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木漏れ日  作者: 双鶴


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6/8

6話

思いは、募るばかりだった。


撮影のたびに、佐伯さんの存在が気になった。彼女の視線、言葉の選び方、光の捉え方──どれも、真一にとっては静かな刺激だった。何かを語り合いたいと思った。光のことでもいい。日常のことでもいい。ただ、もう少しだけ近づきたかった。


家では、居心地の悪さが増していた。


夕食の席で、ゆかりがふと真一を見た。


「最近、スマホばっかりだね。何撮ってるの?」


「公園とか、風景とか」


「ふーん……」


それ以上、何も言われなかった。だが、視線が少し長かった。陽斗も、スマホをいじりながら、ちらりと真一を見た。何かが、伝わっている気がした。言葉にはならない違和感が、食卓の空気に混ざっていた。


次の撮影日。集合場所の近くで、真一は少し早めに着いた。公園のベンチに腰を下ろし、スマホを見ていた。すると、少し離れた場所で、主宰と佐伯さんが話している声が聞こえてきた。


「宗像さん、光にこだわりすぎてて、ちょっと気味が悪いよね」


主宰の声だった。冗談めかしていたが、笑ってはいなかった。


「中高年の男性って、出会い目的の人も多いし……ちょっと苦手」


佐伯さんの声だった。はっきりとは言っていなかったが、同調するような口調だった。


真一は、スマホをしまった。何も言わずに、静かにその場を離れた。


その夜、画面を見つめながら、何度も指が止まった。送るべきか、送らないべきか。だが、言葉はすでに決まっていた。


「お世話になりました。諸事情により、退会させていただきます」


短いメールだった。感情は入れなかった。光も、言葉も、残さなかった。


翌朝、返信が届いた。


「了解しました。また気が向いたら、いつでもどうぞ」


それだけだった。


真一は、スマホを伏せた。部屋の中は静かだった。窓の外には、曇り空が広がっていた。光は、どこにもなかった。


だが、目を閉じると、あのスケートボードの背中に差し込む光が浮かんだ。滑り台の影、佐伯さんの肩に落ちた午後の光──それらは、もう撮ることはできない。でも、確かにそこにあった。


孤独は、戻ってきた。けれど、以前とは少し違っていた。


光を知ってしまった孤独は、ただの空白ではなかった。残響のように、静かに心の奥で揺れていた。


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