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BAD TRIGGER  作者: hygirl
99/101

Bullet99



 黒幕を倒した事で今回の戦いを終えたソラは意識が薄れたその時から暫く経って気がついた時にはどこかの病院の一室でベッドの上にいた。




 天井が視界に入り、背に少しの安らぎを感じられるこの状況から察するに気を失ってベッドの上で寝ていたのだろうという事は分かる。が、気を失ったその瞬間から今に至るまでの間で起きたとされる事を把握しようのないソラはシンクやダウトたちが今どうなっているのかが気になっていた。



「アイツ、らは……」

「起きるなり他人の心配か」


 シンクやダウトたちが今どうなっているのかが気になったソラが体を起き上がらせると自身の事よりも他人を優先した彼の言動に呆れるような反応を感じさせる声が向けられる。


 声が向けられた部屋の窓際にはそこから外の景色を眺めるように立つ双座アリスが立っており、ソラが目を覚ますのを待っていたであろう双座アリスはソラの方を見るなり目覚めたばかりの彼へ話し始めた。


「3日だ。オマエが氷堂シンクや強化能力者と一緒に竜堂アマトの計画阻止を成功させて3日経っている。竜堂アマトを倒した当の本人は強引な再起方法を用いた反動で寝込むなんて情けない話だな」

「オマエら《一条》にとって厄介の種になるだろう敵を倒させておいて偉そうな言い方だな」


「ふっ、3日寝てただけあって起きて早々強気に返せるなら安心だな。なら、オマエが気を失ってからどうなったのか……その後を教えてやるよ」


 竜堂アマトを倒した直後からソラが3日も寝ていた事を伝え、起きてすぐでありながらも双座アリスの言葉に動じず言い返したソラの態度に何やら安心したような反応を見せた双座アリスは彼が知りたがっているシンクやダウトたち……つまりは今回の新型の《覇王竜》の力から始まった事件のその後と仲間の現在を明かし始めた。


「オマエが竜堂アマトを倒した後、現場に駆けつけた《一条》の管轄の部隊がオマエや氷堂シンクたちを保護、その後の聴取を受けて竜堂アマトの力の残滓の追跡調査が《八神》の調査班とウチの調査班の共同で行われた」

「力の残滓?」


「竜堂アマトが倒され塵になって消え失せたのは聞いたが、多くの人間の命を利用しオマエや氷堂シンクを追い詰めるだけの力を得る計画を事が大きくなるまで察知させないような男が単純に倒されて終わると思えないと判断しての調査だ。オマエに倒され塵になったのに乗じて自分の遺伝子情報なりを大気か地中に潜ませ新たな肉体を作って復活する可能性も考えられるとして行われたが竜堂アマトのものと思われる魔力の残滓は僅かに感知されるもその翌日には僅かにあったそれらは既に消失していたため完全に消失したと判断された」


「要するに入念な調査を行った上で竜堂アマトの死亡を断定したって事か。抜かりが無いな」

「竜堂アマトはあの忌まわしい《十神》との関係性も無ければ後ろ盾も無しの完全な個人の範疇で強化能力者を生み出す実験を行える規模の施設とそれらを保持するだけの財力、そして多くの人間を騙し精神を掌握可能な話術を個人規模で保有していた危険人物だった訳だからな。とくに財力に関しては複数の施設を個人の私物のように扱えるだけの額を後ろ盾としている組織から援助されているでもなく個人で保有し当たり前のように運用していた事から相当な危険性があると姫神ヒロムが注視していた」


「ヒロムが……」

「まぁ、財力云々はさておいて強化能力者の件を知識と経験の積み重ねだけであの規模まで発展させた技術力と行動力が組織的なものとしてではなく単独でのものだという方が危険だとウチのトップ……一条カズキは話してたけどな」


「単独……って、アイツは誰かしらの支援を受けてあんだけの事を計画したんじゃないのか!?」

「まぁ、普通ならそう思うだろうな。広域に及ぶ空間認識能力や変異能力に膨大な知識と記憶を可能とさせる力等個人が他人に人体実験で付与可能な範疇を超えた能力ばかりだし、報告によればヴェイカーの変異能力の裏に別の能力を潜ませていたらしいから2つの能力を1つと認識させるだけの人体実験の技術力ともなれば組織的なもので無ければ納得出来ないだろう」


「個人では不可能と誰もが思うような事を……この世界に生きる人間が不完全で世界の害になってるとかいう偏向した価値観がアイツをそこまで成長させたと思うと恐ろしいな」

「行き過ぎた思想は簡単に理解と予測を超え人の理性による抑止を受け付けなくなる。今回の竜堂アマトがいい例だな」


「死ぬ瞬間まで自分の思想に囚われたまま……完全な世界を目指した人間が不完全の中のバグに埋もれて死ぬなんて哀れだな」


 竜堂アマトの脅威、組織的な力を保持しているのでは無く個人的な理想の実現のために尽力したが故に個人では保有が厳しい規模の力を得た事が恐ろしい事だと語る双座アリスの言葉にソラは愚かな思想に囚われ破滅した竜堂アマトの事を哀れに思う他なかった。


 ソラが哀れに思う一方で双座アリスは亡き存在となった竜堂アマトへの感情を抱く事も何かしらの感情を向ける事も無いらしく言葉を返す。



「この国に敵意を向けたやつの死に様はどうでもいいが、竜堂アマトの手中にあると思われる施設や流通ルートについてはあの研究所でネーナから提供された情報を元に《八神》と《一条》が調査を進める。オマエにとってこの件は竜堂アマトを倒した時点で終わりって事になるな」


「待てよ双座アリス。アイツらは……ダウトたちはどうなる?」


 竜堂アマトの件は《八神》と《一条》が協力して調査を進めると双座アリスが語るとソラはここまでの話に出なかったダウトたちの現状を問い、問われた双座アリスは少し深刻な顔を見せるだけで沈黙してしまう。


 深刻な顔で沈黙する、その行動はソラの不安を駆り立て……

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