介護士は肩をすくめる
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「なるほど。そんなことが……。」
「てか、王だったんすか!?」
「なんでこんな所に王様が……!?」
宰相一派との確執を聞いて、俺は納得し、マクセンは驚き、アルテナは頭を抱えた。
驚くことは人生を豊かにする可能性があるが、悩むことにはあまり価値がない。何もしてないのと同じだからだ。
ま、それはともかく。
「どうやらその宰相一派というのは、例の男に洗脳されているな。」
「ああ、確かにそうっすね。」
「協力的だったのに急に態度を変えるとか、ちょっと考えにくいしね。」
「……例の男?」
俺は暗殺者風の男について説明した。
人間の国で獣人を洗脳して騒動を起こした事や、ドラゴンを召喚した事も。そして、それらにどうやって対抗したかを話した。さらに今なお目的が不明瞭で、なぜか今度はエルフの国にちょっかいを出し始めたらしいという情報までを共有した。
「なるほど。
セシールのゴーレム魔法は凄いからな。助けになったのなら幸いだ。」
「セシールをご存じで?」
「実は、あれは私の娘だ。」
「えっ?」
「セシールが?」
「マジっすか!?」
王侯貴族の子供が、平民として、あるいは平民と同じように暮らしている。
追放されたとかで没落したか、あるいは認知されていない私生児か。
王が「凄い」と認める魔法の腕前を持ちながら追放というのは考えにくい。あの性格で問題児という事もないだろう。
そういえばアーネスが初めてセシールのことを紹介してくれたときに「重要人物だ」と言っていた。32話を参照されたい。ところが、あのときの説明では「他国の住人だから、我が国で死なれたのでは具合が悪い」という話だった。それのどこが「重要人物」なのかと思う。前世でも「外国旅行中の邦人が殺された」というような事件はたまにあったが、それをもって「重要人物」とは言わなかった。小さな違和感だが、どうもごまかされたような感はあった。これで腑に落ちたというものだ。
「ご落胤ですか。」
「うむ。若気の至りだ。」
王は少し考えた。
口をすぼめて、上唇を吸い込むようにして、舌先をちょっと出している。視線は斜め上に。
それから不意に視線を俺のほうへ戻したかと思うと「これも何かの縁か」と1人で勝手に納得していた。
「君たちを王城へ招待しよう。
娘に届けて貰いたいものがある。きっと君たちの役にも立つだろう。」
「セシールの研究に役立つような何か、という事ですか?」
「うむ。ミスリルの塊だ。素材として使ってくれれば、何かの役に立つだろう。」
「ミスリル……。
失礼ながら、俺たちが持ち逃げするかも、とはお考えにならないので?」
「Sランク冒険者がそんな事はするまいよ。
ミスリルなど持ち逃げするより、1つ仕事をこなしたほうが儲かるだろう?
それに、そちらの王国の信用を落とすことにもなる。男爵として、それはマズイだろう。」
「そんな事まで話しましたか?」
「いや。だが知っている。
隣の国であれだけ派手にやれば、情報の1つや2つは入ってくるというものだよ。
顔を見るのは初めてだが、話を総合すれば誰なのかは分かる。」
なるほど。身分を隠して動くのは無理があったか。まあ、あまり隠そうとしていなかったが。
とりあえず肩をすくめるしかない。
口をすぼめて、上唇を吸い込むようにして、舌先をちょっと出している。視線は斜め上に。
今度は俺の番だ。同じ表情で、同じ結論に達する。「まあいいか」と。
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