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BAD TRIGGER  作者: hygirl
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Bullet08


 集落に隠れるように設けられた山林深くにある研究施設。

 

 内部へ侵入するにあたり侵入の手筈を確認しようとしていたソラたちを驚かせたのは意図的に何者かによって開かれた入口の扉の存在だった。

 

 先んじて数日間の現地訪問調査を実行していたアリスの手筈通りに侵入して調査もとい施設破壊を遂行しようとするソラは中に何かいるのは間違いないとシンクやアリスと確実な警戒心を抱いていた。

 

 警戒心は抱けど中に入る事に変わりは無い、如何なるものが待ち受けようと3人は目的のために踏み入るしかなかった。

 

 ソラを先頭に中へ入って行く3人。小さな灯りしかない薄暗い通路と地下へ向かうように設けられた階段を下りるを5分程繰り返しながら内部を進行する3人。

 

 人体実験やそれに連なる研究の方へ資金を集約させているのか歩き進んでいく中で目にする壁や床、天井には経年劣化から来る損傷が多く見受けられ、それらを視認したソラは何やら思いついたらしく自分の後ろを歩くシンクに向けてそれを提案した。

 

「なぁシンク、万が一ヤベェのがいたら一面吹き飛ばして瓦礫で埋めてもいいか?」

「やめてくれソラ。たしかにオレと双座アリスならソラの暴挙に顔色1つ変えずに対処する自信はあるが、かといって実際に起こされるのは困る」

 

「まったくだな。まして瓦礫で押し潰すはずが潰れなかった時にオレたちが痛い目を見る事になるだけだ」

「万が一って言ったろ、本気にするなって。ったく、冗談通じねぇやつらだな」

 

「オマエのその冗談は笑えないんだよ、ソラ。それより双座アリス、気づいているか?」

「言われるまでも無いな氷堂シンク。気付くも何もこれは確定だ」

 

 ソラの提案を笑えない、認められないと揃って返すシンクとアリスの反応に提案は冗談だと撤回するソラ。

 

 彼の冗談は笑えないと伝えたシンクは何か気づいたらしくアリスにその旨を確かめる言葉を口にし、シンクの言いたい事を理解しているとされるアリスは言われる前に気づいていると返した上で『確定』だと断言した。

 

 2人が何を話しているのか、話の内容が読めないソラは2人が何を言ってるのか気になったらしく立ち止まり振り返ると2人に尋ね聞き出そうとした。

 

「おい、何の話だ?何が確定なんだ?」

 

「何だ相馬ソラ、気づいていないのか?ここまでの道中、オレたちは誘導されている」

 

「いや、扉の流れからそれは分かるっての。それを確認してたのか?」

「そんなわけないだろソラ。問題は誘導されながら進むこの道中、オレたちは監視されているって事だ」

 

「あん?んなの当たり前だろ?誘導されてんのならそいつが監視してこっちの動きを把握してるのは……

「そこじゃない相馬ソラ。誘導されている、監視されているという状況の中でどうしてそいつは仕掛けないかって事だ」

 

「あぁ、そういう事か。つうか、相手が仕掛けてこない事に問題あるのか?」

「ある。誘導と監視をするということはこちらの素性を把握しているという事だ」

 

「オレはトウマに仕えている《八神》の人間、双座アリスは《一条》に仕えている人間、そしてソラは日本を救うきっかけを生み出したヒロムの信頼する仲間の1人として向こうは認識しているはずだ」

「そうか、《一条》の追ってる組織の人間からしたらオレたちは単体でも遭遇したくない相手って事になるのか」

 

「その通りだ。あの組織の人間からしたらオレたちは単体でも遭遇は避けたい存在のはずだ。だが、3人が揃う状況の中で仕掛けてくる様子が一切無いのは不自然に思う他ない」

 

「中枢までオレたちが到達しないと意味が無いとかそんなんじゃないのか?」

「わざわざ逃げ続け材料とした元能力者を使い捨てにするようなやつらが自分たちのテリトリーに容易く踏み込ませると?考えにくいな」

 

「だがソラの言い分も一理あるはずだ。オレたち3人は能力者、罠にかけて能力を奪うとなれば絶好の素材になるはずだからな」

「素材、か。そんな風に考えてるかは怪しさしかないが……」

 

 何故施設内に居るはずの人間が仕掛けてこないのか、再び進み始めたソラたちは考えられる可能性を挙げながら真相へ辿り着けるであろう中枢に確実に迫ろうとした。

 

 3人が進み続けると彼らはT字で左右に分かれる通路に直面する。時折瞬間的に強く光る灯りが選択を迫るかのような分かれ道、どちらかに進むしかないのは間違いない。が、問題は左右どちらの通路を選び進行するかだった。


「……っ、ん?」

 

「厄介だな……」

「まさか、ここまでの道中何もしてこなかったのはここで試すためだったという事か?」

 

「悩む事あるか?どうせ進むしかないなら二手に分かれるしか無いだろ?」

「馬鹿言うな相馬ソラ。目的を果たすにしても軽率に分かれる選択は……

「オマエらは左行け。オレ単独で右に行く」

 

「……何?」

「ソラ、どうしてだ?」

 

 右と左、分岐する2つの通路のどちらを選び進行するかという問題に敵への警戒心から慎重になるアリス。そのアリスの警戒心を無視するように勝手に単独で進行しようとする旨を口にするソラ。

 

 彼の勝手な発言、それには何かしらの意味があると感じ取ったシンクは理由を尋ね、理由の説明を求められているソラほ自身が進むと口にした右へ向かう通路の先を見ながらシンクとアリスに自身の意図を明かす。



「オレが単独行動するならどう動くか分かるシンクと双座アリスが組んで動く方が効率がいい。敵がいたとしてオレが戦ってるってなればシンクならオレがどう暴れるか分かった上で進行出来るんならそうした方がいいって考えただけだ」


「敵の有無はさておいてある程度オマエの行動を把握出来る氷堂シンクとオレが組む方が利点があると言いたいのか」

「ソラ、分かってると思うがそれにオレたちが乗って別行動になった瞬間、オマエは全て自己判断で処理する事を強いられる事になる。それは理解してるよな?」

 

「そこまでバカじゃねぇよ。分かった上で提案してるし、分かった上で1人になるって言ってんだ。信用しろ」

 

「……分かった、ならオマエの考えに乗る。助けには行けないが無線機は繋がるだろうからこっち側で何かあればオレが連絡を入れる。ソラの方も何か見つけたら連絡だけ入れてくれ」

 

「あぁ、無線機が生きてたらな」

 

「……死ぬなよ、ソラ」

「無理はするなよ、相馬ソラ」

「言われるまでも無い。達者でな」

 

 何が潜んでいるか分からない状況下において無謀にも単独行動を自ら提案したソラ。彼の意思を尊重するようにシンクはそれを聞き入れ、無線機による連絡だけは行う旨を伝えるとアリスと共にソラの武運を祈るように言葉を残してシンクは左の通路を進んで行く。

 

 シンクとアリスの姿は暫く進んだ後に薄暗い通路故に生まれる暗闇の中へ消える。そして……

 

 2人の姿が消えるとソラは自らが単独で進むと名乗り出た右側の通路を進もうとするのだが……

 

「さて、何が出るのやら……」

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