6限目-2
この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
Dear my friend.
Did you get the results of the previous mock exam? It gives me a headache when I look at it.
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少しずつ秋の風を感じる。日差しはまだまだ暑いけれど、爽やかでどこか切ない風と、どこか心を締め付けられるような秋の匂いが日に日に強くなっていく。
午前最後の授業の現代社会を受けながら、私は自分の机の上と向き合う。
少しずつ言葉を重ねながら、私は知らない誰かの何かを少しずつ知っていく。
他愛のない言葉を積み重ね、この間の模試の話になる。模試は全学年で行われており、私のメッセージの相手が同級生なのか、先輩なのか後輩なのかは分からない。でも、少なくとも勉強が好きだとか得意な人では無いらしい。
英語の一人称の代名詞は「I」だけであり、それが「私」なのか「僕」なのか「俺」なのかは分からない。だから、私は今やり取りしている相手が女子なのか男子なのかすら分からない。会話自体も当たり障りのないことしかお互いに書いていないから、会話内容から相手の性別を特定することも難しい。
でも、相手が誰なのかはどうでも良くなっている。
知ってるけれど知らない相手と、咲希たちとするのとは違う会話、違う距離感でいるのが不思議と居心地が良かった。程よく他人で距離があるから、ある意味で気の置けない仲になれるのかもしれない。
相手からのメッセージに対し、私も返事を書く。
Dear my friend.
I don't want to see the test results.
But sooner or later, there will be midterms, which sucks.
ほんと、模試の結果なんて見たくもない。見なくても良くないことは分かりきってる・・・。勉強しなくちゃとも思うし、将来のこととか考えると甘くみてちゃダメなことも分かるんだけど。
今までだったら、そういうことを考えるだけで灰色の世界だったのに、この人とやりとりしてると将来への不安とか勉強の息苦しさも、前ほどのツラさのようなものはない。
まあ、でも中間テストがそのうちあるのはめちゃくちゃ嫌なんだけど。
訳:この前の模試の結果は返ってきた?見てると頭が痛くなるよ。
模試とかテストとかあるので、作者は学生時代には戻りたくありません。ただ、必死にその瞬間を生きて楽しんでた時代は懐かしくて良いなぁと思います。