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俺は事件を解決したい!?

作者: 獅子尾ケイ
掲載日:2020/01/22

 学校には、いろいろな部活動が存在する。


 野球、サッカーなどのスポーツ系。


 将棋や囲碁、軽音楽部などの文化系。


 どれもどこにでもある、普通の部活が多くあるだろう。


 ここ、竹谷場高等学園には、少し変わった活動をする同好会がある。


「犯人は……おまえだ!」


 俺は探偵アニメのように、バシっと決める。


「また始まったわ、 コウのアレ」


 その様子を見ていた、女子生徒は呆れながら話す。


「ちょっとちょっと、 安中先輩! それはないでしょう?」


 俺は、安中先輩につめ寄る。


「アンタさ……高校生なんだからそろそろ卒業しなさいよ、 その恥ずかしいのを」


「なに言ってるんですか! もしかしたら、 本当に起きるかもしれないでしょう? 学校での事件」


 俺、山崎 コウは竹谷場高等学園のミステリー研究同好会に所属している。


 主な活動は、学園に存在する奇妙な噂や、事件を研究することだ。


「事件なんか、 起きるわけないでしょう? なに言ってんのよ」


 こう話すのは、同好会の会長である、安中 ミキ。


「だいたいミステリー研究なんて名ばかりで、 やってることは校内ボランティアでしょうが」


 安中先輩の言う通り、この同好会でミステリー要素がある活動をしたことはない。


 せいぜい、ミステリー小説や漫画を読んで、その感想文を書く程度だ。


 それ以外は学園の清掃ボランティアが中心であった。


「はあ、 つまんないー! なんか事件とか起きてくれないかな」


 机にうなだれた俺は、そうつぶやく。


「あんたね、 探偵みたいなマネごとがしたいだけでしょ? たいして頭が良くないのに」


 俺は昔から、探偵に憧れていた。


 事件の推理や、謎を解いて犯人を探し出す。


ーーこれほどかっこいいものはない!


