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どう説明したらいいのか



王様に、どう説明すればいいのか。


優斗は、気持ちが落ちて、顔にも生気がなかった。


カレンが口を開いた。


「ねぇ おかしいよ、会ったばかりのよそ者に大事な魔石を渡すなんて。

大魔導士さま~に託すといいのに」


「ひょっとしたら、王様は魔石の威力を、知りたかったんじゃない?」


優斗も、それを考えていた。


カレンがさらに言った。


「そういう薄情な王のもとに、帰らなくていいと思うわ」


「うん、そうだね。帰っても首ハネられそうだしね」


「でも これからどうする?」


歩きながら泉に来たところで、その美しさを愛でる余裕などなく、

思案するばかりだった。


「帰りたい」


カレンが、ポツリといった。


吹っ切るように、鈍色の箱から魔石を出して、それを泉に放り投げた。


ポチャン


「こんなものなくても、生きていけるよ」


「……え?」


「……ん?」


水紋を残して、深いエメラルド色の魔石が、水面を跳ねる。


そのあとをなぞるように、水は静かに割れ、一本の道となった。


そのさきに、黒い渦巻きが発生した。


湖の水が静まり、道が閉じかけた……そのときだった。


目だけだしたドラゴンが、こちらを見ている。


「待て」


ドラゴンは、低く、しかし穏やかな声で、優斗たちを呼び止めた。


「魔石は、地底湖へ戻った」


その言葉に、カレンは思わず振り返る。


「魔石が戻ったことで、我は本来の王宮へ帰る。おまえが泉に投げ入れたことで、

封印は解かれた」


ドラゴンは一拍おき、続けた。


「そして、あのスライムだが――」


優斗の胸が、わずかにざわつく。


「おまえが倒したのではない。本来は、我が王宮を守る番人だった」


「……じゃあ、あの焼けた森は?」


カレンの問いに、ドラゴンは視線を伏せた。


「魔石の怒りだ。長く封じられていた力が、地上へ溢れただけにすぎぬ」


沈黙が落ちる。


優斗は、自分が背負ってきたと思っていた重さが、少しだけ違う形をしていたことに

気づいた。


「すべては、魔石が、元の場所へ戻った結果だ」


ドラゴンが言った。


もとの世界へ戻るがよい。お前たちには、感謝しかない。

この道を歩いていけ。


ドラゴンはそう言って、湖へと身を沈めた。


真実を聞かされたまま、優斗とカレンは、元の世界へ続く道へと足を踏み出した。


あ……待て。


ドラゴンが、ふたりを引き留めた。


「……そうだ、忘れていた。少しだけ、整えておいた」


名前:白井優斗

レベル:25


体力:70→75

気力:50→55

気弱さ:98→97

厄介事の量:1200 →1201

覚悟:1


(会心の一撃は、ない)


スキル:

『開心』

相手が本音を言う。

言わなくていいことも言う。

愚痴も言う。

相談も持ち掛ける。


名前:カレン

レベル:25


気の強さ:100→100

身勝手さ:100→100

押し付け度:100→100

容姿:1200(盛られている)→120

親切心:1


スキル:

『引き寄せ』

いろいろ寄せる。

選べない。

翻訳 まだ不安定。


謎のスキル 未実装


じゃあな。


ドラゴンは、地底に戻って行った。


ふたりは、黒い渦巻きに向かって、歩いて行った。


***


そのころ、王宮では――


王は玉座の肘掛けを、苛立たしげに叩いていた。


報告は、どれも同じところで言葉を濁す。


魔石は戻らない。

森は消えた。

スライムも、いない。


原因は不明。

責任者も、不明。


「調査は、どうなっている」


王が問う。


「進めております」

「検証中でございます」

「詳細は、いましばらく」


誰も、嘘は言っていない。

ただ、誰も踏み込まない。


王は、深く息をついた。


「……よい。余計なことは、言うな」


「民が不安になる」


その言葉に、誰も逆らわなかった。


「魔石の件は、『自然現象 』として処理せよ」


「森については、『不可抗力 』だ」


「責任の所在は、……追って考える」


追って、という言葉に、期限はなかった。


玉座の間に、沈黙が落ちる。


王は、肘掛けを叩くのをやめ、ゆっくりと背もたれにもたれた。


「――問題は、解決した」


そう宣言して、会議は終わった。


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