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介護士は倒す

読んでくれてありがとうございます.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.


楽しんでくれると嬉しいです。

 獣人部隊は果敢に戦った。

 暗殺者風の男が繰り出す魔法攻撃の数々に、散開と包囲を繰り返して対応。一進一退の攻防というべきか、攻めあぐねて膠着状態というべきか。

 膠着状態を「よくない状態」と考える武官は多い。なんとか打破しなくては、突破口を見つけなくては、と考える者が多い。だが俺の考えでは、膠着状態は悪くない状態だ。なんせ被害が拡大していない。敵の動きも封じられている。

 そもそも「戦わずに勝つ」というのが理想だ。戦闘状態に入る前に、敵に「勝ち目がない」と思わせるような外交戦略こそが最上である。これを最上とする理由は、彼我に損害が一切なく、なおかつ勝利という結果を手に入れているからだ。

 それに比べると、激しい戦闘の末に勝利したという状態よりも、膠着状態のほうが上等だ。被害が出ていないし、敵の動きは封じられているし、ある意味で「戦わずに勝つ」と近い状態になっている。勝っていないだけで、戦わずに封じている。勝っても相手の動きを封じるのだから、同じ事だといえる。


「くそっ!」

「焦るな。敵も消耗している。」


 じっくり削る。獣人部隊は持久戦を開始した。







 その一方で、暗殺者風の男が召喚した魔物は脅威だった。

 巨大な魔方陣から現れたのは、ドラゴンだ。地上最強の生物。空飛ぶ戦車。空中戦艦。獣人部隊でも勝ち目はない。獣人1万人弱と警備隊との戦場を眼下に見下ろし、ドラゴンはその上空を素通りして王都へ迫った。


「あんなの、どうすりゃいいっすか……。」

「ドラゴンなんて勝ち目ないわ。」

「もはやこれまでか……。」


 アーネスたちが諦めてしまった。


「俺がやる。

 お前らは、あの男を頼む。」

「えっ!?」

「ちょっ……! さすがに無茶っすよ!?」

「死ぬ気か!?」


 ドラゴンなんて相手にしたくないが、やるしかない。

 パワードスーツゴーレムがあるから、俺の戦闘能力は拡張されている。


「大丈夫だ。」


 そう言って飛び出す。

 そう言うしかない。

 だが、本当は何の根拠もない。

 しょうがない。やるしかない状況というやつだ。


「はあっ!」


 斬りつける。だが鱗に防がれた。ほとんど傷がつかない。

 ドラゴンの反撃を、その意思を感知して回避する。先の先だ。

 1度でダメなら何度でも。同じ場所に斬りつけ続けた。ほとんど傷がつかないという事は、わずかに傷がつくという事だ。パワードスーツゴーレムがなければ、このわずかな傷もつけられなかったかもしれない。

 ハエでも払うように、ドラゴンが尻尾を振り回し、ブレスを吐き散らす。

 それをかいくぐって、攻撃を重ねる。


「でやあっ!」


 何度目の攻撃か、ついに鱗が切り裂かれ、ドラゴンにダメージが通った。

 これを好機とみて、俺はさらに同じ場所へ斬りつける。ドラゴンはさせまいと身をよじるが、動きの全ては先の先で事前対応できるから無意味だ。

 数十回も同じ場所へ攻撃を繰り返して、俺の刀はついにドラゴンを両断した。


「「おおっ!」」


 歓声が上がる。

 もはや恐れるものはないとばかりに士気が上がり、戦局が一気に優勢に傾いていく。


「なんだと……!? まさかドラゴンが敗れるとは……くそっ! またしても……イレギュラーめ!」


 暗殺者風の男は、身を翻したかと思うと、煙のように消えてしまった。

 転移魔法だ。起動が早すぎる。よほど慣れているのか、あるいは事前に仕込んでいたのかもしれない。


「……逃がしたか。」

「とりあえず王都の危機は防いだな。」


 1万人近くいた獣人の混成部隊も、警備隊に制圧されつつあった。

 獣人部隊が再びそちらに加勢し、戦局はいよいよ決定的になっていく。


「やれやれ……。」


 気を抜くのはまだ早いが、それでもため息が出るのを止められない。

 パワードスーツゴーレムがなければ危なかった。あの暗殺者風の男は思ったより弱かったが、まさかドラゴンを召喚するとは。

読者様は読んで下さるだけで素晴らしい!(*≧∀≦*)b


評価とかブクマとかして下さった読者様、ありがとうございます。


作者は感謝感激しつつ、小躍りして喜んでおります。(o´∀`o)キャッキャッ♪

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