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01.はじまり




 父の書斎の戸をノックしようとすると、中から妹の弾んだ声が聞こえた。


「お父様!今日は私とお出かけする約束でしょう!早く準備してくださいな」

「リーシュ!そう急かさないでくれないか。時間はまだあるんだから」

 父は穏やかに笑っていた。


「クロエ姉さま誘いますか?」


 私の名前が出たときに、ぴりっと一瞬空気が変わった。


「何を馬鹿なことを言っておるんだ。あいつと一緒に歩くなんて、外聞の悪いことするわけないだろう」


 扉の前でそっと、私は顔にある傷に触れた。


「そう」

 リーシュはいつもの通りだと言わんばかりの返事をした。その続きはもう聞いていたくなくて、私は部屋を後にした。


 私は由緒ある伯爵家の長女である。長女だから重宝されると思われるが我が家では大違いだ。

 なぜかって?原因は私の顔にある傷のせいだろう。


 まだ6歳の頃、体を動かすことが大好きだった私が郊外に遊びに出ていたところ、たまたま居合わせたガンゲ(頭はツノが生えたトカゲで、前足は鷹、それ以降はライオンのような生物。サイズは大きくても大人の腰あたりである。)に襲われたのである。

 幸い近くにいた冒険者に助けられ一命は取り留めたが、顔に傷痕を残してしまった。

 それまで私はとても大切に育てられていたため、両親が泣いているのは私の事を想ってだと考えていたのだが、

「これでは嫁に出すことができない」

「世間の恥になってしまうわ」

と嘆いているのを聞いたときは、私は道具だったんだな、と目の前が真っ暗になった。


 それ以来、妹のリーシュが今まで以上に大切に育てられ、私は腫れ物でも触るような扱いになった。


 一応伯爵家の娘であるので、一通りの作法や教養を身につけたり、楽器を演奏したり、踊りを覚えたり、ということはさせてもらえている。

 しかし、金がかかるとぼやいているのを聞いた時には、出来ればいいんでしょう!と言って、レッスンの回数を必要最低限にした。

 幸い、そういったことは好きではないが飲み込みは早かったので、許された。(というよりは、減らしてくれて良かったという安堵が見えた。)


 お呼ばれするお茶会や舞踏会も参加はするものの、壁の花だ。傷はメイクで隠しているが、家族に腫れ物扱いされているのを社交界の人達は知っているので、遠巻きに見る程度で話しかけてくる人も踊りに誘ってくる人もいない。


 なんでそういうところに行かなきゃいけないのかしら?私って必要?

 そういった気持ちは日に日に募っていった。

 メイドのチャイだけは、大丈夫ですよ、私はずっとそばにいますから、と言ってくれる。彼女がいなかったら私はすでに心折れていたかもしれない。

 だからってストレスがたまらないわけではない。

 毎日が窮屈で、退屈で、たまらない。体を思いっきり動かしたい。


 だあーーー!!!


 それならいっそ、冒険者にでもなっちゃおっかな!!!傷が増えても変わらないし、ストレス発散にもなるでしょ!!!マナーとか気にしなくていいし!!!体動かせるし!!!


 と思い至ったのは10歳になった頃であった。

 それから月日は流れ、私は現在16歳。伯爵令嬢もとい、冒険者となり気ままに人生を楽しんでいるのだった。






小説を書くのは初めてで、拙いところも多いと思いますが、これからなるべく毎日投稿しますので、読んでくださると嬉しいです。


一話目、読んでくださりありがとうございました!

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