08.遠征
ベルガーが話していた通り、ブレスレットに連絡が入った。
"メンバー全員に告ぐ。
今週末、クエストで西側に遠征しようと考えているのだが、参加可能だろうか。おそらく野宿だ"
"俺様いつでも行けるぜ"
"行けるっす〜"
"……シスターが遠征はまだダメって……ごめんなさい……代わりのヒーラー、いる?……ポーションに、する?"
"ポーションをお願いしたい"
こんなやりとりが行われていた。結構参加自由なのは緩いなあと思いつつありがたい。
"オレガンは参加出来そうか?"
"参加する!楽しみだ!"
"遊びじゃないっすよ〜!"
"がはは!楽しみだな!"
"……みんな、気をつけて、ね"
そして、連絡は途切れた。
◇
「っか〜!めちゃくちゃ晴れたっすね!」
絶好のお散歩日和である。
「おいおい、ちゃんとクエストだってことは頭に入れておけよ。道中だってモンスターが出ないとは限らないんだからな」
「そこは俺様の探知スキル信頼していいぜ!がはは」
さっきまでは、馬車の荷台に乗せてもらっていたのだけれど、ここから先は入れないから、と言われて歩くことになった。
「なあベル、今から僕たちは何しに行くんだ?」
「西側で、何故かモンスターが異常発生しているからって、原因解明と駆逐依頼があったんだよ。弱いモンスターなんだけど、移動距離が長くてあまりやりたがる人がいなくてな」
弱いモンスターだったらこのメンツでも大丈夫だろう。移動距離が長いのはなんとも言えないが、野宿というのはしたことがないので、実はかなり楽しみであった。
「今日はここで野宿だな」
少し開けた場所に出たので、ベルがそう言った。向かうだけで丸一日かかるとは……これは受けたがる人がいないのもうなずける。
「お」
と言ってダズが何処かへ行った。
「いいのか?」
とリサに聞くと
「いいっすよ。アタシらは準備するっす」
と言ったので、一緒に薪を集めに行った。
ベルはブレスレットを使ってギルドに近況報告をしていた。
薪をくべて火が確保できた所でダズが帰ってきた。ダルナゴ(猪に鹿の角が生えたようなモンスター)を2匹抱えていた。
「レッツパーティーだぜ!がはは!」
どうやらダズの探知スキルに引っかかった獲物を捕まえてきてくれたようだ。
「肉っす!大量っす!」
移動中は携帯食や乾パンで食事をすませていたので、みんな大喜びだった。
収納系の魔法覚えたら食材保存しながら運べるから便利だよな、帰ったら覚えようと道中心に誓った。
夜は2人ずつ見張りで、順番に睡眠を取った。まずはダズとリサの双子組が見張ってくれるというので、先に眠ることにした。
「僕が寝てる間に絶対にこれ取るんじゃないぞ!絶対だからな!」
「それは取ってくれっていう前振りか?」
「違う!」
「大丈夫っすよ、そこも含めて見張っておくっす」
ダズはなんだかんだ言いながら、取らないでいてくれるだろうし、リサもちゃんと気にかけてくれるんだろう。安心して寝ようとした時だった。
「ほら、こっちこいよ。毛布一緒に入ったほうが暖かいだろ」
とベルに手招きされた。待ってー!心の準備が!
「いや、僕1人で寝「ん?」
言葉を遮り、にこにこと微睡ながら、毛布をあげて待ってくれている。拒否権はなさそうだ。
ベルはなんとも思ってないようだけど、私は心臓がばっくばくなんです!隣で眠ってもいいんでしょうか。でも眠らないと明日に響く。私は観念して隣で眠ることにした。
「失礼します……」
恐る恐る隣に行くと、ベルは肩まで毛布をかけてくれた。
「おー、しっかり眠る……ん……」
最後まで言い切らずにベルは眠った。寝付きいいな……なんだか私も力が抜けちゃった。ふあ……おやすみなさい。
人生で一度でいいので漫画肉食べてみたいなあと思います。
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