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トイレ風呂別女神付き  作者: 海星
7/14

入浴

夕飯が終わった。

 特に分担を決めた訳ではないが、女神達は食べ終わった食器をシンクまで持ってきた。

 その事に僕は気を良くした。

 料理を楽しいと思う人は男女に関係なく意外と多い。

 だが、食器洗いや食材の片付け、食事の後の掃除を楽しいと感じる人は少ない。

 僕にとって、食べ終わった後の食器を持ってきてくれるという事は『料理を作った人に感謝の感情を示す』と言う事で、とても嬉しい事だ。

 「じゃあ洗い物もしろよ」という話だが、僕にとって『洗い物、掃除までが料理』なので、そこまでは他の人にやってもらわないでも構わない。

 「後はやっとくからテレビでも見てゆっくりしといて」僕は響子さんと三葉さんに言った。

 響子さんと三葉さんは顔を見合わせて小さく呟いた。

 「本当にお嫁さんになるために生まれてきたような子ね。」と。


 その後、僕は湯槽にお湯を貯める前に湯槽を洗おうとした。

 いつもであれば少し前屈みになるだけで、湯槽は簡単に洗えた。

 だが、慣れていない身体で僕は湯槽に滑って落ちてしまった。

 大きな音がしたので、響子さんと三葉さんが慌てて風呂場まで見にきた。

 そこには頭からシャワーを浴びてずぶ濡れになってお湯が貯まっていない湯槽で気まずそうに横になっている僕がいた。

 大した怪我がなさそうな僕を見て二人には「君はまだその身体になれてないんだから、身体を使う事は私達を呼んで。」と少し厳しめに言われた。

 「それはともかく、全身びしょびしょになっちゃたんだから今日はシャワーだけでも良いから浴びましょう?。

 あと今日は私達も一緒にシャワー浴びるから。

 君は女の子の身体でどうやって頭洗ったら良いか知らないだろうし、さっき転んだ時に打ち身が出来てたとしても自分じゃ見れないでしょ?。」僕は『嫌も応もなく』女神達と風呂に入る事になった。

 彫刻になっている女神達はアフロディーテにしてもヴィーナスにしても程よく肉がついており『巨乳』でも『爆乳』でもない。

 響子さんも三葉さんもそんな『巨乳』ではないが、僕とは違い太っている訳ではなく、ある程度脂肪がついていて『大人の身体つき』だ。

 それと比べて僕の身体つきは小学校四年生くらいの身体つきだ。


 男でも裸を見られるのは照れ臭い。

 温泉でも腰にタオルを巻いて、湯槽に入る直前にタオルを取ったりする光景は珍しくない。

 響子さんも三葉さんも裸になる事に全く照れはない。

 僕が元男である事を二人は知っているはずなのに、見られても堂々としているのはどうしてだろうか?

 逆に僕の方が、こそこそと肌を隠している。


 響子さんと三葉さんと一緒に風呂に入る事になった。

 響子さんも三葉さんも僕と同じ学年に編入する事になっているらしい。

 『神通力』を使って周りが感じる違和感を消しているんだろうが、これは明らかに変だ。

 女神の身体つきというのは『慈愛に満ちている』というのだろうか?

 言ってみれば『成熟しきっている』

 下手したら裸はいやらしさを感じない。

 まるで美術品、工芸品、芸術品のようだ。

 まるでルーブル美術館で女神の裸体を描いたような絵を見たような神々しささえ感じる。

 感じるからこそ余計に、この2つの芸術的な裸体の前で、幼児体型の裸を晒すのが恥ずかしい。

 どうせならもう少し幼くなって背中に羽が生えて裸の女神の周りを天使として飛んでいた方がまだ違和感はなさそうだ。

 これが同じ『16歳』だと言うのだから違和感はどこに消えているのだろうか?。


 風呂場に移動する。

 ある程度服を脱いだところで髪の毛をブラッシングされた。

 意味がわからない。

 これから頭を洗って髪の毛を濡らすのに、どうして今から髪の毛をブラッシングするのか?

 そんな疑問をよそに僕の肩くらいまで伸びた黒髪は手際よくブラッシングされていく。

 「ストレートで傷んでない、良い髪の毛ね。

 必ずこの髪質を維持するために、お風呂に入る前にブラッシングしなさい。

 そうすればシャンプーやリンスやコンディショナーの髪の通りが良くなって髪質が悪くならないから。」

 「うわ、面倒くせっ!」僕は思わず呟いた。

 妹が中学に入ってやたら風呂の時間が長くなったけど、女の子の風呂は男と違ってやる事が多そうだ。

 だいたいコンディショナーって何だよ。

 リンスインシャンプーで頭洗ったら、それで終わりじゃないのか?。

 髪が長いから面倒くさいんだ。

 坊主にすれば、そこまで面倒ではないはずだ。

 女性モデルでも坊主頭でセクシーな人もいる。

 別に坊主頭でもおかしくないだろう。

 そんな僕の考えを読んでか響子さんが

 「勝手に髪の毛を切らないで下さいね。

 しばらく女性の生活に慣れるまで、凛のトータルコーディネートは私達が行うわ。

 『坊主頭のモデルさんもいる』なんて思っているかも知れないけど、アレはセクシーさの中で意外性を演出しているの。

 ガリガリの幼女体型で坊主頭なら、ただの『難民の欠食児童』だからね。」

 僕の考えが読まれているんだろうか?

 僕の行動が予測しやすいんだろうか?

 他にも身体の洗い方や湯に浸かる時の髪の毛のまとめ方などを学んだ。

 「うぅ~、女って面倒くさい・・・。」僕は思わず弱音を漏らした。

 「確かに面倒くさい事もあるかも知れない。

 でも『女の子って楽しい!』って思う事もそのうちにあるはずよ?。」と三葉さん。


 ふと思う。

 どの神がつくかは運だと思う。

 『貧乏神』がついた人もいるはずだし『疫病神』がついた人だっているはずだ。

 僕についた『ラブコメの神』と『TSFの神』はハズレはハズレなんだろうけど『大ハズレ』なんだろうか?『小ハズレ』なんだろうか?。

 「ねえ、神がついて不幸になる事ってあるの?」僕は身体を洗われながら二人に聞く。

 「その人次第だね。

 持病で長年苦しんでる人なんて『死神』を凄く歓迎したりするからね。

 女体化した事を不幸だと思ってるんだろうし、本当に申し訳ないとは思うけど、それが不幸な結末を辿るかはまだわからない・・・なんて言うと凛は怒るかも知れないけど・・・。

 『女体化が幸福の訳がない』ってね。

 でも女体化しないで『BLの神』がついた男の子なんて最初は不機嫌そうにお尻を押さえてたけど、最終的には『BLの神がついた事で幸せになれた』とか言ってたからね。

凛も『BLの神』の方が良かった?。」

 「い、いや。

 同性愛を否定する訳じゃないけど、アソコは腸だから・・・。

 アソコは出口であって入り口じゃないから。」僕はお尻を押さえながら答えた。

 『福の神』みたいに歓迎されるような神様ばっかりじゃないんだな・・・もしかしたら僕の境遇はマシなのかも、と思いながらいつもの三倍以上の時間風呂に入った。

 


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