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答えは闇の中



優斗は、一度深呼吸してから、ゴブリン隊長のほうを向いた。


「隊長……」


声が、少しだけ震える。


「ぼくたちは、ダンジョンのことも、ドラゴンのことも、ほとんど知りません」


足元の暗闇が、そのまま不安を映しているみたいだった。


「ですから……」

「隊長に、おまかせするしかありません」


ゴブリン隊長は、その言葉を聞いた瞬間――

目を、ぱちくりさせた。


そして、開口一番。


「シッテいる。シラナイ」


「……え?」


優斗が思わず聞き返す。


隊長は、指を折りながら、一つずつ説明するように言った。


「ウワサ。シッテいる」


「ダンジョン。ミチ。シッテいる」


少し間を置いて。


「ドラゴン。ミタコト、ナイ」


「ドラゴン、ワルクナイ。モグラ、イッテタ」


……情報が、多いのか少ないのか、分からない。


優斗は、頭がくらくらしてきた。


(つまり……)


(噂と道だけ知ってて、本体は見たことがない?)


(それで、任せろってこと……?)


喉が、ごくりと鳴る。


それでも、引き返せない。


優斗は、震える声で頭を下げた。


「……よろしく、お願いします」


一拍。


そして、思い出したように付け足す。


「ちなみに……」


「戦闘は、されるんですよね?」


ゴブリン隊長は、その質問を聞いた途端、さらに目を泳がせた。


「タマに……スル」


「ワレワレ、ヘイワ、スキ」


優斗の心臓が、嫌な音を立てた。


(『たまに』って……)


(基準が、分からない)


そっと、カレンのほうへ顔を寄せ、ひそひそ声でささやく。


「たぶん……僕たちも、武器とか、革の鎧がいると思うんだ」


その瞬間。


「ヤダッ!」


カレンが、甲高い声を上げた。


「そんな怖いもの、持ちたくない!」


「革の鎧って、オシャレなの?」


優斗は、言葉を失う。


だが、カレンは急に考え込んで――


「あー……でも」


「棒くらいなら、 持っててもいいわね」


「歩き疲れたときに、便利そうだし」


……完全に、用途が違う。


優斗の胸に、重たい雲が垂れ込めた。


(僕たちは……)


(なにをしに行くんだろう)


ドラゴン退治?

交渉?

それとも、ただの無謀な遠足?


ふと、胸元の奥を意識する。


(はぷんての魔石は……)


(本当に、僕たちを助けてくれるんだろうか)


答えは、まだ、闇の中だった。


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