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異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい  作者: よく知らんロボ
第一部 異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい

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 戻った、のか、現実に……?


 うん、戻ってるな。


 聞き覚えのある魔王の台詞で確信した。


 「小娘が、貴様との約束など俺が守ると思ったか。ククク、馬鹿な奴だ」

「!? クソ野郎! 殺してやる!」

「できるならな。おい! 我が国民共よ! 聞け! 我が寵姫を害したその小娘、仕留めた者には何でも好きな願いを聞いてやる……」


 そう、ここだ。ここでなにかするんだったよな。


 えっと……、なにするんだっけ!?


 思考を未来から即行で切り替えるのって思ったより大変だな……。でもそんなこと言ってられない。思い出せ、思い出せ……!


 そうだ魔族達の視線が一斉に魔王に向けられたこの直後、魔王が背を向ける。


 ここだ!


『接触により潜影が解除』


 そうだスキルを解いて、彼女を隠すならここだった。


「っ!?」


 女闘技者は急に手を握られ驚いている。


 もちろん握ったのは俺だ。


「あんた誰──」

「しっ……! 静かに……! 話すなら小声でお願いします……」


闇の手(ナイトレイド)スキル、“潜影”、効果二を発動』


 その直後に発せられた魔王の号令は──。


「殺せ!」


 ──俺たちが消え去った後に虚しく響き渡った。


 魔族達が視線を戻した頃にはリングはもぬけの殻だ。

 まあ潜影の効果二、『接触している相手も一緒に認識阻害状態にできる』を使っただけなのでまだ全然その場にはいるんだけども。


 女闘技者が指示通りに小声で話しかけてくる。


「あんた、何者……?」

「説明している時間はありません。聞きましたよね、魔王は貴女を元の世界に戻す気なんかありません」

「そりゃあ、わかってるわよ……」

「お願いします、事情は後でいくらでも話すので今は指示に従ってください」

「な、………………わかった。なにすればいい?」

「助かります。貴女の血のファ……血液操作の球体を出して、できるだけ奴らの目に止まるように動かしてみてください」

「はぁ? いや…………わかったわ」


 女闘技者は半信半疑な顔のまま、まだ閉じていない手の傷から血液の球体を造りだし周囲に展開させ大きく回転させて見せる。


「おい、誰もいねえぞ?」

「なんだ!? さっきまでいたはずだ!」

「いったいどこ行きやがった?」


 ついさっきまで殺気だっていた魔族達が戸惑い、ざわついている。

 その様子に気付き、振り返った魔王も何が起こったのか解らず動揺を隠せないと言った顔だ。ざまぁ!


「ねえ、なんかおかしいよね? ウチらもしかして見えてないの?」

「はい、俺のスキル効果です。なんならいま貴女あなたが出している血液の球体も見えてはいないようですね」

「え? まあ、……たしかに」

「あ、もう戻してもらって大丈夫ですよ」

「う、うん。解った」


 血球達は彼女の元へと戻っていく。


 何故こんなことをしてもらったか


 彼女のスキルである操血が本人の一部とみなされ潜影によって隠されるのか、それとも切り離された別物として潜影の適用外になるのかを確かめたかったからだ。


 あれだけ派手に動かしていた赤い球体に、魔族達の反応はゼロだった。

 つまり操血も潜影で隠れる、彼女の身体の一部と見なされている訳だ。


 ということは操血スキルで攻撃すれば潜影は解除されてしまう。

 当初思い描いた、『隠れたまま遠距離攻撃での無双コンボ』はどうやら操血ではできないらしい。


 ちょっと期待してたんだけど、仕方ないな……。それに悪い事ばかりじゃない。

 無闇な攻撃には使えない代わりに、逃走や移動に使うのなら見えない足場というのは追跡される危険を確実に減らしてくれるだろう。

 それはそれで便利なスキルだから良しだ、要は使いどころだ。


 しかしこれは、今回は一旦逃げに徹した方が良さそうだ。


「ちょっ、どこ行くのよ……?」


 女闘技者の手を引いてリングの際まで行き、遥か下に見える地面に目をやる。

 

貴女あなたのスキルでここを下まで降りられますか?」

「うーん、そうね……。多分できるよ」


 下を覗き見た彼女は、こちらを向いてうなずいた。


「俺を連れていてもですか?」

「降りれればいいの?」

「はい。──って……!? うわっ……!」


 なんと。女闘技者はお姫様抱っこで俺を担ぎ上げると、そのままリングの端から躊躇うことなく飛び降りた。


 怖い怖い怖い怖い怖い!!

 落下してる落下してる落下してるって!!


 でも、声をあげちゃだめだ……!


 両手で自分の口を必死に押さえる。


「あっはははは、ビビらないビビらない。てかキミ軽いねぇ、もうちょい鍛えなよー」

「は、は、はいぃぃぃぃ……」


 ふぁぁ、怖い、速い、叫び声を我慢するので精一杯だ……!


 そう思った瞬間、周囲が赤色に包まれた。


 どうやら彼女は操血で柔らかいシートのような物を造りだし、地面に衝突する前にそいつで優しく受け止めさせたようだ。


 唐突なバンジージャンプ、ちょっと吐きそう……。

 想像では階段のように一歩一歩、血の足場を降りていくイメージだったのに……おぇ。


「速かったでしょ?」

「…………で、ですね……」


 彼女の片手を握り締めたまま、俺は地面に膝をついてうなだれながら、やっとの思いで返事をした。


 こういうのは、頼むから一言断ってからやってくれよ。



 ………………でも、初めて女の子と手を繋いでしまったよ。

 ついでに抱き上げられてしまったさ。

 そりゃ抱き上げる方が理想だけど、これはこれで悪くない、うん。


 頭を上げるのは、緩んだ顔を引き締めてからだな……。

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