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異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい  作者: よく知らんロボ
第一部 異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい

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 女はゴブリンの後ろについて階段を降りていく。


 そうだ、この二人についていってみるか。


 この様子なら気付かれる事は無さそうだし、魔王とやらのとこに行くならその正体を確認するいいチャンスかもしれない。


 そう考えてゴブリンと女の後ろをつけていくと、二人は歓声の響く建物へと入って行く。


 丁度いい、俺もここに入ろうと思ってたとこだし。


 そう思ったのも束の間、すぐに追跡を断念せざるを得なかった。

 二人の行く方は人が多過ぎるからだ、このままじゃ誰かとぶつかる危険があるから無理だ。


 仕方ないので人混みを避けて中に入る事にした。


 魔王の姿を確認できなかったのは残念だけど、この建物で何が行われているか確認しておきたいからな。


 中はドーム状の広い空間だ。


 真ん中には金網に囲まれたリングがあり、今まさにそこで人間がモンスター的な生物と戦っているところだった。


 客席がリングをスタジアムのようにぐるりと囲み、高揚した魔族達がそこから戦いを見下ろしている。


 そう、まさに誰がどう見てもザ・闘技場。おおかた予想通りだった訳だ。


 それにしても野次や歓声が凄い。


 外からでもあれだけ響いてきてたんだから当たり前か。


 辺りを窺っているとオッズのようなものが張り出されていた、勝敗を賭けてギャンブルでも行われているんだろうな。


 リングにいるのがダンジョン魔物ってやつか……、つまりダンジョンの存在は嘘じゃないってことだ。


 しかし、あんなのと普通の人間じゃ勝負にならないだろ……。


 その魔物は獅子のような身体に人面の顔、裂けたような大きな口には鋭い牙が生えている。体の大きさはゾウくらいデカい。


 特徴から見ればマンティコアといったところなんだが……あれと戦うのは怖すぎるって。


 戦わされているのは日本人だ。左手には黄色の刻印、感覚強化を発動しているので客席の最後列からでもハッキリ確認できる。


 外れスキル付与者か。

 一応武器や防具は身に付けているが勝負になるのか……。

 こんなんじゃ賭けなんか成立しないだろ。


 何て思っている内に闘技者はマンティコアに腕を食いちぎられ、血と涙を流しながら頭から食われ力尽きた。


「生存時間は──、一分三十二秒だ! おやおや倍率はなかなか高いぞ! この異世界人はお前らの予想よりだいぶ健闘したみたいだ! 拍手!」


 司会者のような奴が声を張り上げて観客を煽ると、客席からは一斉にレスポンスの野次が飛び交う。


 なるほど、そもそも勝ちに賭ける奴がいないから生き残る時間で賭博をやってるわけか。


 虫酸が走る奴らだ。


 そうは思ってもこの状況じゃ闘技者を助けに行くことはできないのが歯痒い。


 だがこのイベントはまだまだ宵の口らしい、次の人間がリングに入ってきた。


 だが次も、そのまた次の人間もマンティコアには歯が立たず、その獰猛な爪と牙によって凄惨な死を迎えた。


 それらは皆、赤や黄のスキルだ。


 スキルを使っているように見えないところを見ると外れスキルは戦闘には役に立たないものが多いのかもしれないな。


 くそっ、どうにかできないか。このまま見てるだけじゃ埒が明かない。こうなったら舞台裏にでも潜り込んでみるのも手か……。


 そう考え席を立とうとしたその時。


「さぁさぁこのまま雑魚が出てくるだけじゃ猛獣の餌やりタイムで終わっちゃうな! 次の挑戦者はどうだ!? 次こそはひと味違うと願いたい、魔王様ご推薦の美女の登場だー!」


 司会者の煽りと共にドッと大歓声が巻き起こる。 


 魔王の推薦する美女、もしかするとさっきの……。


 そう先ほどの銀髪の女性が脳裏を過ったが、入場してきたのは少し背の高い日本人の女性だった。

 そりゃそうか、あの人は魔族側だし。


 しかし、この人はこの人で目立つ見た目だな。

 ウルフカットの髪に服装は洒落っ気の無いシンプルなホットパンツとTシャツだけど、露出した長い腕や脚はモデルのようにスラッとしていて筋肉質、そして目付きは鋭い。


 見た目の雰囲気だけなら俺より全然ケンカ強そう。


 刻印は……白い刻印、ユニークスキル持ちだ。付与者の数で言えば紫と同じくらい少なかった色だよな、これならスキル次第じゃモンスター相手でも勝負になるのでは……。

 いやこんなこと考えてたらフラグになってしまうやめろ。


 でもその考えはあながち間違ってはいなかった。


 女性は自身の手にナイフで傷をつけると、流れ出た血を使ってなにやら空気中に小さな赤い球体を無数に造り出した。


 それらは形を自由自在に変えられるようだ。

 球体は刃や棘へと変形し、襲いくるマンティコアに接近する隙も与えずズタズタにしてしまった。


 マンティコアが地に臥せるまでの時間は五分弱、この人ヤバい!


 魔物を切り裂いた赤い球体達は彼女の傷口へと回収されていく、見たまんま自分の血を操り攻撃をする能力らしい。

 言うなれば血のファンネ○、超かっけぇ。

 

 だがユニークというほど本人しか使えないようなスキルには思えないけど、特殊な血液型とか遺伝子とか何か制約があるのかもな。


 うん、白はやはり強いみたいだ。

 これは期待できるかもしれない。


 俺の期待通り彼女は連戦連勝。

 何戦か見て解ったが、どうも彼女の強さはスキルのお陰だけではないようだ。


 動きも素早く鋭い。

 血の刃を潜り抜けてきた対戦相手の攻撃を紙一重でかわす反射神経。その直後、血を即座に長剣に変えて相手の急所を貫く判断力、度胸も相当のものだ。


 そんな調子で次々とダンジョン魔物や魔族の闘技者を屠り去っていく女闘技者。


 その度に沸き起こるブーイングは、こっちとしては見ていて気分がいい。


 やったれやったれ!

 て言うかエクストラスキル二つ持ってる俺より、あの人の方がよっぽど強くないかな……。

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