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異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい  作者: よく知らんロボ
第一部 異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい

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救世の翼エル・メサイアスキル、“アンチスキルコート”を発動』


 発動と同時に両手が光を纏う。


 これが救世の翼、三種の固有スキル最後の一つだ。


『スキル:アンチスキルコート』

『ランク:眷属』

『フォーム:能動アクティブ、防御』

救世の翼(エル・メサイア)スキル。魔力を消費し発動』

『効果一、両手に特殊能力を付加。手で触れたスキルの効果や事象を消滅させる。魔力消費量は消滅対象のスキルによって変動。使用者の魔力残量が対象の消滅に必要な魔力量と釣り合わない場合このスキルは発動しない』

『効果二、大量の魔力を使用し全てのスキルを無効化する空間を生成する』


 たぶん今の俺の魔力じゃ効果一しか発動できないだろう。

 でも今はこれで良い、消滅させたいのは魔女のスキルだけだからな。


 触れるなら魔女の展開した魔方陣だ。


 慎重に、できる限り静かに近寄り、かがんで右手を伸ばし床の魔方陣に触れる。


 なにも起こらない、なんでだ!?


 スキルログを確認してすぐに現状を理解した。


『魔力不足により対象スキルの消滅に失敗』


 ここまで使いっぱなしの『感覚強化』とオークに使った『死体処理班』、それにさっきの『未来視』。

 今の俺の魔力は体感的に残り半分といった感じだ、これじゃダメか……。


 どうする、もう時間がない………………!




 そうだ──。


 バッグからあれ(・・)を取り出して一息で飲み込む。


 そう、紫スキルポーション。


『毒物耐性発動』

『免疫獲得した猛毒を検知、常態パッシブ効果を発動』


 これはただスキルを覚える為だけのアイテムじゃない、毒性を除ける俺にとっては魔力回復剤としての性能も一級品。リスクはあるが、未来への可能性と天秤にかけるなら今は「飲む」の一択だ。


 効果は一瞬で現れ、全身に魔力が漲る。


 『闇の手』の時とは違ってかなりの魔力の回復を感じる。これならいける、はず、頼む!


 魔女の周囲を血球が取り囲む。


 女闘技者は攻撃の合図をだし、魔女は床のヘドロをベールに変えて防御体制を取った瞬間だった。


救世の翼(エル・メサイア)スキル、“アンチスキルコート”を発動。対象スキルの消滅に成功』


 床の魔方陣はシールが剥がれるように床から浮き上がり、空中へと霧散していく。

 それと同時に足元のヘドロも、魔女を守るベールも消え失せた。


「…………………………!?」


 魔女は変わらず無表情ではあったけど、見開いたその目からは驚きの色がほとばしっている。


「ん? なんだいったい……」


 魔王は魔王で、あり得ない異変にまだ状況を把握できていないようだ。


 その直後、これ以上ないタイミングで発動された『どこでも鋼鉄の処女(アイアンメイデン)』は容赦なく魔女の全身を貫く。


 よしっ!


 なんて、ついガッツポーズをしてしまったけど、これはこれで目を覆いたくかなりエグい光景だ……。


「えっ!? 当たった!?」


 魔女より魔王より、自分の圧倒的な劣勢を悟っていた女闘技者自身が一番戸惑っているようだった。


 なぜ毒のヘドロがいきなり消え失せ己の攻撃が全弾命中したのか、まるで理解ができないのだろう。


 女闘技者の合図で血棘が血球へ戻ると同時に、力無く体が傾いていく魔女。


「……………………ぅ……」


 なんだ、何て言った……?

 いや、俺の聞き間違えでなければ……。


 声にならない言葉を口にした魔女は、全身から血を吹き出しながら崩れ落ちる。


 リングに身を臥せ、息絶えた魔女の表情は驚くほど穏やかだった。

 まるで微笑んでいるかのようにすら見える。


 綺麗だ──。


 こんな時に不謹慎かもしれないけど、そのあまりの美しさにそう思ってしまった。


「おい! 今すぐサリーの死体を回収しろ! 急げ!!」


 なんだ魔王の奴、物凄い剣幕だ。


闇の手(ナイトレイド)スキル、“死体処理班(スカベンジャー)”を発動』


 その様子を見た次の瞬間に俺は『死体処理班』を発動していた。


 長い舌が魔女の死体を飲み込み消え失せる。


「なんだ!? 何が起こった!? サリーの死体はどこにいった!」


 おうおう、魔王慌てとる慌てとる。

 魔女の死体を闇の魔獣に食わせた理由は二つだ。


 一つ、魔王のあの様子から、もしかすれば魔族あちらにも『聖女の祈り』のようなスキルが使える奴がいるのかもしれない。そう思ったからだ。

 あんな凶悪な敵は一人でも少ない方がいい、甦って再び戦うなんてまっぴらごめんだ。


 二つ、これは非常に個人的な感情だけど魔族やつらに彼女の死体を再び弄ぶようなことはさせたくなかった。

 仮に生き返ることができるとしても、この先も奴らに好き勝手に操られるよりは闇の魔獣による食葬の方が幾分マシだと、彼女の安らかな死に顔を見てそう思った。

 独善的かもしれないけど俺なりの供養のつもりだ。


 それと、俺にそう思わせたのは魔女の最後の言葉もきっかけの一つだ。


 強化聴力でようやく微かに聞き取れるような掠れた声だったけど、確かに「ありがとう」と言っていた。

 もしかすれば魔女は誰かに、それこそ魔王辺りにスキルかなにかで操られていたのかもしれないな。

 それが今際の際に解除された、だからこそあの安らいだ笑顔で死んでいったんじゃなかろうか。


 ともあれ、これで魔女の驚異は何とか凌ぎきった。


 でもまだ全然なにも解決しちゃいない、魔女への対処で頭がいっぱいでこの後の事を考えてなかったな。


 さあ、次はどう動くかよく考えろ……。

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