後編
☆☆☆王国軍
15年前、勇者討伐が行われた。
討伐後、魔法が使えなくなった。
女神様の怒りだと言う人もいる。
代わりに
魔道砲が作られた。
今日は、軍事パレードの日、王城前広場には、様々な魔道砲が集まっていた。
「勇者軍・・・異世界の騎士、数百と見積もられます・・・しかし、すでに、市場を占拠、冒険者軍を撃退したと言われています。あれ、鉄のトンボだ!」
指揮官の上を、ドローンが飛ぶ。
「何だ。無害か?」
無害と判断したが、頭の上を飛ばれるのは我慢できない。
迎撃を命じる。
弓を放つ。
「弓隊!放て!」
シュン、シュン~~~
「「「「「オオオオオオオオオオオオ」」」」
「矢に恐れをなして、逃げて行ったぞ!」
ヒュ~~~~~~ン、ヒュ~~~~~ン
空を切裂く音が聞こえる。
「な、何だ。この音は?」
「ドラゴンか?」
王城前広場から、およそ2キロ先の市場から、彼らは、120ミリ迫撃砲を撃ったのだ。
ドローンは、偵察、及び観測を兼ねていた。
ドカーーーーーーーーン
石畳と人と、兵器群が空を飛ぶ。
わずか。数分で、王城前広場に待機していた。この国の魔道軍は戦闘不能になった。
☆王城
「何が、起きているか・・・今日は、対勇者戦争記念15周年パレードの日ではないか!」
「王城前の魔道砲全滅・・・しました。この王城にも、鉄トンボが飛んできています」
「ええい。転進し、国境の砦に籠もるぞ。援軍を要請しろ」
「既に囲まれています!展開が早すぎます!勇者出現の報から、30分経過してませんって」
既に、異形の軍団が、王城を取り囲み。戦車による砲撃が始まろうとしている。
その中で、王城に配備されている魔道砲部隊は、砲撃の準備をしていた。
「爆裂魔石セットよし。照準、鉄の地竜!撃て!」
ドン!ドン!ドン!
と弾が、数発放たれ、一発、90式戦車に着弾をした。
ガツン!
大きな音が生じたが、
それは、ただの鉄の玉であった。
まるで、アヘン戦争の時の清国軍の砲弾、
砲弾の中に、発火薬と信管を装備し、着弾と共に爆発する榴弾は開発されていない。
当たり前だ。
戦車長は命じる。
[前方、10(ヒトマル)の方向、城壁の穴から撃ってきた。撃てぇ~]
ギィィィィィン
砲が向き。連続で撃つ。
ドカーーン!
城壁は崩れ。カタパルトは損壊し、弓兵は生きてはいなかった。
更に、砲撃で、門を破壊後、
レンジャー小隊一個班が、ゴムボートにより水堀を渡り。王門付近を占拠、
[施設中隊!渡河小隊前へ!]
既に、王城前広場で組み立てた。架柱橋を、人員で運び。王城の水堀にかける。
簡易的な橋なので、戦車やトラックは渡れない。それで、充分だ。
アキは、左右、前後をレンジャー班に守られて、橋を渡る。
アキの後ろには、ハンス、ベッキーが付き従う。
更に、サムソンを縛ったまま連行しているフランクも、何故かいた。
・・・やだよ。市場に残るのも。次々に、騎士団が襲ってきているが、返り討ちにあっているじゃないか。
まだ、人間のいる方がいいぜ。
しかし、この少女の目的は何だ?
敵討ちなら、異世界の騎士団にやってもらえばよくないか?
☆☆☆1時間後
「戦闘団長。王を捕獲しました!」
「ヒィ、何が目的だ。分った。サムソンの代わりに、客分将軍にしようぞ。勇者と仲違いがあったが、子の代で、また、仲直り・・・グハ」
バチン
とアキは殴った。
「さあ、私は勇者だ。魔族についた勇者だ。だから、人族の魔王に相当する王を討伐に来た。15年前に討伐された。父様、母様、ローズさん。ロドリゲスさんの仇だ。
これも、慣いだ」
「ヒィ、代わりに、騎士団長を・・そうだ。サムソン!・・捕まっているのか!」
「騎士団長、騎士、衛兵隊も全滅した。さあ、ここで、私と一騎打ちだ」
異界の騎士が、刀を、王に、丁寧に渡す。
[さあ、どうぞ。これは、村田刀です。マスターと同じもので、ブタの頭を一刀で斬り、銅の延べ金を斬った記録もある一品ですぞ]
「ヒィ、そなたを騎士団長にする!どうか、この化け・・いや、勇者様を説得してくだされ」
[大陸共通語は分りません。当職は、マスターの意向をかなえるのが職務です。さあ、勝てば、我等は消え。王国は平穏を取り戻しますぞ!]
