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03.冒険者になる時の話〜ギルド編〜




 その日、ギルドはざわついた。紙袋を被った少年(?)が入ってきたのだ。


「あ、すみませんお姉さん。受付ってどこ?」

「こちらで承っておりますよ」

 少年は常識外れな格好だが常識は持ち合わせているようだった。


「こちらに身分と、使える魔法を記入してください。それと、300ベリルを払って頂ければ、ギルド所属となります」

 少年は氏名のところにオレガンと書いた。使える魔法は回復魔法。そして麻袋に入った300ベリルを渡した。

「ありがとうお姉さん!僕ギルド初めてだから、色々説明してくれると嬉しいんだけど……」


 なんだか一挙一動が初々しくて、周りにいた人の何人かが温かい視線を送っていた。


「あ、はい。ご説明させていただきますね。まずランクについてですが、加入者は一律Gランクとなります。そこから、こなしていただいたクエストの内容や数によって、Fランク、Eランクと上がっていきます。Aランクより上の方がSランクとなります。受けられるクエストがランクによって違うのでお気をつけくださいね。また、パーティを組む場合は、メンバーの平均ランクがパーティに反映されます。何か質問はありますか?」

 少年は言った。

「もし、偶々受けてたクエスト以外もこなしたら、その時は事後報告でも報酬とか貰えたりするんですか?」

「ええ。証明は必要ですが、可能ですよ。お金はかかりますが、鑑定魔道士もおりますので証明も可能です」

「ありがとう!またわからないことがあったら聞きに来るよ!」

と少年はギルド所属証明のブレスレットを受け取って受付を離れた。

 そのブレスレットにおすすめのクエストなどの連絡が来るらしい。

 また、ランクが上がると縁に石がはめ込めるようになっている。


 よーし!楽しくなってきた!

とその少年、もといクロエはウキウキしていると、お酒を飲んでるおっちゃんに捕まった。


「おいボウズ。お前武器は持ってるのか?」

「いや、持ってないよ。今から買いに行こうと思ってて」

「そうか。俺は鍛治師をしていてなぁ、どうだ。タダで武器作ってやるよ」

 おっちゃんはげへげへと笑っていた。


「あー、すまないね、おっちゃん。ただより怖いモノはないって言うし、酔いが覚めたら全て忘れて、盗まれた!とか言われても困るんだ。気持ちだけ受け取っておくよ。ありがとう」

そう返すと


ガツン


 と衝撃が走った。拳で頬を殴られたのだ。口の中が鉄の味がした。

「ヒール」

 小声で言ったため周囲に回復魔法が使えることは知られなかった。

 目の前には顔を真っ赤にしてニタニタ笑っているおっちゃんが立っていた。


「おいおい、親切は受け取っておくもんだぜ?なーんも知らねえ坊ちゃんよ!」

と胸ぐらを掴まれて持ち上げられた。

「人を殴る奴に親切心があるとは思えないけどね」

 苦しかったがそれを見せず、鼻で笑ったらまた殴られた。しまった、先に武器買っておけば良かったなあと考えていると


「そこまでだ」


 凛とした声が響いた。聞いたことある声なんですけど!?

 声の主を見ると、そこには第二王子であるベルガー様がいらっしゃった。ギルドに所属してたなんて聞いてない!


「うわ出たよ。正義感振りかざすだけのヒーローがよ。顔だけできゃーきゃー言われやがって。興が冷めた」

 おっちゃんは冷めた目で私を放り投げた。

 というかおっちゃんがこんな口で話すってことは王子だって明かしてないのかしら?

 服もよく見ると平民が着ている服を着ている。社交界にもあまり出ないし(レアだから来ると人だかりがすごい)、人前に出る行事も第一王子が付き添ってるだけだもんね。バレないか。

バレても平気なのかな……などと宙に浮きながら考えていたら、キャッチされた。


「大丈夫かい?」

 ええ大丈夫じゃないです。社交界の花が醜聞ある私を抱っこしたなんてしれたら大問題です。

 すぐに降りた。


「えーと、兄ちゃんありがとうな!!!」

 にへっと笑った。見えてないから意味ないだろうけど。

「怪我がないか、確認させて欲しいんだけど……」

 と彼は紙袋に手を伸ばしてきた。


 私はガバッと頭を抑えた。

「すまん兄ちゃん!これは事情があって外せないんだ!!!」


 ぱちくり、とベルガー様は瞬きしたかと思うと、クスクス笑い出した。


「勇ましい少年だね。同じギルドの仲間なんだ。そのうちまた会うだろう。その時は仲良くしてくれよ、これは餞別だ」

と言って剣を1つ譲ってくれた。


「わー!!!ありがとう兄ちゃん!!!すっごい大事に使うな!!!」

 なんてったって王子様の剣だもんね!!!おいそれと渡して大丈夫なの?と思うが手持ちも心許ないのでありがたく頂くことにする。


「必ず恩返しするから!!!」

と言うと、またクスクス笑い出した。


「恩返しね、楽しみにしてるよ」


 ベルガー様は、怪我に気をつけてね、と言って去った。

はー、イケメンはやることが違いますなー、と感心しながら、私は彼を見送った。




まだ冒険者のお話です。

次のお話でちょっと動きがあるかもしれません。

なるべく毎日投稿すると言っているのですが、出来上がった小説は基本的に0時に投稿されるように設定してます。

読んでくださりありがとうございました!


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