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異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい  作者: よく知らんロボ
第一部 異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい

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 晩餐会場があの位置にあったということは……、見つけた。才与の儀をやった部屋だ。


 よしよし、周りには誰もいないな。中からも人の気配はしない。


 周囲を確認して部屋の中へとこっそり入り込む。


 うん、何度みても大きな像だ。


 それに魔族の城だとわかった今、こうやって改めて見ると異質なくらい美しい女神像だ。


 もう一度あの台座に登ったらどうなるんだろうか……。


 いやいや、何が起こるか解らない。妙な好奇心だけで女神像の前に立つのはやめとこう。


 そうだ、女神像で思い出したけど紫スキルポーション……どうしようかな。


 毒は分解できるようになったけど、飲んだら何が起こるか不確定要素が多くてちょっと怖いんだよな。


 まあ、今は無理に飲まなくてもいいか。

 飲むなら安全な場所を確保してからだ、それに日中の隠れるしかない時の方が何か不都合が起こった場合に時間を無駄にしなくて済むしな。


 さて、ついでにあの部屋にも行っとくか。


 来たときと逆のルートを辿れば必然見つかる、召喚された部屋だ。


 相変わらず床にはびっしりと魔方陣が書き記されている。


 日本へ帰る手掛かりがあるとしたらここだろうな。


 シンプルに考えるならこの部屋から日本へ送還てことになるんだろうけど、魔族共はもともと帰す気なんて無いんだろうから元の場所に戻す技術は用意してないとか普通にありそうだな……。不安だ……。


 まあそれは今はいいか、取り敢えずこれでこの階層の主要な部屋の位置関係はだいたい頭に入った。


 ん? そう言えば、あそこはどこへ繋がるんだろう。


 召喚されたあの日、王が降りてきた階段が目に入る。


 なんか気になったので登ってみると、踊場にたどり着いた。そこからは広い廊下が一本真っ直ぐ伸びている。


 なんなら階段も更に上に続いている。


 どっちも気になるんだけども……、ここはひとまず廊下の方から調べて見ようか。


 廊下は照明に照らされていて明るく歩きやすい、けど魔族達はいない。


 人の多いところはもともと苦手だったけど、誰もいないのがこんなに嬉しく感じた事はないな。


 風を感じる方へしばらく進むと屋外に出た。


 屋根はないのでバルコニー的なやつか。


 その屋外スペースは、左右共にずっと先まで続いている。


 ラウンドバルコニーといえばいいだろうか。

 巨大な城だからその表現で合っているのか解らないけど……。


 まあ、城の二階部分をぐるっと囲む遊歩道といった感じだ。


 なんというか、いい場所だ。ここが魔族の城じゃなかったら良いウォーキングコースにでもなりそうなくらいに。


 そうだ、丁度いいから高いところから色々見物してみよう。


 そう思って見渡した景色が、「ここは異世界である」と改めて告げてくるようだった。


 魔王の住む中世の城のような建造物は少し小高い場所にあるようで、その裾野を遠巻きに囲って広がる大きな城下町は壮観で美しいという他ない。


 眺望だけなら最高にファンタジックで胸が踊る。


 でもここに住んでいるのは全て魔族達なのだろう。言うなれば魔族の国だ。


 町並みからして相当な数の化物がいるんだと、そう考えるとゾッとする。


 いやなに、そいつら全員を相手にする訳じゃないんだ。気を取り直して散策だ。


 綺麗な空気を吸いながら静かな遊歩道を歩いていく。


 柵に寄って身を乗りだし、地上の一階部分に視線を下ろせば魔族達のお祭り騒ぎが目に写る。


 静寂に包まれている二階とは対照的だ。


 色々と観察しながら進んでいると、城の側に立つ大きな建物が見えてきた。


 そこからは割れんばかりの熱狂的な歓声が響いてくる。


 もしかしたら解体屋のオークが言っていた拷問部屋や闘技場とやらかもしれない。


 主要な施設は全部見ておいた方がいいよな、さっそく向かってみるか。

 もし闘技場なら生き残った人間がいる可能性は高いし。


 そう考えていると、少し先に階段が見えた。


 あそこから降りて下層に向かえば、ちょうどあの建物の近くにいけそうだな。


 真っ直ぐ階段へと足を進めるその途中、あるものを見て目を疑った。


 人間が一人、二階のバルコニーで佇んでいたからだ。


 間違いなく人間、しかも女性だ。


 夜空のような深い瞑色のドレスを纏った女性は、バルコニーの柵に手を掛け、遠く夜空を望んでいる。


 三つ編みに束ねた長く綺麗な銀色の髪、褐色の肌、歳は同じか少し下くらいだろうか。


 どこか冷たそうな雰囲気の表情、端正な顔立ちが尚更それを際立たせている。


 ああ、この人はたぶん魔族あちら側の存在だな……。


 しばらく目を奪われている間になんとなくそう察した。


 明らかに日本人じゃないし、なによりも彼女の瞳だ。


 ルビーのように美しく深い赤の瞳は、見ているだけで飲み込まれてしまいそうな底の知れない恐ろしさをその奥に秘めている。


 この女は人間に見えるが人間じゃない。


 それを確信したのは次の瞬間だ。


「おい、魔王様が呼んでる。早く来い」

「…………………………」

「なんだ、いっちょまえにめかし込みやがって。魔王様の指示か?」

「…………………………」

「ギャギャ、つまんねえ女だ。とにかく来い」


 それはオークと同じような肌の色をした、ゴブリンのような小男……まあゴブリンでいいか。


 ゴブリンが階下から現れ、無言のままの彼女を連れていったからだ。


 て言うか今あいつ魔王って言ったな。


 そうか、ならあのイケオジは魔王だったってことか? いや、あれはただの王様役って場合もあるか。とにかくまた一つ情報が得られたな。

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