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第2話 アンドロイド・ガールの独白⑤

 珈琲の味は機械の私には分からなかったけれど、君の優しさは凡ゆる他の感覚から、ひしひしと伝わってきた。


 私は君の優しさを無駄にしたくはなかった。


 ここ最近、密かに私を悩ませていた身体の不調を―憂いを、むすびに見せたくなかった。


 だから、こんな事態になってしまう事を考慮せずに、外に出てしまった。


 それにしても私って情けないな…。


 心の何処かでこうなるのかもしれないと感じていながらも何故、痩せ我慢なんてしてしまったのだろうか?


 本当にありがた迷惑だ。機械の私でも君を幸せにできるように願ったとしても、私がこんなんじゃあ、そんな願いなんて叶う筈もないよね。


 寧ろ君の傍に私がいたら、君はどんどん不幸になってしまう。

 なのに、そうやって分かっている筈なのに、君の傍にずっと居たい私がいる。


 きっと君は決して口には出さないけれど、この矛盾し切った私の想いに気付いている事だろう。

 そして、そのままこの矛盾し切った私の想いを命尽きるまで受け止めてしまおうとするのだろう。


 だから私は君の優しさに甘えてしまう。


 君の温もりを求めてしまう。


 私は、こんな自分自身が大嫌いだった。

 君が私を助けてしまう事、それは即ち君がこの世界から孤立してしまう事だと分かっていながらも、変わらずに君に助けて貰う自分自身が大嫌いだった。


 大嫌いを通り越して最早、憎かった。

 むすびは渇ききった冬の夜の中、我楽多である私を背中に抱えて、残酷で何処までも冷酷なこの世界から逃げ回っている。


 そんな儚くも強い君を身体中で感じていると、思わず心の底から言葉が―想いが込み上げてくる。


「ごめん」と…。何度も只、ひたすらに私は心の中で謝った。


 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。


 ごめんね、むすび。そして…。


 ありがとう、むすび。

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