介護士は見つける
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頂点には魔物が住んでいる。魔物は頂点に住んでいる。……どっちだっけ? ともかく、絶好調の時には思わぬ不運が襲ってくるものだ、という意味だ。洗脳に黒幕が存在することが分かっている以上、それは「思わぬ不運」というより、「予想できた事」というべきかもしれない。
警備隊に急報。それは警備隊隊長代理からアーネスにも報告され、アーネスから俺たちの知るところとなった。
「獣人が暴れている。」
「警備隊は?」
「すでに出撃した。」
獣人部隊も追って出撃するという。
俺は、1つ寄り道をしていく事にした。
「寄り道? どこへ?」
「セシールの所だ。パワードスーツゴーレムを受け取ってくる。」
獣人にちょっかいを出していた一連の事件の「犯人」が、いよいよ大規模に動いたという事だろう。ならば一気に最大戦力を投入するはず。こちらも出せるだけの力を全部出すつもりで当たらなくては。
1万近い獣人の混成部隊は、取り憑かれたように黙々と進んでいた。
方角からすると、行き先は王都だ。王都にも警備隊はいるが、現在地はまだゴーファ公爵の領地であり、そのためゴーファ公爵の警備隊が出撃しなければならない。貴族は王を守るものだ。だから素通りさせるわけにはいかない。
ボーダーラインは、領地の中で封じ込めるかどうかだ。領地から出てしまうと、王都の警備隊が動かなくてはならない。そうすると他の貴族あたりから「何をやっているのか」と責任を問われる。あまり時間をかけすぎても同様だ。
「副隊長、やはり応答がありません。」
「再三の呼びかけにも応じないか。……仕方ない。実力行使を開始する。」
警備隊と獣人たちの戦闘が始まった。
「追いついたぞ。」
セシールのところでパワードスーツゴーレムを受け取った俺は、獣人部隊に追いついた。
獣人部隊はすでに戦場に到着し、1万近い獣人たちと警備隊との戦闘に加わっている。
「いい感じに戦えているじゃないか。
……だが、主戦場はここじゃないな。」
「ジャイロ?」
規模が大きいという意味では、主戦場はここだ。
しかし、犬獣人や虎獣人たちを洗脳したとおぼしき「犯人」は、おそらく今回の獣人騒乱の「犯人」と同一人物だ。やり方が共通している。どんどん雑になっていた手法が、ここに来て一気に大規模になった。だが、獣人を直接洗脳するそのやり方は、「蛇」に潜入していた時や、ハゲ貴族を洗脳した時に比べて、雑なままだ。
だから、きっと「犯人」は同一人物だ。事件の核心という意味での主戦場は、ここではない。
「洗脳は何らかの魔法や呪詛の類だろう。
そうしてみると、獣人たちに異質な魔力を感じる。探知魔法でそれをたどれば……。」
俺の言葉で、アーネスたちの視線が動く。
その先に、この騒乱を高みで見物している人物がいた。
「獣人部隊! 奴を捕らえろ!」
アーネスの命令で、獣人部隊が一斉に動く。
「バレたか。
ふっ……だが、もう遅い。」
暗殺者風の格好だが、まるで気配を隠そうとしていない人物がいた。
その男は不敵に笑うと、パチンと指を鳴らした。
その背後で、巨大な魔方陣が光った。
読者様は読んで下さるだけで素晴らしい。
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ウッホ━━━━ヽ(*'∀`*)ノ━━━━イ