運命共同体
「で、僕は具体的に何をすれば良いんだ?」
「いや、細かく言えば『やっちゃいけない事』も沢山あるけど基本的には今までと同じように登校して帰ってくれば良いわ。
友達が多いなら『今までと同じ調子で今までの友達に話しかけちゃダメ』とか言わなきゃいけないだろうけど、どうせ『ボッチ』でしょ?。
休み時間は一人ぼっちで一人寂しく過ごしているのを誤魔化すために寝たふりしてるんでしょ?。」
「その決めつけは何なんだよ!?。
『どうせ』ってどういう意味だよ!?。
まぁ・・・その通りだけどさ。」
「やっぱり。
女の子に変わったからと言っても特に女の子に話しかける必要はないわ。
凛の数少ない友達が私達、神二人・・・という設定だから。」
「設定かよぅ。
本当に仲良くしてくれよぅ・・・。」
「それ以外にも『がに股で歩いてはダメ』とか『足を開いて座っちゃダメ』とか細かい『やっちゃいけない事』はあるけど、それは違反しても『下品だなぁ』とか『女の子らしくないなぁ』って思われるだけだから。」
「じゃあ今から、学校に行きましょう?。」
「えっ?何しに?。
今日はもう土曜日の午後で高校は半日で終わってるはずだけど。
つーか、午前中僕、授業受けてたし。
午後に学校から帰ってきてご飯食べようとしてたら、アンタらが突然訪ねて来て、いきなり僕を女の子に変えたんじゃないか!。」
「そうでしたね。
でも、私達は学校に用があるのです。
そして、凛さんあなたも。」
「・・・はっ!。
あ、そうか。
『凛』って僕の事か。」
「極力、神通力で違和感を周りの人が感じないようにはしますが、誤魔化しきれないほど変なリアクションはしないでください。」
「何でアンタらに無理矢理女の子に変えられた僕が協力しなきゃいけないんだよ!。」
「協力しないならば私達も凛をフォローしません。
そうなった場合、不自然な言動を繰り返している君が真っ先に『大五郎君を連れ去った犯人』として疑われると思うわ。
疑われたら『本当は僕が大五郎なんだ。女の子に変えられたんだ』と主張するの?。」
「脅しかよ!。」
「脅しじゃありません。
そうなる可能性が高い、という話です。」
「わかったよ!。
出来るだけアンタらに協力はする。
その代わり、『ある程度日が経ったら僕を男に戻す』とも約束してくれ!。」
「男に戻す方法は私達にはわかりません。
でも、わかりました。
男に戻す方法がわかり次第、必ず男に戻します。」
「約束だぞ!。
僕たちは運命共同体だぞ!。
それはともかく僕が外に着て行ける服がないよ。
学校に行くなら裸で行くしかないね。
裸の違和感を『神通力』で消してくれるの?。」
「いや、裸で外に出ようとしないで!。
買い物には私達が行きます。
服も買ってきましょう。
学校に行くのはまたの機会という事で。」
こうして僕と女神二人の奇妙な共同生活が始まった。