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第六話 傭兵管理機構






スピルリナを守って欲しいと言われた青年、コウは食事の為に動くと決めた。


『あーあー、音声の調子はどうでしょうか』

「特に問題無いな」


そんな彼はオーラに連れられ、スピルリナ本星の軍港へと降り立った。


「コウ殿?」

「あー、すまんすまん。こっからはどうするんだ?」

「我々の手配した車で軍港を出て、真っ直ぐMMOへと向かう予定だ」

「オーライ。流石に観光する暇も無いな」

「申し訳ない……」


極秘ではあるが、コウは国賓と言っても差し支えない存在。

非常に静かな走行音の車は周囲の周囲を見せる事無く、素早く目的地へと向かった。


「付いたぞ」


傭兵を管理し依頼者と繋ぐ。

そうした理念の下で運用される傭兵管理機構……通称MMOは、コウがVRゲームの世界であるアルカディアに居た時から存在している。


彼らは“全宇宙に支部を置いている”と豪語しているのだが、その言葉は不思議な事に世界が変わっても守られていた。


「内装はやっぱどこも変わらないんだな……」


MMOの建物は地域に合わせた外観をしている。


一方の内装は金属の多様されたシンプルな物が多いのだが、それは建物が職員を守る為のシェルターとしても機能する事。

そしてその機能を備え付ける兼ね合いで非常に製造コストが上がっている事があり、ブロック化して量産しているからだ。


「コウ殿?」

「あぁ、すまんすまん」


コウは急ぎ足でオーラの後を追うが、既に受付は始まっている。


「スピルリナからコウ様への指名依頼、承りました。処理を行いますので少々お待ち下さい」


受付の職員はそう言い残しバックヤードへと向かった。

一方のコウはキョロキョロと周りに目を向ける。


「何を警戒しているんだ?」

「いや、絡まれるのがベタな展開だと思ったんだが……」

「スピルリナは治安が良い方だから、そんな事は早々起きないさ」


だが噂話はされているらしい。


「アレが赤羽根のパイロットか?」

「あぁ。金獅子の遣わした使徒……らしいぜ」

「俺は戦う所見てたんだが、ヤツの動きは化け物みたいなモンだ。正直敵に回したくは無いね……」

「じゃあパーゲル軍の大部隊を一人で壊滅させたって噂も本当なのか?」

「多分な。スピルリナ兵も話してたぜ」


彼らの言葉は概ね合っている。

多少は誇張して話されがちな噂話も、コウ相手であれば全て可能範囲内の言葉なのだろう。


「赤羽根と言うと……あぁ、ノイント・エンデの事か」

「流石に噂を誤魔化す時間と余裕は無かったんだ。多少不快に思うかもしれないが、彼らの事は許してやって欲しい」

「まぁ……あんだけ派手にやりゃあな。それよりも、手続きの方は?」

「コウ殿のデータを探して貰っている」


本人を前にして噂話をする人間は中々居ない。

ざわついた室内が落ち着いた頃、ようやく顰めっ面の職員が戻って来た。


「申し訳ありません、コウ様の名前は確認出来たのですが……その他の情報がほぼ全て消失していました。スピルリナを登録地として再設定してもよろしいでしょうか?」

「それで大丈夫だ」

「承知しました。しばらくお待ち下さい」


アルカディア時代のマップが実在しない事は既にアイオーンが調べている。

実績に関しては少し痛いが、スピルリナという特大のスポンサーと戦場が待っているのだから問題無いだろう。


職員がしばらくコンソールを操作すると、カウンターに設置されたタッチパネルにいくつかの表示が現れた。


「傭兵登録の再設定に当たり、いくつかの情報を再入力して頂きます」

「あー、あのクソ長いやつか。懐かしいな」

「申し訳ありません……」

「いや、良いよ良いよ」


時折職員の指示を受けつつ、タッチパネルを操作し再登録は無事に終了した。






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