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「りゅうほういん君は緑だったね、なんか意味があるのかな?」
全員の才与の儀が終わると斉藤さんが話し掛けてきた。
その苗字を呼ばせるのは非常に忍びない気持ちになるな……。
まあそれは置いておいて。そう、俺の色は彼女が言う通り緑だった訳だが。
「さ、さあ。どうなんですかね……、レアリティとか、かなって思って、ますけど」
異世界騒動のゴタゴタで忘れていたが俺は今、人生で一番女性に喋りかけられている。
人と喋るのが苦手な訳ではないが女性は苦手だ。
生まれてこのかた、ずっと地味男の俺には女性と話す機会など挨拶くらいしかなかったんだから仕方ないだろう。
二十二年間の内、年齢の近い女性とまともに関わった時間の累計が見れるとしたらきっとアニメ一話分の放送時間よりも少ないはずだ。
なのである程度の平常心を取り戻した今、女性に話し掛けられるというのは非常に息苦しい…………ていうのは嘘ですごめんなさい格好つけました普通に嬉しいです。
「さ、斉藤さんは紫でしたね。確か一番少ない色だったんじゃないかな……」
「そうなの? スゴい、よく見てるねー」
女性に褒められるというのは嬉しいものだ、ついつい喋り過ぎないように気をつけないとな。
「ち、ちなみに一番多かったのは緑の三十八人、そのつぎは青二十一人、黄色が十八人で、赤が十人、白が七人、紫は六人という振り分けでした。つまりここに召喚された日本人はちょうど百人て事になりますね」
「え、スゴい! 全部数えてたの? ていうかよく覚えられるね、りゅうほういん君頭いいんだね~スゴいスゴい!」
目を輝かせて褒めてくる斉藤さんは普通に可愛い。
いかんいかん、脳が次の褒められネタを探している。だいぶ舞い上がってるらしいぞ、落ち着け俺。
しかし地味系女子の斉藤さんに褒められただけでこの威力だ、キャバクラにハマる男の気持ちが少しだけ理解できた気がするよ。
「あ、また王様が喋りはじめたよ」
斉藤さんの言葉に、ちょっぴりほんの少しだけ名残惜しい気持ちで会話を終えた俺はイケオジの方へと視線向けた。
「才与の儀、誠にお疲れ様でした、ですがまだ皆様にはどのようなスキルが与えられているかは解りません! 今日の夜までには皆様の左手に、各々の能力の兆しが現れることでしょう!」
なるほど。通りで今のところ、どこにもなんの異変も感じない訳だ。
元の世界に帰すのが明日っていうのもそういうことか。
身勝手な奴らだとは思うが、元の世界に帰せるとは言えどうせ召喚したんなら全員のスキルを確認しておきたいというのは人情の常と言えるわな。
「明日までお過ごし頂くお詫びと言ってはなんですが、皆様にはそれぞれ個室を御用意しております! なお今からおもてなしの晩餐会の会場へとご案内致します! もうそろそろ夕食にはよい時間となっておりますゆえ、どうぞご堪能頂けますことを願っております!」
確かに腹は減った。
スキル習得も一人一人はすぐに終わるとは言え百人でやるのだからそれなりに時間も掛かったしな。
俺達は王の一向に連れられ女神像の部屋を後にした。




