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異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい  作者: よく知らんロボ
第一部 異世界にて

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 屍鬼グールが迫ってくる。

 二足歩行で寄ってくる奴、手をついて獣のように歩行する奴、ねじれた身体でヨロヨロしてる奴。

 見た目は同じでもスタイルは多種多様、色んなのがいるみたいだけどそんなことはよく考えればどうでもいい。

 問題なのはコイツらがいったい何匹いるかだ、かなり数が多い……。


 情けないけど、牌谷さんの後ろに隠れながら敵の数を数えてみる。

 目算では十数匹、だけどまだ影に隠れている奴らがいないとも限らない。


 これは逃げるべきか戦うべきか……。


 いや感覚を研ぎ澄まし気配を追ってみてわかった、どうやら四方八方から囲まれているらしい。


 もしかして魔族達がここに全くいないのってコイツらが原因か?

 見た目や挙動からしても魔族あいつらがファンタジーなら屍鬼こいつらはガチホラーだし、とても仲良しになれるとは思えない。


 くだらない考えを巡らせている間に、牌谷さんは次々とグール達の首を切り落としていく。しかしグールも負けじと次から次と影から現れ、その数はどんどん増えていく。


 でも数は多いようだが動きはたいして速くない。

 クックック、彼女のスキルをもってするならこんな奴ら、コンバインの前の稲穂に等しい。

 凄い、さすがです、牌谷さん!


 感嘆したのも束の間、まずいものも目に写る。それは頭を落とされ倒れているグール達だ。

 それらの首切断面からは黒い触手が伸び、自身の首を絡め取って着け直している。

 一匹、また一匹と、接着が終わった奴から立ち上がり、またこちらへと向かってくる。不死アンデッドは伊達じゃないらしい。


 だけど、そんなことよりも、牌谷さんの様子がおかしい……。

 呼吸が荒い、それにひたいからは異常な量の汗が流れ落ち、いつの間にか顔から血の気が引いている。


「だ、大丈夫ですか……!?」

「ハァハァ、平気…………やっぱウソ、ちょっとヤバイかも……。なんか解んないけど気分が……悪い……かな」


 なんだ、このグール共、毒でも使うのか……!? それなら……。


 咄嗟に自分の刻印に触れ、スキルログを開く。


 が、『毒物耐性』に関して特に何も表示されない。

 なら少なくともグールは毒を周囲に撒き散らすタイプではない。牌谷さんと一緒に毒をくらっていたら、スキルが分解なりしているはずだからな。


 彼女は力を振り絞ってグール達を迎撃しているが、この様子じゃたぶん長くは持たない。


 そうだ。


「エル、コイツらの特性を教えてくれ、毒の有無も」

「了解したんダヨ、なんか危なそうだから一旦おまえの中に入ってルヨ、その方が伝達が速いしネ。それとおまえ、キヅナちゃん死なせるナヨ」


 そう言うとエルは刻印から俺の身体に溶け込んでいった。


 お前に言われんでも解っとるわ……!


 などと考える間も無く、共有された情報が脳に刻まれる。


 どうやらコイツらは屍鬼グールという認識で間違いない。


 特徴に関して、知性はなく凶暴。首を落とされても死なない理由として、動いている身体自体はただの死体であり、本体は中に潜む怨霊の類いであるから。


 発生に関して、怨霊や地縛霊のようなものが生物の死体へと入り込み、操り、他の生物を襲うようになるのが基本の流れである。しかしそういった自然発生的なものもいれば、死霊術(ネクロマンス)のようなスキルで使役されている場合もある。


 主な対処法。光属性のスキルによって内部の怨霊を浄化するのが有効、もしくは死体を接合不可能なほどに損傷させることで物理的に倒すこともできる。ただしその場合、本体の浄化はできていないので周囲に他の死体が無いかを確認しておくのが肝要。

 また発生理由が後者の場合、術者を倒してしまうのも有効な対処法である。


 なお基本的には毒は有していない。

 元々毒を持っている生物が屍鬼グール化した場合はその限りではないが、人型のグールはだいたい無毒である。


 だいたいこんなところだ。


 人型は毒がない、なら牌谷さんの症状はなんなんだ……。

 まさか魔力欠乏症か……? いや彼女は普通に戦っていただけだ。それに戦闘開始からまだ五分と経ってはいない。闘技場での戦いぶりから考えても、こんなにいきなり欠乏症になるとは思えない。


 短時間でここまで疲弊するのは、よほど大量の魔力を一気に消費した場合だ。

 それは自分の身体で実証済みだから解る。


 でも今はそんなことを考え込む時間はない、すぐに彼女を休ませないと。


「変わります、俺の後ろに下がってください!」

「え……、ハァハァ、で、でも……ハァハァ」


 彼女は荒い呼吸でどうにか答えながらも、血の刃を動かしグール達を刻み続けている。

 これじゃいけない……。


「一旦スキルを止めて後ろへ、なんとかします」

「ハァハァ、か、考えがあるん、だね……ハァハァ、さすが、クロ君……わかった……よ……」


 血球達は主の元へと戻り、操血による攻撃が止まる。と同時に牌谷さんは地面に倒れ込んだ。呼吸はしている、それに僅かな目配せを見せているから意識も失っていないようだ。


 俺なんかのために、こんなになるまで……、ほんとに申し訳ない……。


 ちなみに考えは……ない。

 いや、まとまってないというべきか。


 それでも彼女は守る。


 策は戦いながら考えればいい。


 今度は俺の番だ。


 自分の事はよく知ってる。

 性格が良くないし性根しょうねも割りと腐ってる、けどそれでも恩にはきっちり報いるタイプだと自負している。


 牌谷さんには、お前らの汚い指一本触れさせはしない!


 …………ようになるべく頑張ります。

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