 だが現実は悲しいかな、テレビなんかで起きる事件を自分で推理するもダメ。


 的外れな推理をして、まったく関係がない人を犯人だと言う始末。


 安中先輩が俺に言う、頭が良くないとは、そういうことなのだろう。


「きちんと関連書籍は読んでるから! 知識はありますから」


 あきれている先輩に俺はそう言い返す。


 安中先輩はそんな僕を無視して、パソコンで作業をしていた。


「また小説を書いてるんですか? 誰も読まないのに」


 安中先輩はミステリー好きであり、自分で小説を書いている。


 読ませてもらったことはないが、そこそこネットでは有名らしい。


「そんな妄想事件なんかやめて、 現実の事件を探しましょうよ」


 俺がそう話すと、安中先輩の指が止まる。


「うるさいうるさい! あんたがいう事件が起きたら、 今ごろ学園の生徒はみんなこの世にいないわよ」


 逆ギレに近いように、突然怒り出す。


「そんなことより、 今日はグラウンドの草むしりでしょ! 早く行きなさい」


「ちぇっ、 今日の依頼は草むしりか……」


 俺は必要な道具を持って、部室を出る。


 部室の扉には、依頼箱がある。


 学園での捜査依頼や困ったことを依頼する際に俺が置いたものだ。


「来るのは、 ボランティア依頼だけか」


 いつのまにか、学園ボランティアをお願いする時に使われる箱に成り果ていた。


 俺はため息をついて、グラウンドに向かった。


「よう! コウ、 待ってたぜ。 誰も来ねーんだもん」


 グラウンドに着くと、同じ同好会員である、佐川 カイトが俺を待っていた。


「おまえ、 相変わらず早いな」


「まあな! いい運動になるし、 草むしりは下半身を鍛えられる」


 カイトは元柔道部だ。


 それなりに実力はあったらしく、試合にレギュラーで出ていた。


 しかし怪我が理由で、退部を余儀なくされ、ミステリー同好会に入会する。


「見ろよこの筋肉! まさに、 ミステリーだろ?」


 入会理由を尋ねられた時、カイトはそう話した。


 まったくミステリーとは関係がないのに、即日に入会を許される。


「おまえ、 事件とか推理とかは好きなのか?」


 草むしりをさっそく始めているカイトに、俺は聞いてみる。


「ははは! 好きだぞ? なんだっけ、 冬夜叉殺人事件だっけ?」


 前に貸した探偵漫画を読んだのか、そうカイトは答える。


「ちげーよ! 漫画の話じゃなくて、 リアルな事件や推理は好きかと聞いたんだ」


 グラウンドに生える雑草をむしり取りながら、僕は話す。


「ああ? だって俺らは刑事じゃないじゃん、 推理する必要なくね?」


ーーこいつ、 正論を言ってやがる。


 地味に痛いところを突くカイトに、僕はため息をつく。


「ダメだ! どいつもこいつも、 まるで話合わね」


 ヤケになった俺は、鎌を使ってひたすら雑草を切っていく。


「ミステリー小説ばかり書く会長! 筋肉バカな同級生! ろくなやつがいない」


 日頃のうっぷんを晴らすように、ひたすら草むしりをする。


「まあコウ、 そうヤケになるな! いつか、 我が家のポチがいなくなりましたとかあるから安心しろ」


「探偵は犬探しなんか、 しねーだろ」


 こんな日が毎日のように続く。


ーー次の日。


 同じように部室で推理本を読んでいると、安中先輩が入ってくる。


「ねえ、 ボランティア箱に変な紙が入ってるんだけど」


 安中先輩は白い封筒を俺らに見せる。


「ボランティア箱じゃなくて調査依頼箱! んで、 なんすか? それ」


「いや、 今日のボランティア依頼あるかなって見たら、 こんな紙が入ってたのよ」


 俺は封筒を開け、 中身を確認する。


「なんだ……これ」


 手紙が一枚入っており、 そこにはこう書かれていた。


ーーコノ学園デオコル、スベテノ依頼ヲ解ケ。


 怪文書のような文字で書かれていた文字に、俺らはおどろく。


「なにこれ、 イタズラ? こんなの書くのはコウでしょう?」


 安中先輩は俺に向かって、そう尋ねる。


「ははは! コウらしいな、 自作自演が目に見えているぞ」


 カイトは笑いながら、俺の肩をたたく。


「いや…… 俺じゃないっすよ? 放課後まで部室に来てないですし」


 学園に来て、部活動の時間までこの教室に来たことはない。


 自分の教室からこの部室までは、距離が長いため、普段は立ち寄らない。


「マジで? じゃあ、 いったい誰が」


 安中先輩がそう言いかけると、どこからか悲鳴が聞こえた。


「きゃああああ!」


 その声は、今まで聞いたことのないような叫び声だ。


「なんだ? なにかあったのか」


 その声に部室にいた俺たちはおどろいた。


「きたきた! 殺人事件だ、 ついに俺が待ってた事件が起きたぜ」


 テンションが上がった俺は、勢いよく扉を開け、部室を飛び出す。


「ちょっと! どこに行くのよ」


 安中先輩たちを無視して飛び出した俺は、悲鳴が聞こえた教室まで走る。


「事件だ事件だ! この謎、 俺が解決してみせる」


 教室に着くと、ドアを強く開いた。


「こっ、 これは!」


 教室の中には割れた花瓶、 その横で倒れている女子生徒。


 まさに凄惨な現場が、そこにはあった。


ーーそしてこれから起こるだろう、この悲しい事件が俺を待ち受けているのだろう。


「多分な!」


 俺は言ってみたかったセリフを頭で思い浮かべながら、教室へ入った。


 俺が教室に入ると、周りは静まりかえっていた。


「誰も動くな! この中に犯人がいるかもしれない」


 そう叫んだ俺は、倒れている女子生徒に近づく。


「こいつはひどい……」


 割れた花瓶がそばにあり、破片が散乱している。


 おそらく、犯人はこの花瓶で女子生徒を殴ったと、俺は推理した。


ーーこの俺が、 必ず犯人を見つけてやるからな。


 そう決意して、女子生徒に向かって手を拝む。


「南無南無」


 拝み終わった俺は、犯人を見つけるべき立ち上がる。


「……あの」


ーーしかし、犯人は誰なんだ?


 明らかにクラスメイトの誰かが、この生徒を撲殺したに違いない。


 俺は右手をアゴに当てながら、頭で考える。


「あの!」


「誰だ! 人が推理しているのに、話しかけてくるやつは」


 声が聞こえたほうを振り向くと、俺はおどろく。


「しっ……死体が動いた!」


 先ほど、頭を花瓶で殴られていた女子生徒が目の前に立っていた。


「わたし、 死んでなんかいません! 勝手に殺さないでください」


 女子生徒はそうにらみながら、俺に詰め寄る。


「いや……だって床に倒れてたし、 花瓶だって割れてただろ」


 状況からして、死んでいておかしくない様子に俺は話す。


「失礼な人ね! 花瓶の水を変えようとしたら、 すべって頭に当たったのよ」


 女子生徒の言葉に、俺は驚愕する。


「へ? 誰かに殴られたんじゃないのか?」


「違うわよ! 自分でぶつけて、 そのまま気絶しちゃったの!」


 拍子抜けな真実に、俺は紙のようにペラペラする。


「……なんだよ、 事件じゃなくて事故かよ」


 俺がその場に崩れ落ちると、教室中が笑い声で埋め尽くされる。


 遅れて来たミキ先輩とカイトは、状況がわからずにポカンとしていた。


 教室の生徒に話を聞いた二人は、ため息をつきながら教室の扉まで俺を引きずる。


「バカ! 恥ずかしいじゃないの、 ろくなことしないんだから」


「だってー、 本当に事件かと思ったんですもん」


 学校でそんな事件が起こる確率は、ほぼゼロに近い。


 俺が事件に巡り合うことは、はたしてあるのだろうか。


 それは、この学校にいる生徒の人間関係に期待するしかない。

作品を読んで頂きありがとうございます。


この物語は、もともと他のサイトで連載する予定であったものを短編に作り直したものになります。


連載は無理でした笑

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