介護士は稼ぐ
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領地運営のために資金が必要だ。Sランク冒険者にして竜殺し。今の俺なら、冒険者活動でかなり稼げるはずだ。
そう思って冒険者ギルドに相談すると、
「倒したドラゴンの死体を売ればいいじゃないですか。」
盲点! 確かにその通りだ。倒したまま放置していた。魔物の死体は、武具や霊薬の素材、食材などに使えるので、売れる。冒険者がそんな事を忘れてどうするんだという話なのだが、こればかりは反省するしかない。獣人事件についてはゴーファ公爵から冒険者ギルドを通して指名依頼という形をとってもらったので、真面目に働いていた。おかげで視点が国防とか領地防衛とかに偏りすぎていたようだ。
まあ、そういう貴族的な視点で動いたおかげで、実際に貴族になってしまったと考える事もできる。これは出世するコツだ。上の立場になったものと仮定して、そういう視点で見て考えて、そういう視点で行動する。そうすると「できる奴だ」と評価される。
今回はちょっと戦力を見せすぎた感がある。男爵にしてもいいと評価されるほどに活躍はできたが、与えられた領地が魔物だらけの森しかないなんて。俺なら最悪でも自分で魔物を狩って収益にするだろうと判断された可能性がありそうだ。現地住民は領主なんて居ても居なくても関係ない冒険者だし。
急いでドラゴンの死体を回収しに向かうと、ドラゴンの死体は未だにそのまま鎮座していた。
鱗が何枚か失われているのは、奪っていった連中がいるのだろう。しかしドラゴンの死体は巨大で重く、しかも頑丈で解体がままならないとあって、運ぶ方法がない。鱗を奪っていった連中も、かなり苦労したことだろう。
「兄貴、よくこんなのぶった切ったっすね。」
「ドラゴンって斬れるものなのね。」
「さすがジャイロだ。」
マクセンが呆れ、アルテナが放心し、アーネスが感心した。
たしかに、自分でもよくできたものだと思う。
ふと好奇心に駆られて、ドラゴンの死体に斬りつけてみた。少し傷がついた。やはり戦闘中と同じ結果だ。次にパワードスーツゴーレムを外して斬りつけてみた。少しも傷つかなかった。これも予想通りだ。パワードスーツゴーレムがなければ負けていた。
そうなると、パワードスーツゴーレムの強化が今後の課題だ。荷物や防具を装着しても重さを感じないで動けるのがパワードスーツゴーレムの長所だが、その後の改造によって戦闘能力の強化も実現している。見ての通りだ。何をどう改造したのかは、作ったセシールに聞かないと分からないが、とにかく強くなったのだけは間違いない。
それをさらに推し進める方法として、防具ではなく加速装置を装着するとか、強化魔法を封じた魔道具を装着するといった手がある。あるいはゴーレムの素材をもっと頑丈なものに変更するとか、魔力の電動効率や増幅率が高い素材を使うとか。
……まあ、とにかく――
「まあ、今の問題はこいつをどうやって運ぶか、だな。」
考え方として、方向性は2つある。
1つは、ハイパワーの運搬手段を用意すること。パワードスーツゴーレムは、手荷物の重さも負担してくれる。だが、試してみると、さすがにドラゴンの体重までは動かせなかった。ゴーレムの素材が重さに耐えられないのだ。無理してフレームが歪むと正しく動作できなくなるので、ゴーレム自体のパワーも相応に抑えられている。
もう1つは、それほどパワーがない運搬手段をたくさん用意すること。大勢で運ぶということだ。ただし、作業員を雇うにしても荷台に載せるのが難しい。もっと単純で効率的な労力は……あ、そうだ。
「上方移動!」
ドラゴンの巨体が、地面の上を滑るように移動した。
上方移動。寝ている相手を、その頭の方向へ移動させる介助だ。寝る位置の調整に使う介助である。俺は介護技術をイメージして魔法を使うと威力と発動待機時間が向上する。最近やってなかったから再確認だ。
今回はスライディングシートを使ったときのイメージで魔法を使った。スライディングシートというのは、見た目はビニールシートに似ている福祉用具で、極端に摩擦が少ない。滑り止めシートの逆だ。滑らせシートである。これを使うと寝ている位置の調整や、そのまま滑らせて移乗するときに、持ち上げなくていいから介助者の体への負担が軽減される。
そのイメージでの魔法。地面そのものを滑らせて、上に乗っているドラゴンを移動させた。ベルトコンベアとか動く歩道とかいえば分かりやすいか。
「売る前にセシールの所に寄っていこう。」
ドラゴンの骨とか、パワードスーツゴーレムの素材によさそうだ。
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