日常
少し湯中り気味だ。
女の子は毎回風呂場でこんな面倒くさい事をしてるんだろうか?
結局シャワー浴びるだけのつもりが、頭と身体洗ってる間にお湯を貯めれたし。
二人にチャキチャキ洗ってもらって、三十分くらいかかってるのに、一人で風呂に入って一時間で出て来れるだろうか?。
そんな事を考えながら風呂から出て身体を拭く。
「もっと丁寧に髪の毛は拭いて!。」いちいち二人の女神に叱られる。
「『女の子って楽しい』ってきっと思うようになる」ってさっき言ってたけど、それより先に『女の子って本当に面倒くさい』とウンザリしはじめていた。
身体を拭いてある程度濡れた頭の水分を取った後に
「じゃあ買ってきた下着を履いてね。」と言われた。
ここで女物の下着を履かなきゃいけないのはわかっていた。
今日二人が買ってきた物の中には僕の下着もあったし「きっと風呂から出たタイミングで女物の下着に変えなきゃいけないんだろうな」とは半ば覚悟していた。
しかしここで女物の下着をつけてしまったら全てが終わり、全てが変わる気がする。
女神二人もそこまで強引に話を進めるタイプじゃない。
ここでゴネたらもしかして女物の下着はつけなくても良いんじゃないか?。・・・などと僕は淡い期待を抱いていた。
「買ってきてもらって申し訳ないけど僕、女物の下着つけたくないんだ。」僕は意を決してハッキリと言った。
響子さんは顔は笑っていた。
しかし効果音をつけるなら「ゴゴゴゴゴゴ・・・」という感じで静かに怒っていた。
「さっきね、夕飯の時に言わなかったけどトランクスの中身がハミ出てたのよ。
凛にあのトランクスは大きすぎたのね。
『言うのも可哀想だ』と思って『女の慎みを知りなさい』とは敢えて注意しなかったの。
体制変えるたびにチラチラ見えちゃいけない物が見えてたし、座ってる時は常に見えてたわ。
言ったら恥ずかしがると思って言わなかったのよ。
『どうせ風呂上がりにはちゃんとサイズの合ってる下着に変えるんだから』と。
もう一度、トランクス履くつもりなら言っておくわ。
『露出狂みたいだからやめておきなさい』」響子さんは笑顔だったが、笑顔が逆に怖かった。
僕は静かに怒っている響子さんにビビってしまった。
僕は小声で「はい」と言うと素直に女物のパンツを履いた。
女神は怒らせちゃいけない。
僕は本能的に察した。
下着の履き心地は控え目に言って最高だった。
ただ長い髪の毛をやっと乾かした後、「スキンケアだ」とか言って肌にペタペタ乳液を叩いて染み込ませる・・・という拷問が待っていた。
これを毎日繰り返すらしい。
この日常を『楽しい』と思う日が来るんだろうか?。
僕はため息をついた。