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Dear my friend  作者: 万寿実
第6章 coloring
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28限目 関わり

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。


 Dear my friend.

 Human relationships are a strange thing. Somewhere, someone is watching, and we can understand each other over time.




 *****


 秋元から「Dear my friend.」のメッセージについて聞いて知り、改めて不思議だと思った。

 私も秋元もお互いの素性について分かることは書いていないし、私に関しては相手がいつメッセージを書いたのかも分からない。


 すれ違うように言葉を交わして重ね、時間をかけて私と秋元は机越しに不思議な友情を築いていた。秋元も毎日決まった時間にあの教室へと来ている訳でもなかったらしい。


 あの日ペンケースを忘れなければ、あの日秋元が選択Bに来ていなければ…私たちは未だに会えてなかったのかもしれない。吉田に再開することもなかった。


 本当に運命ってやつなのかもしれない。




 バレンタインから1週間後、日直の私は日誌の提出のため放課後に職員室を訪れる。担任に日誌を提出後、帰ろうとしたとこで声をかけられる。


「斎藤」


 名前を呼ばれ振り向くと職員室の入口に放送委員の顧問・江藤先生が立っていた。


「ちょっと一緒に運んでもらってええか?」


 先生は両手いっぱいに書類を抱えており、私は二つ返事で半分持ち先生の後に続く。学年末にさしかかり、今年度の書類の生理や来年度用のプリント作成などがあるらしい。


 放送室にたどり着くと、そこには誰もいない。放課後の放送の時間はもうすぐで、きっとそのうち担当の人がくるだろう。静かな放送室は少し懐かしく、吉田と隣に座っていた時の空気が蘇るようだった。


「斎藤、吉田のこと知ってたんやってな。秋元から聞いた」


 プリントを机の上に置き、先生は放送室の椅子に腰掛け私を静かに見る。


「秋元からは斎藤にはあんまり吉田のこと聞いたりしやんといてくれって言われてるし、俺は斎藤の担任でも学年担当でもないから…でしゃばってるんは分かってるんやけど」


 言葉を慎重に選びながらも江藤先生は私にまっすぐ向き合う。


「なんかあったら来てくれたらええよ。親御さんとか友達とか、もっと見知った先生でもええし…斎藤も秋元も無理せんか心配でな」


 私と江藤先生との関わりはたった1年間の委員会活動で、先生の授業を受けたこともなければ担任でもない。本当に一時の関係で、それだけなのに顔と名前を覚えていてくれて、心配してくれている。


「いや、ほんま…でしゃばってごめんやで。でも2人とも時には周りに頼ったり、甘えたり、そういうんしてええんやで」


 私も秋元も少し休んだりはしたが、基本的には学校に来ていつもの日常を送っている。吉田のことは学校側は把握しているだろうし、秋元が吉田の家族と深く交流あったことなどは伝えられているだろう。私のことはどうだか分からないが、江藤先生の話し方からすると秋元が江藤先生に軽く伝えただけのようだった。


 同級生──友人の死を経験した生徒のメンタルフォローとかもあるのだろう。秋元はそのへんのことは何も語らないし、私も聞く勇気は無い。秋元がなにをどう思っているのか、知りたいような知りたくないような……。


「ありがとうございます」


 私はまだ誰かに何かを言えることは無い。まだ目の前の毎日を送るので精一杯で、何かをどうするかなんて考えることも感じることも出来ない。


 吉田のいない今というこの瞬間を生きることしかできないし、何かをすることなんて思いつきもしない。


 でも、先生の気遣いとか暖かさは素直に嬉しかった。


 何かを先生に伝える気持ちも言葉も持ち合わせていない私は、お礼だけしか言えなかった。先生はそれ以上なにかを言うことはなく、「手伝ってくれてありがとう」とだけ言い、私と江藤先生は放送室前で解散しそれぞれの道を進む。




 ***




 三学期の修了式の日、私は秋元と共に吉田の家に行った。あの日から向き合えなかったことに向き合うため、吉田の仏壇に手を合わせた。


 吉田の家族にお世話になったのに全く来れなかったこと、吉田との別れにも行かなかったことを謝罪したが皆優しく「気にすることじゃない」と言ってくれた。


 そのまま吉田家で秋元と他愛のないことを話す時間は楽しく、吉田の家の温かさを感じた。自分の家とはまた違った居心地の良さがあり、吉田の面影を感じずにはいられなかった。


 吉田の家族から、あのライブの日に撮った写真とライブ動画を収めたDVDを手渡された。




 けれど、私はその写真を自分のアルバムに入れる時にしか見ることは出来ず、DVDも見る勇気はなかった。



約:人の縁って不思議なものだね。どこかで誰かが見ていてくれたり、時間をかけて分かり合えたり



最近おもうのですが、ほんと世の中生きてくのって人との関わりが大切だなーと。

私はあまり人と関わるのが好きではないタイプで、しかも人見知りです。


人とあまり関わらずマイペースに生きていきたい(笑)


でも、面倒で大変で心労もありますが人と関わることで得られることってたくさんあります。知らないことを知れたり、助けてもらえたり……。ほんと、縁ってやつなんだなと歳を重ねると思います。


それにしても、江藤先生いい先生ですね。

こんな先生がいたら学校楽しそうです。


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