Bullet91
命中した。
直撃した。
炸裂した。
これまで届かなかった攻撃、諦めず挑もうとする者の力が不可能を可能にした。
完全無欠を装ってきた敵に……
竜堂アマトという諸悪に直撃した。
「よし……っ!!」
ソラの一撃の竜堂アマトへの命中と紅蓮の爆炎の炸裂を確認したシンクは満身創痍の身でありながらも着地を決める。しかし、ソラの一撃が見事な命中を決めた中で肉体的な限界をすでに迎えていたのか手をついてしまう。
だが、シンクの中に焦りなど無かった。
あるのはソラの攻撃の命中により流れが好転した実感、そしてそれはソラも同じように感じていた。が、彼もシンク同様に相応の疲弊・消耗をしている。
「はぁ……はぁ……っ!!」
消耗の激しい紅蓮の爆炎を高め、その力をぶつけ炸裂させる事で敵に明確なダメージを与えた手応えを感じていたソラは炸裂した紅蓮の爆炎に襲われる竜堂アマトがこの後どう出るかを見定めようと敵への意識とその集中を切らそうとせず紅蓮の爆炎を維持させていた。
一方で敵……つまりは竜堂アマトの方は彼らとは異なり劣勢の中へ落とされたらしく、無敵のように振る舞っていた姿は無く、ソラの一撃を受けた上での爆炎の炸裂のその衝撃により吹き飛ばされていた。
そう、吹き飛ばされていた。倒れてはいない。爆炎の炸裂による衝撃で吹き飛ばされた竜堂アマトは未だに隠していた力があるのか自らを吹き飛ばす勢いを殺して受け身を取り立ち上がったのだ。
倒れないというしぶとさ。だがそのしぶとさを見せようとソラの一撃が与えたダメージは負傷という形で明確に確認可能な形で残っていた。
纏われていた白衣は既に焼け消え、衣服は焦げるだけで無く左半身が焼失され、竜堂アマトの左上半身と左頬は酷く焼け焦げて炭のようになりかけていた。
半身が一瞬にして炭のように焼け焦げる程の火力を受けても尚立つ竜堂アマト。恐らくはソラにとってこの一撃は自らの持つ力をぶつけたもののはずだ。それでも倒し切れなかった、目の前で提示される結果にソラは舌打ちしてしまうが、竜堂アマトは彼の舌打ちを耳にするなり顔を歪めて唐突に叫び始める。
「ふざ、けるなぁぁぁぁあ!!」
「!?」
突然の竜堂アマトへ叫びに身構えるソラ。激闘に介入出来なかったネーナとアイデイッシュ、メイリンは好転の流れを掴んだソラとシンクを援護しようと前線に合流して構え、戦闘能力の無いダウトはそんな自分でも何か出来る事があると考え動くとシンクに駆け寄り彼を守ろうとした。
戦闘能力の無いダウトのその行動に感化されたのかシンクは体を無理やり立ち上がらせると彼の肩を借りながらも構えようとし、ソラも紅蓮の爆炎を拳に纏わせ応戦体勢に入る。
が、おかしな事に彼らが応戦体勢で身構える一方で竜堂アマトは叫び終えても動きを見せようとしない。
それどころか、ソラの爆炎と起きた力の衝突の際に生じた角の亀裂が額を伝い、頬すら伝い首筋に達すると竜堂アマトの瞳は不気味に怪しく黒く染まり潰れる。
そして……
竜堂アマトの額の2本の角の片方が砕け折れる。
瞬間、竜堂アマトの全身が凄まじい力を解き放ち周囲の空間を歪め始める。
「「!?」」
歪む空間、異常過ぎる光景に対して得体の知れぬものへ手を出す訳にはいかないソラたちには警戒心を高める以外の選択は無く、そんなソラたちの前で今がチャンスと言わんばかりに竜堂アマトの体から更に凄まじい力が解き放たれる。
解き放たれる凄まじい力、ただ力のその異常な強さを言い表す言葉でしか語れないものを解き放つ竜堂アマトの黒く染まり潰れた瞳が微かな光を発すると空間の歪みが竜堂アマトへ収束され、歪みの収束に呼応するように凄まじい力が竜堂アマトのもとへ還る。
刹那、全てが収束された竜堂アマトの肉体は無となり消え、今目の前で何が起きたのかについてソラたちの思考が理解しようとすると空間で大きく割れる。
ガラスが飛び散るかのように……
何も無いはずの空間が割れる。
そして……
割れた空間にその奥先から竜堂アマト『だったはず』の者が現れる。
『なるほど……これが《魔人》の力か』
空間をガラスのように割り砕き現れた者、右半身が灰色に変色しながらも人としての原型を微かに留め、左半身は不気味な亀裂が無数に走り巡った人に近しい異形の黒いものへ変貌したそれは自らの姿を観察するように見た後にソラたちの方を見つめる。
視線を向けられるソラたち。向けられる視線の異常なまでの冷たさと鋭さに本能が警戒心を高めさせられるもソラは爆炎を強く滾らせる事でそれを振りほどくと目の前の『化け物』を倒すために動き出そうとした。
「しぶとい野郎、だな……竜堂アマト!!他人を利用するしか能の無いオマエみたいな人間が諦め悪く生きてんのが1番イラつくんだよ!!」
『私はもはや人を越え魔人と成った……今の私を止める事など、誰にも出来ないのですよ!!』




