姿見
「さてと・・・。」
邪魔者は消えた。
やらなきゃいけない事を済ませよう。
そして男子高校生らしくリビドーを爆発させよう。
姿見に自分を映す。
単身赴任する父さんに母さんとまだ小学生だった妹がついていってもうすぐ五年になる。
僕は高校生になった。
『多感な時期にあまり転校とかさせない方が良いだろう。』と一人置いていかれた。
僕の後を付いてきて『お兄ちゃん大好き』と言っていた妹も中学生、絶賛反抗期の真っ最中で久しぶりに合ったら突然『お兄』と呼ばれた。
元々住んでいた家は誰かに貸してある。
それほど大きな家ではなかったが、家族で住んでいた家は一人で住むには大きすぎる。
僕は1DKのワンルームのアパートを借りた。
両親の「一人暮らしさせるとは言え、金銭面ではあまり不自由させたくない。」という考え方で僕は贅沢は出来なかったが、アルバイトしなくても普通に仕送りだけで生活出来た。
「女の子の独り暮らしはお金がかかる」と言う。
その上、居候が二人いる。
服代、その他必要経費は交渉により神に出させる事になった。
なった・・・が、しばらくはお金がかかるだろう。
「バイト探すか・・・。」
僕は姿見の中の自分を見た。
自分の姿を客観的に見て「どんなバイトが出来そうか」を考えようとしたのだ。
・・・何故人は自分に言い訳するのだろうか?。
自分しかいないんだから「僕は女の子の体に興味があるんだ、文句あるか?」と言っても良いじゃないか。
・・・というか、誰もいないんだから言い訳だって必要ないじゃないか。
なのに「僕はどんなバイトが出来そうか考えてただけだ」とか・・・僕は誰に言い訳してるんだろうか?。
こうやって二人が出掛けたのを見計らって、身体をチェックしようとしているのだから『疚しさ満載』だ。
「女体化なんていやだ~、参ったな~(棒読み)」と言いつつ、実はノリノリな面も僕にはあった。
神が常に一緒にいる安心感だろうか?。
僕は「言っても男に戻れるだろう。」と思っていた。
だからだろうか?。
僕は女体化を楽しもうとしていた。
後で考えると色んな意味で神の『思惑通り』ではなかっただろうか。
鏡に自分を映す。
悪くない。
かなりの美少女だ。
そりゃ『ラブコメの神』と『TSFの神』が関わってる女体化だ。
モブ以下のブサイクTSラブコメキャラとか存在意味がわからないんで、ある程度美少女だとは思っていたが想像以上だ。
ただ一つ不満があるとするなら『この姿は全然僕の好みじゃない』という事だ。
僕は巨乳が好きだ。
年下か年上かと聞かれたら年上以外有り得ない。
『女教師』とか、大好物だ。
『保健室の白衣姿の教師』とか堪らない。
そしてその『女教師』は巨乳であるほど文句はない。
僕は高校生なので『女子高生』だ。
元々学生モノのAVは借りない、琴線に触れないのだ。
そして貧乳だ。
辛うじて真っ平らではなく二つの丘のように少し盛り上がっている。
勘違いされがちだが『巨乳』と『ロリ』は矛盾しない。
それどころか『ロリ巨乳』という一つのジャンルがあるほどだ。
だが二次元には腐るほどいる『ロリ巨乳』は実際にはあまり実在しない。
実在するのは『ロリで貧乳』という者ばかりだ。
僕もその例に漏れず『ロリ貧乳』という訳だ。
僕のストライクゾーンは『年上のスレンダーな巨乳の女教師』だが、姿見に映っているのは『同い年の幼児体型な貧乳の女子高生』だ。
「好みじゃないけど贅沢も言ってられない。
二人が出掛けてる間に急いで抜いとくか。」
僕は妥協する事にした。
ちょっと待て。
抜く?
どうやって?
僕はそう考えた時、初めて女体化した事に絶望感を抱いた。