異界の騎士が、両手刀を渡しやがるぜ。
そうか。勇者は、魔王と戦う。
なら、魔族の勇者は、人族の王と一騎打ちをするためだけに、異世界の騎士団を呼び寄せたのか?
王は、万策付き。刀を取り。
アキに斬りかかった。
・・・・
「終わった。統治能力もなく、武力もない。こんな奴が王になれるなんて、人族は・・」
「アキ様・・こちらへ。魔道機関士を尋問しました。ケンジ様と、サユリ様は・・・こちらへ」
「うん!」
・・・勇者ケンジ様と、サユリ様は生きておられるのか?
俺は期待した。
しかし、
水溶液のつまった大きなガラスビンに・・・勇者様と聖女様の首が入っていた。
「未だに、魔力を放出しています・・・各国からの魔王討伐報賞金を、懐に入れたかったのと、勇者様、聖女様の無尽蔵な魔力を王は欲したかったのでしょう。城の魔力装置のエネルギー源として使われてました」
「ウウ、グスン、グスン、滅ぼす・・・人族は、ジイとベッキー以外いらない」
「なるほど、それもいいでしょう。私は勇者様のお心に従います」
「わ、私は勇者様の戦闘補助。地獄まで従います!」
・・・なんだ。こいつら、頭、おかしいのか?
逃げよう。サムソンをおいて、逃げよう。
できるだけ、遠くに、逃げて、女神信仰圏法王直轄領、聖王国にこのことを言えば、
アキは腕を天に伸ばして、叫んだ。
【凡人召喚!師団規模、第7師団、第一空挺団、水陸機動団、後方支援連隊、航空・・・】
バチン!
詠唱が止まった。
何故なら、俺がビンタをしたからだ。
あれ、手の方がイタい。
俺は、逃げるんじゃなかったのか?
いや、逃げるよ。
しかし、手が勝手に出た。
アキ様は、信じられない目で俺を見ている。
何か言わなきゃ。
何を言えば、心に響く。
俺は、土下座のフランク、
俺は服を脱いだ!勿論、上着だけだ。大きな、肩から腰にかけて斜めに傷がある。
「俺は、一角グリスリーに、やられて、肺までやられたけど、聖女サユリ様が治して下さって、勇者ケンジ様と賢者ローズ様、剣聖ロドリゲス様が、討伐して下さったのだ。
親御さんたちは、世界を滅ぼしたくはなかったと思うぞ!
何故なら、俺を助けてくれたからだ!」
少女は、少し、考えた後、
ニヤッと笑った。
分ってくれたのか?
「・・・フ、それなら、お前、宰相をやれ」
「へ、それは、無理です」
「だからだ。面白いから」
「ヒドイですって、アキ様!」
☆その後、
少女が召喚を解いた後、魔王軍がその次の日にはやって来た。
水牛のような湾曲した角を2つ持つ。二本角の魔王、マリーン魔王陛下だ。
彼女は、勇者ケンジ様に討伐された魔王の娘だ。
何があったが知らんが、仲良しだ。
「この国を魔族の保護領にするのじゃ。まあ、アキの化粧料じゃな」
この国は、魔族の傘下になった。
俺は、アキ様の代理として、忙しく回ることになる。
アキ様は、ハンスじいさんとベッキーを連れて旅だった。
「父様と母様のお墓に相応しい場所を見つけてくる。魔力の放出されても、誰も興味を持たない場所、誰も来ない場所がいい。魔族領の奥地ね」
「どうか。お気をつけて」
そして、1年後、
「アキ様は、お帰りなさいませ。さあ、王城を復興しておきました。王の部屋へご案内します」
「ううん。これから、人族の領域に行ってくるから、いいよ。次は、法王討伐だよ」
「はい、はい、もう、好きにして下さいよ!」
俺は、今日も、王都を回る。
激務だ。
元からの部下を使い何とか回している。
更に、前の政権下で不遇を囲っていた貴族を味方につけ。
どうにか。国を回せるようになったころ。
王都で、あいつを見つけた。
市場の吟遊詩人スペースで、弁士みたいなことをしていた。
「ええ、私は、サムソンの先輩でして、6000戦勝1敗は本当です」
「ええ、平民学校時代のケンカも含めてです」
「うそつけ、この野郎!1年半で1000も、増えているじゃないか!」
俺は子爵の身分になったが、
壇上に登って、座っているサムソンの足をガシガシ蹴って、顔を殴った。
パチン!
「グハ」
「何だ。俺のパンチでもよろけているじゃないか!いい加減にしろよ!」
まだ、魔法が使えない。勇者召喚は失敗続きだと聞く。
女神様の怒りは、解けないようだ。
最後までお読み頂き有難うございました。




