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第11話 アンドロイド・ガールの独白④

 日中の曇り空とは打って変わって、別の空のように空一面が晴れ渡っている。

 夜空が綺麗に澄み渡っているので何光年も先にある満ちた月が輝いているのが、はっきりとくっきりと見える。

 月の白銀の光が私の首筋を照らしている。


 私は独り無機質な部屋の中で、むすびと私の写っている写真を見ていた。

 写真の中では、人間であるむすびと機械である私が、お互いに見つめ合いながら、温もりに満ちた笑みを浮かべている。


 この腐った世界は苦しい事や虚しい事、悲しくて残酷な事で満ち溢れているけれど、むすびさえ傍にいてくれるなら、どんな過酷な運命が私達の前に立ち塞がったとしても、きっと乗り越えられる気がする。


 むすびと私ならば、人間と機械の壁の先にある向こう側の景色を見る事ができるような気がする。

 もしかしたら、既に私達は向こう側の景色を見ているのかもしれない。


 二人共、温かな笑顔で笑っている写真を見ていると唐突に最近、笑う事が増えた事に気付いた。

 むすびが、アンドロイドである私を哀しみの底から救い出してくれたから―胸が一杯になる程の温もりを与えてくれたから―私に温かい愛をくれたから、私は今こうして微笑んでいられるのかもしれない。


 温かい感覚が好きだ。

 むすびと一緒にいるだけで心が温かくなる。


 だから私は、むすびが好きなのだ。


 哀しそうに淡く光る事しかできなかった夜空に浮かぶ月は、むすびと出逢ってからは温もりに溢れて強く輝いている。


 ねぇ、むすび。私達はどこまで行けるのかな?


 この残酷な世界の夜の向こう側まで行けるのだろうか?

 

 果たして人間と機械との間に聳え立つ壁を超えて、壁の向こう側まで辿り着けるのだろうか?


 果たして、あの夜空に光り輝く白銀色の月の光が産まれた場所まで行けるのだろうか?

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