14.お揃い
「ダズとリサじゃないか!」
休日に一緒に出かけてるのか……この双子仲がいいな……。
「おうおう?こいつがベルの彼女か?」
「こらダズ!こいつとか言わないっす!すみませんっすね〜、こっちがダズで、私はリサ!よろしくっす!」
「お話はよく聞いておりますよ。いつもベル……がお世話になってます。クロエと申します。以後お見知り置きを」
ぺこりとお辞儀をした。まさか私がオレガンと同一人物なんて思わないわよね。
「はぇ〜〜、綺麗な人っすね。相手がベルでいいんすか?」
リサたちはベルの正体を知らないからそんなことが言えるのだろう。私としては、ベルの立場より人柄に惚れたところがあるので、王子でなくても全く気にならないが。
「ええ、ベルがいいんです」
リサはきゃーと顔を押さえて、ダズは肘でベルを突いていた。ベルは顔に力を入れて何か堪えているようだった。
「クロエさんたち、今からお昼っすか?ここっすよね?もし良ければ一緒に食べないっすか?」
「がはは!メンツに華が加わるな!」
「俺はクロエがいいなら……」
「ええ、私も構いませんよ」
いつものメンバーだしね!
ということで、野宿メンバーで食事することとなった。メリーちゃんも来れたら良かったのだけれど、なかなか厳しそうよね。リサが女子会withオレガンを開催するって言ってたからその時に楽しもっと。
「なんかクロエさんって、女性にしてはしっかり引き締まってるっすよね……」
リサがステーキを食べながら言った。ちなみにこの後のデザートもパフェとチーズタルトとフォンダンショコラといったずっしりしたものを頼んでいたのでよく入るものだなと驚いた。
「ええと、馬に乗ったり、園芸が好きだから、そのおかげかしら?体を動かすのは好きで、小さい頃からおてんばでしたし……」
昔を思い出してしまって顔に触れた。
「あ、よく見ると傷があるっすね。もしかして、その傷ガンゲじゃないっすか!?」
傷があることに嫌な顔をしないことに胸を撫で下ろし、ええ、とうなずくとリサはニコッと笑って、ペロンと前髪をあげた。
「私もおそろいっす!!!」
リサのおでこにも、傷があった。
傷があることを嫌がるどころか、屈託のない笑顔でお揃いだと笑ってもらえて嬉しかった。リサが傷を気にせず過ごしているところを見て眩しかった。
「わわ、なんかやっちゃったっすか!?お揃い嫌だったっすか!?ごめんっす!泣き止んでっす〜!」
「違うの、嬉しくて……」
ベルはそっとハンカチを渡してくれた。ダズは気にせず食事を続けてくれた。
なんて素敵な人たちと出会えたんだろう。私は心がとても暖かかった。
「ごめんなさいね、急に泣いちゃって。ずっと悪いことばかり言われてきたから嬉しくて」
「いやー、こっちこそ悪かったっす!気にしてると思わなくて!でも本当にじっくり見ないとわからないっすね……今度隠し方教えてくださいっす!」
「ええ、もちろん!」
私にはじめてお友達が出来た。
そこでダズが丁度食事を終えたようで、ところでと切り出した。
「ベルとクロエさんこの後の予定は?」
「特に……のんびり考えようと思っていたから」
「それなら俺様たちと一緒にギルド行かねーか?体動かしたくてよー!」
「私が行ってもいいのかしら?」
「ギルド登録してなくてもクエスト見学は出来るだろ、いざとなったら俺様が守ってやるよ!がはは!」
「いや俺が守るから」
とベルがムスッと言った。
「決まりっす!そしたらレッツゴーっす!メリーって言う可愛い子も来るから楽しみにしてるっす!」
メリーちゃんも来るんだ。楽しみだな。
「オレガンも誘ったんだがなー、返事がなくてよ」
「忙しいんじゃないっすか?面白いやつなんでまたそのうちっす!」
私はあはは〜と笑っておいた。
「そうだ、一緒に行くならこれ」
と、ベルガーは牙を渡してくれた。
「ディーデイルの牙だ。毒に耐性がつく」
「あら、そしたらベルが持ってた方が……」
今日の私は見てるだけだろうし。しかしベルは首を振った。
「いや、持っててくれ。あげてもいいよな?」
「がはは!持っておれ!」
「もち!いいに決まってるっす〜!」
と言ってくれた。
「では」
と紐を通して首から下げた。
むふん、と顔を上げると3人がプルプルしていた。
「ディーデイルはな……っふふっ」
「オレガン……オレガンの頭っす……」
「がはは!あれは傑作だったな!」
三者三様に笑っていたのだ。
え?あれかっこよくない?
みんなの反応に納得できないものの、そのままギルドへ向かい、クエスト見学するのだった。
やっとメリーちゃん書けそうです。
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