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彼と郵便局に行く

作者: WAIai
掲載日:2026/07/19

「郵便局に寄ってもいい?」


私が彼に聞くと、彼は「いいけど」と気軽に答えてくる。


下校途中で、太陽が人間を焦がそうとしているみたいに、猛暑だった。


「何か買うのか?」


彼が汗をハンカチで拭きながら、聞いてきたので、私は同じくハンカチを出し、あおぐ。


「切手を買おうと思って。ちょっ入ってもいい?」

「どうぞ。中に入れば涼めるしな」


彼が早く入りたそうなので、私はくすくす笑う。


「どうした?」

「いや、ライオンさんは氷が欲しいのかと思って」

「氷!?」


彼が吠えるように言ったので、私はまずかったかと思ったが、そのまま背中を叩かれる。


「動物園じゃあるまいし。うちのうさぎはたまに、不思議ちゃんだからな」

「えー!! 不思議ちゃん!?」


ぷーと口を尖らせる私を見、彼はにやにや笑う。

しかし喧嘩したいわけではないので、彼から手を取ってくる。


「行くぞ」

「うん!!」


私はうさぎが跳ねるように、階段を軽くあがり、中に入る。


窓口に向かうと、「あの!!」と話しかける。

受付にいたのは、童顔の男性で、私達と同い年に見えた。


「いらっしゃいませ」


声が可愛く、抵抗感がないというか、優しい印象を受ける。


彼はどうだろうとちらりと見ると、エアコンを眺めており、腕を組んでいた。


ライオンが涼んでいるよと思ったが、確かに郵便局の中は快適だった。


汗もひいてきて、匂いを気にしていた私は、ほっとする。

それから男性に向かって言う。


「デザイン切手が欲しいんですが…」

「はい。分かりました」


男性は嬉しいのか、裏表のない表情で言ってきた。

切手を取り出す間に、彼が私に聞いてくる。


「デザイン切手って、何だ?」

「あのね、普通の切手と違って、丸形とか大きいのとか、色んなサイズがあって、花火とか花とか、デザインも綺麗で可愛いの。見れば分かるよ」

「分かった。見てる」


彼は再び腕を組むと、横から見つめてくる。


私と男性は切手を間に向き合うと、並んだものを見つめる。


「うわ!! 可愛いし、綺麗!! どうしよう、どれにしよう!!」


私は1人で興奮し、彼を見上げる。


「どれがいいと思う?」

「どれって、俺のセンスじゃ…」

「いいの。好きな人が選んだものが欲しいの」


私は手をもじもじさせ、顔を少し赤くする。


彼が何を選ぶのか、興味があった。

少しでも彼のことを知りたいと思うのは、私だけだろうか。


彼はふっと笑うと、うなずく。


「分かった、分かった。選んでやる」

「本当!! やったあ!!」

「その前に、誰に送るんだ?」

「あのね、田舎の従兄弟。おじいちゃんやおばあちゃんにも手紙を送るつもりなの」

「そうか。それじゃあ」


ライオンは手を解放すると、窓口に手をつく。

まるで檻に手を置くみたいと思ったが、黙っておく。


「これ、可愛いな。秋の切手」

「うん。それ、いいかなと思ったんだ。あとは?」

「あとはそうだな…。この熊の切手もいいな。子どもが喜びそう」

「ポスクマね。確かに従兄弟が喜ぶかも」


私はカバンを開け、財布を取り出すと、

「これとこれ、ください」

彼が選んだ切手を購入するのだった。


「ありがとうございます」


男性は切手を袋に入れてくれ、会計を済ます。


「またよろしくお願いいたします」

「はい」


私は切手を大事に抱くと、彼の手を取る。


「行こう」

「おう」


2人が郵便局から出ると、砂漠に来たかのように、熱気が襲いかかってくる。


「うわ、むわっとする」


私は手を払うと、切手を汗で汚さないために、カバンにしまい、彼の手を引っ張っていく。


「スーパーで飲み物とアイスでも買う?」

「いいな、それ。行くか」


彼は嬉しそうに言い、私を引っ張っていく。


しかしすぐに足を止める。


「どうしたの?」

「あのさ」

「うん、何?」


私は1番の目的が達成されたので、心に余裕があった。


ゆっくり聞くと、彼が迷ったように言ってくる。


「俺にも手紙、書いてくれないか?」

「え?」


私は身長の高い彼を見上げ、しばし考えたが、すぐに彼の肩をぽかぽか叩く。

攻撃したいのではなく、嬉しさからだった。


「いいに決まっているじゃん!! すぐに書いてあげるよ」

「ありがとう。嬉しい」


彼が素直に言ってきたので、私は心から喜びの笑みを浮かべるのだった。




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