13.デートと遭遇者
今日は待ちに待ったデートである。そもそも異性とは縁遠かったので、デートは初めてでわくわくしてしまう。
チャイはとても気合を入れて私を整えてくれた。
「クロエ様、ベルガー様が到着しました」
迎えがきたようである。
「今行くわ」
と馬車まで行くと、ベルガーがじっとこっちをみていた。
「えっと……ちょっと、派手すぎましたかね。着替えてきましょうか」
はりきりすぎちゃったかしら!恥ずかしい!と戻ろうとすると、腕を掴まれた。デジャブ。
振り向くとベルガーの顔は真っ赤だった。
……?どういう反応?
「あ、いや、すまない。陽の元で会うのは初めてだったから、こんなに可憐なんだと驚いたんだ。いつも可愛いと思ってはいたんだが、こんなに眩しく見えるなんて……今にも見えなくなってしまいそうで眺めてしまった。気を悪くしたらすまない」
か!可愛い!ベルガーが照れてるのめちゃくちゃ可愛い!しかもすごく褒めてくれてる!嬉しくてにやけちゃいそう。いっか、思いっきり笑っちゃお。
「ベルガーったら!口上手なんだから!」
ふふふと笑ったら、ベルガーが更に顔を赤くした。
「あの、お二人さん。ずっとイチャイチャしてると街に着きませんよ」
は!今日は外でデートなのよ!街に行ってからが楽しみじゃない!
ベルガーのエスコートで馬車に乗り、2人で街に向かうのだった。
◇
「街へ行ったらまず何がしたいんだ?」
「あのですね、ベルガーに服を選んで欲しくて……」
好きな人に選んでもらった服を着るのって憧れるもの!
このくらい甘えてもいいわよね……?
「あと、書店に寄って、ベルガーの好きなジャンルのものを教えてもらえたらなーって。それから、ランチ、とこんな感じかしらね」
「俺の好きなジャンルって……本だと冒険ものだぞ?それか参考書。まあ参考書は知識増やすためのものだし……」
「それでいいの。ベルガーが何を見て何を知ってるか知りたいだけだから」
「じゃあ、クロエの好きなのも教えてくれな。交換こしよう」
ふはっと笑ったベルガーにときめきが止まらない。なんでいつもよりもかっこよく見えるの!ドキドキを抑えるために他のことを考えることにした。
私の好きなものも知ってもらえるんだ。何勧めようかしら。思いっきり恋愛ものにしよっと。どんな顔で読むのかしらね。ふふふ。
そうこうしているうちに最初の目的地に到着した。
「ファッションとかわからないんだけど、本当に俺が選んでいいのか?」
「ええ、それが1番嬉しいんです」
と笑うと、ベルガーは店員さんと相談してくる、と場を離れた。
「赤と白のストライプはキャンディみたいで可愛いし、シックな紺も迷うわね」
私はお店に並んだドレスを眺めながらのんびりしていた。
「クロエ、ちょっといいか」
「はい」
ベルガーの元に行くと、後は頼んだ、と店員さんにお願いしていた。どうやらフルオーダーするらしい。
「お嬢様の体型が素敵なので、それが映える形で、尚且つ色はこれ、とおっしゃられたんですよ〜」
と店員さんが教えてくれた。色は届いてからの秘密と言われてしまった。
採寸を終えるとベルガーも服を頼んだようで、ちょうど良かったと言ってくれた。
さて、次は書店である!馬車で向かっても良かったが、せっかくなら歩きたいと私がいい、ベルガーも承諾してくれた。
服も街を歩いてても違和感のないものを着ているので、私たちが貴族であることはパッと見わからないだろう。
わー!デートしてるなって感じがする!
書店では、一度解散して、互いに好きな本を選び相手の家に送ることにした。重いのは嫌だし、家に帰ってからもわくわくできるから!と伝えると、そうだな、と言って頭を撫でてくれた。
今日すごい甘やかしてもらってる!最高に楽しい!
そしてランチである。
私もお店はリサーチ済みで、お肉からスイーツまでなんでもござれなところを選んだ。
サンドウィッチとかパンケーキとか軽食な店だとベルガーが物足りないかな、と思ったことと、私もお肉食べたい!と思ったからだ。
「ここですよ〜」
と到着したところ
「あれ?ベルじゃないっすか〜!」
と誰かに呼びかけられた。
振り向くと、やほ!とダズとリサが立っていた。
こういう世界の人って、魚よりお肉食べるイメージ強いんですよね。お肉食べたい。
読んでくださりありがとうございます!




