コランタンの真実
いままでのわたしは、どうかしていたとしかいいようがない。それが当たり前だと思い込んでいた。虐げられたり蔑まされたりしていたのは、可愛がってもらったりやさしくしてもらうこと同様のことだと信じていた。
いいえ。そう思ったり信じたりすることで、わたし自身の気持ちを正当化していた。
だけどいまは違う。
異常だった。お父様たちもわたし自身も。
これまでのわたしの生活は、なにもかもふつうじゃなかった。
それを理解し、そんな生活から抜けだせただけでも幸運だった。
その機会を与えてくれたのが、皮肉にもお姉様やお父様だった。
その点では感謝しなくてはならない。
そして、コランタンにも。
彼に身代わりで嫁がされたお蔭で、彼との出会いがあった。
その出会いにより、わたしはすこしでも強くなった。
感謝してもしきれない。
「ミキ。明日、帰ることにする。なあに心配はいらない。しばらくは挨拶などでてんてこまいするが、それもすぐに慣れる。それと、ご令嬢たちの注目の的になるだろうが、かならずやおれが守るから」
さすがに疲れきっている。自室に戻ろうと居間の扉のノブに手をかけたところでコランタンに呼び止められた。
「そんなことより、もっと伝えるべき言葉がたくさんあるわよ」
「そうですよ。かんじんなことをいくつも伝えていません」
「その通りです」
「ええ、忘れていらっしゃいます」
アリソン、レオン、フィリップ、サミュエルの順に言ったけれど、四人ともなんだか呆れ返っているみたい。
「ああ、そうだな」
コランタンは、目に見えてシュンとしている。
「その、ミキ。非常に言いにくいのだが……。昨夜、言いかけたことなんだ」
ドキリとした。そうだった。いよいよ捨てられるということを告げられるのね。だけど、ユルバン王国には連れて行ってくれるはずよね? じゃあ、いったいどんな悪いことなのかしら?
「おれはたしかに将軍でもあるんだが、じつは王太子なんだ」
はい?
「殿下、まだあるでしょう?」
「わかっているよ、アリソン。ミキ、それでだな。国王即位が決まっている」
はいいいい?
「今回、即位の前に最後のわがままを通させてもらった。どうしても自分が愛するレディを妻に迎えたい。それで周辺の国をまわっていた。この国が最後だった。つまり、愛するレディに巡り会わないまま、この国に来た。そして、この国がラストだった。もうこれで戻らねばならない。残念ながら巡り会わないまま、国に戻って好きでもないレディと夫婦にならなければならない、となかば諦めて自暴自棄になっていた」
彼はわたしの前に立つと、わたしの両手を自分のそれで包み込んだ。




