんだろうなぁ。
恐ろしいことだ。
お題:シーソー・紅葉・薔薇




