Bullet96
紅蓮の爆炎を再燃させ形勢を覆し敵を追い詰めるソラによる猛攻が竜堂アマトを襲う。
単純な蹴りだけでは無く《ヒート・マグナム》を用いた銃撃を合わせた猛攻に法則性など無く、それが放たれる上で起点とされているのは敵を倒したいというソラの意志とそれが駆り立てる衝動であり、竜堂アマトを倒すべく戦う事に集中するソラはそれを認識しておらず、当然ながら竜堂アマトもそんなものがあるなんて理解する事も出来る訳が無かった。
対する竜堂アマトはこれまでの戦闘の中で得た力を使い猛威を振るおうとするが、空の蹴りと銃撃を織り交ぜた猛攻を変則性に対応出来ていないらしく彼の攻撃を防ぐだけで手一杯で反撃する余力が無かった。
『ありえない……ありえない……!!』
(私の力が弱まっている訳でも相馬ソラの力が急激に強さを増した訳でもないのに何故こうも私は苦戦させられている!?たかだか一度の仕切り直しを目の当たりにした同様だけでこんな展開になるというのか!?私の積み重ねてきた成果が導き出し培い己の力に変えてきたこれが……感情に流され安直な思考しか出来ないような知能指数の低い小僧に手も足も出ないで追い詰められるなんて、ありえない!!)
『何が……どうなっている!!』
今起きている事、そして今自分を追い詰めているソラの存在とその強さを否定するかのようにどう思考したとしてもその果てにあるのは思考放棄に等しいものしか無かったらしく竜堂アマトは言葉を強く吐き捨てるだけで終わってしまう。
先程までなら思考してすぐに解を見つけ最適な判断を下していただろう。だが、今の竜堂アマトにはそれが……
不可能だった。
思考能力と処理能力が著しく低下している、その表れだろう。
その低下の表れを長期化する闘いの中で研ぎ澄まされた間隔で知覚したソラは《ヒート・マグナム》を突然上へ投げ捨てると両手に紅蓮の爆炎を纏わせ、紅蓮の爆炎を纏わせた両手の拳を強く握るとソラは爆炎を伴う拳撃の乱打に切り替え竜堂アマトを追い詰めようとする。
別に今の戦況的にソラが圧倒的有利でも無ければ竜堂アマトが致命的なダメージを受けているわけでも無い。仕切り直しを経た事で状況的には五分五分のはずだ。が、それは外的な要素での判断でしか無い。
故にソラは更なる点から現状を見定め仕掛けようと決め行動を起こしている。そう、この状況において最適であろう精神的な余裕を壊すための攻撃を放とうとしているのだ。
当然ながらソラはこの拳撃の乱打と拳の纏う爆炎で敵を仕留められるとは確信していない。だが、ここまでの戦闘で積み重ねてきた実績が今の竜堂アマトを確実に倒すために壊すべき要素を見つけ出し自らの勝利への確実性を高めようと『無意識』に選択しているのだ。
「ダァァァア!!」
『ぐぅ……っ!!』
(ダメです……力任せの乱暴な攻撃の中で私が攻撃に転じるのは相打ち覚悟になってしまう!!確実に一撃を喰らわせ私が勝つには相馬ソラのこの乱暴な攻撃が途切れた瞬間を待つ他ありません……!!)
竜堂アマトと比較すれば今のソラの思考能力と処理能力は戦闘前に比べれば低下してる事は間違いない。が、竜堂アマトと彼とでは決定的に違う点があり、それこそが『無意識』。引き起こすもの……竜堂アマトという敵を倒したい感情を強くさせる衝動だった。
非合理的でしかない感情論はおそらく竜堂アマトの思考の中には無い。今の竜堂アマトにあるのはソラが放つ拳の乱打を防ぎ凌ぎ切る事で見い出せるだろうと考える反撃のその瞬間を見逃さずに一撃を放つ事で彼に一方的に傾いているこの流れを断ち切る事だけだった。
逆転を狙うこの瞬間の竜堂アマトの思考の中には最適解が出ている訳ではない。ただ打算的に、いつ来るかすら分からない偶然が訪れると運に任せ動いているだけだ。
そんな中身の無いその場凌ぎでどうにかしようとしている竜堂アマトの行動が目的のために己が力を滾らせ突き進むソラを止められるはずがなかった。
ソラの拳の乱打は勢いを失い止まる所か爆炎の力を強くさせ攻撃の勢いさえも高めさせながら次から次に竜堂アマトへの到達を妨げる何かに叩き込まれ、そして乱打の勢いがこれまででもっとも強いと確信出来るレベルにまで高まった瞬間、ソラの拳数発が何にも止められる事なく竜堂アマトの体へと叩き込まれ、拳が次々に竜堂アマトの体へ叩き込まれたと同時に紅蓮の爆炎が爆ぜて竜堂アマトへのダメージを確実に与えていく。
『なっ……!?』
(ありえ、ない……私のこの力が……こんな、理解力の無い低俗な……)
「歯ァ食いしばれや……竜堂アマト!!」
数発の拳と爆炎の炸裂で確実にダメージを受けた竜堂アマトへ確実な一撃を決めようとソラは右手に紅蓮の爆炎を集約させて渾身の力を乗せた一撃を敵へ叩き込み、ソラさん拳が叩き込まれると同時に紅蓮の爆炎が爆ぜて竜堂アマトを勢いよく吹き飛ばしてみせた。
間違いなく一撃が決まった。ソラがそう確信する中で彼の確信を勘違いに返させたい竜堂アマトは吹き飛ばされる中でどうにか自らの力を用いて勢い殺しながら立ち上がってしまい、立ち上がった竜堂アマトは今が攻撃を放つ絶好の瞬間だと確信したらしく異質な力を全身に強く纏い力を高めながら解き放とうとした。
だが、この瞬間の竜堂アマトは自らの思考の中には無い予想外と対峙してしまう。
一撃を叩き込む事に成功したソラは爆炎の炸裂で吹き飛ばされた竜堂アマトが眼前に居ないことで右手を突き出すような体勢で立っていた。そんなソラの体勢を狙ったかのように彼が先程上へ投げ捨てた《ヒート・マグナム》が何の因果か彼の右手へと舞い降り、舞い降りてきた《ヒート・マグナム》を右手で掴み取ったソラは素早く構え狙いを定めると引き金を引く……
『な……
「くたばれ……クソ野郎!!」
どこまでが計算で狙ったものかなど竜堂アマトが気にしようとそんな事は今のソラには関係無い。ソラが引き金を引くと爆炎が光線のように強く撃ち解き放たれ、撃ち解き放たれた爆炎は異質な力を全身に纏う竜堂アマトの胸部を撃ち貫き風穴を開けてみせた。
ソラのこの銃撃により竜堂アマトは胸部を貫かれ致命傷と断言出来る風穴を開けられた事によって血を吐き膝から崩れ落ちる。
膝から崩れ落ちる竜堂アマト!!纏っていた力は静かに消え、竜堂アマトの纏う力が消えたと同時にソラや彼の奮闘を見届けていたダウトたちはこれで終わりだと感じていた。
漸く、終わる。誰もがそう、思った……




