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『スキル:闇の手』
『ランク:エクストラ』
『フォーム:統合』
『闇の手スキルを行使可能』
『──────────────────────────────────────────────────────』
統合スキルってことはまただ、大量のスキル情報が流れ込んできた。
一瞬で理解できるとはいえ、俺の緑スキルのような単品シンプルなものなら何て事はないけど、こうスキル量が多いと流石に頭が疲れるな。
あれ、まずい……、目が霞む……。
毒か?
そう思いログを見るが。
『毒物耐性発動』
『免疫獲得した猛毒を検知、常態効果を発動』
特にさっきと変わりはない、これじゃよく解らないな。
あ、ダメだ……目蓋が、おも、い──。
※
うっ、なんか嫌な夢を見た。
どうやら座ったまま寝ていたらしい、なんか腰が痛い。
だが周りを見回して落胆した、夢じゃないのが一目で解らせられる。
相変わらずの薄暗さだけど、違う部屋にでも運ばれたのだろうか。とにかく何も置かれていないだだっ広い部屋だ。
どのくらい眠りこけてたのかも解らない。
いや、そうだ、寝ていた時間なら確認はできる。
「ログ……」
人の気配が無いのを確認して小さく囁くと、スキルログが脳内に展開された。
そう言えば声で呼び出すのは初めてだな。
『聖女の祈り』
『現在使用不可:制限解除まで二十四時間時間十二分』
てことは、気を失ってからほぼ丸一日寝ていたことになるな。
次はなんで眠ってしまったのかだけど、幾つか可能性はある。
一つ、毒は抗体により対処したが弱毒化が精一杯で無症状ではすまなかった。
二つ、スキルポーションによる消耗と回復の繰り返しで肉体に限界がきた。
三つ、統合スキルを取得すると脳にそれなりの負担がかかるようなので頭の方に限界がきた。
そして四つ、あるいはその全部といったところか。
それにしてもここはどこだ……。
しばらく考え込んでいるうちに段々とハッキリしてきた視界と意識、取り敢えず立ち上がってみた。
いたっ、いたたた、身体が硬くて痛い。
こんな硬い石床の上に座った格好で寝てたんだから当たり前か。
動き出した筋肉が全身に血が巡らせ、ようやく覚醒した頭が答えに辿り着いた。
ここは気絶する前にいた部屋と同じ部屋だ。
壁に掛けられた解体道具や寝台だけはそのままだし、スキル抽出に使われると思われる禍々しい装置も置いてある。
気を失った後も俺は動かされてなどいなかったようだ。
ただ床に転がっていた大勢の人間が一人も居なくなっている。
そして寝台周りには夥しい血液を雑に掃除したような跡。
多分、恐らく、考えたくはないけど……、全員解体されてスキルポーションに変えられたとしか思えない。
ならなぜ俺だけまた…………そうか。
その疑問はすぐに解決する。
『スキル:潜影』
『ランク:眷族』
『フォーム:能動及び自動、補助』
『闇の手スキル。日没から夜明けまでの間、若しくは日光が完全に遮断された空間において使用可能』
『スキル効果一、片目を三秒以上閉じると発動し、認識阻害効果を得る。目を閉じている間は効果が持続。効果対象は自身と装備品。自分以外の人間との接触や強いダメージを受けるとスキル効果が消失。また他人に接触したのが自身の装備品であってもスキル効果は消失する。』
『スキル効果二、自身以外の単一対象と接触した状態でスキルを発動した場合、接触者も同時に認識阻害効果を得る。効果消失条件は一と同じ、加えて接触者同士が離れた場合もスキル効果は解除される』
『スキル効果三、両目を閉じた場合自動スキルとなり、より強力な認識阻害効果を得る。この効果は単独の時のみ発動。効果二との併用不可。効果消失条件は一と同じ』
両目を閉じると自動スキルになる、つまり寝ていたから効果三が勝手に発動してくれたのか。
認識阻害……。なるほど、ドラえ◯んの石◯ろ帽子みたいなもんか。これがあれば奇襲や夜襲も気にせず寝られると。それどころか闇討ちし放題だな。
いやしかしあれだ、闇の手スキルは今最も欲しかったスキルと言っていい。
セット内容に関してはほとんどが暗殺、潜伏、隠蔽に役立ちそうなものばかりだ。だからもちろん攻撃スキルも存在する。
だが一つだけ問題があるとすればそのほとんどが使用不可であるという事くらいか。
いや大問題だ。
潜影を含め、使える闇の手スキルは三つのみ。もちろん攻撃系は使用不可だ。
使用不可の全てのスキルにはこんな文言が記されている。
『身体能力の不足により使用不可』
とな。まあ端的に言えば俺のせいだな……。
それでも、問題とは言ったがこれに関しては潜影だけでも十分に強力で有難いから良しとしよう。
ここで一つ興味深いのは闇の手のセット内容だ。
潜影の効果しかり、このスキルを貰った人は殺し屋かなんかで身体的に優れた人だったのだろうか……。まさか貰った本人まで使えないなんて事はないだろうからな。
それと、二つのエクストラスキルを得た身として思うに、エクストラスキルを貰った人達はそもそも何かしら傑出していたんじゃなかろうか。
闇の手の人は身体能力と恐らく潜伏や暗殺技術。
救世の翼の斉藤さんは一般人ぽく見えた……けど多分、あくまで予想だけど身に宿した内包魔力量が桁違いだったんじゃなかろうか。
それなら彼女のスキルポーションの凄まじい魔力回復量や聖女の祈りの膨大な魔力消費量もなんとなく説明がつくし。
そうなるとだ、『エクストラスキルを得たから凄いんじゃなくて、凄いからエクストラスキルに選ばれる』って仮定が成り立つな。
この仮定が合っていたら斉藤さん、本来ならマジで主人公だったんかな。改めて自分の一般人っぷりを思い知らされたよ……。




