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介護士は協力を取り付ける

読んでくれてありがとうございます。

楽しんでくれると嬉しいです。


インフルから復活したものの、咳が続いています。体力が戻りきらない感じがして、どうもスッキリしません。読者の皆様も、インフルエンザやその他の体調不良にはお気を付け下さい。

「待たせたな。」


 正確な所在が分からないので、遠くから探知魔法を使いながら接近していくと、どうやらすでに戦闘中らしい事が分かった。そして途中からアーネスたちが不利になった事も。

 駆けつけてみると、アーネスは「来た来た、待ってました」という顔をした。通販で買った商品が届いたときみたいな顔だ。なぜだか「来る」ことはすでに承知されていたようだ。

 要するに、この状況で期待されているらしい。なら、やる事は1つだ。敵を殲滅する。

 だが、その敵に疑問がある。犬獣人が馬獣人を襲っているという話だったはずなのに、この黒い魔物はいったい何だ?


「犬獣人じゃないのか?」

「いや、あれが犬獣人だ。変異した。」

「そうか。」


 ただの犬獣人なら木刀でよさそうだと思ったが、この様子なら刀を使った方がよさそうだ。

 抜いて、刀をひっくり返す。

 正眼に構えて、魔法を宿し、全ての犬獣人?に向かって同時に右袈裟で斬りつける。

 驚くべき反応速度で犬獣人?が回避しようと身をひねる。先の先をとってもこの反応。人間なら確実に「反応できないタイミング」だ。それなのに反応できるという事は、反応速度に種族的な違いが出ていると考えていいだろう。

 たとえば、ある種の鳥の行進は、1匹が止まると全体が同時に止まるように見える。だが、そう見えるのは人間の反応速度がその程度しかないからで、実際には前の鳥が止まったのを見て自分も止まるという反応を全体が0.1秒以下で繰り返しているに過ぎない。1羽1羽の反応速度は0.01秒以下だろう。全体が同時に止まったように見えるのだから。

 まあ、この犬獣人?の反応速度は、せいぜい人間の2倍といったところだ。なら問題はない。


「むんっ!」


 袈裟斬りの途中で回剣、右袈裟を左袈裟に切り替える。本当は刀で防御されそうになった時に、その刀を回避して斬りつける技だ。だが、躱そうとする相手を反対側から斬りつけるときにも使える。


「「ギャンッ!」」


 犬獣人?たちが一斉に吹き飛び、地面を転がって、そのまま気絶する。


「峰打ちだ。」


 気絶した犬獣人?たちから、黒いガスが噴き出して、空中に霧散する。同時に黒い魔物の姿が、犬獣人の姿に戻った。

 あれが変異の原因か。もしかすると虎獣人にもできたのかもしれない。そのまえに叩き伏せてしまったわけだが。日曜の朝のなんとかレンジャーみたいに、相手が変身するまで待ってやるなんて、戦術としては何の優位性もない。


「また出番なしっす……。」

「ジャイロぉ……!」


 活躍し損ねた2人がすねている。

 だが護衛対象がいる場合、そこまで気を回していられない。最優先は護衛対象をきちんと護衛することだ。

 ただ、この2人はあとで鍛えてやる必要があるだろう。俺と並んで活躍したいというのなら、それ相応の実力が必要だ。幸いマクセンは犬獣人の血が入っているし、アルテナは俺より魔法が得意だ。それぞれの得意分野を伸ばせば活躍できる場面もあるだろう。……まあ、俺が困るような敵が出れば、という前提だが。

 そもそも、この2人は勝手についてきたのであって、俺が誘ってパーティーを組んだわけではない。便利だから使っているが、活躍できる出番がないなんて事は、俺の責任では……ああ、ダメだな。この思考はダークサイド的だ。

 切り替えよう。


「すまない。アーネスが窮地のようだったから焦ってしまった。」

「む……? そ、そうか……心配かけてすまなかった。」

「しょうがないっすね。」

「……やれやれ。」


 アーネスはちょっと赤くなり、マクセンとアルテナは肩をすくめた。

 警備隊が口笛を吹いてはやしたて、何事かと首をかしげる馬獣人が警備隊から説明を受けて納得していた。


「ともかく、馬獣人の戦士たちには助けられた。ありがとう。」

「なんの。助かったのは、こちらのほうだ。

 我らの特徴をよく生かし、指示も的確だった。素晴らしい采配だ。」

「いやいや……。」


 アーネスは謙遜しているが、探知魔法で知る限り、俺も馬獣人に同意だ。


「そういえばアーネスは、女だけの部隊を作ってみるのが目標だったな。

 馬獣人の協力を得られれば、その実現に近づくのでは?」

「ほう? それは、どういう事だ?」


 馬獣人が食いついてきたので、俺は説明した。

 アーネスは、男しか徴兵しない今の制度に疑問を持っている。冒険者には女も多いのだから、女だって兵士として活躍できるはずだ。つまり単純に「使える人材」を半分使っていない。たしかに女を兵士として使うことには、いくらか不便もある。だが、極端な不便ではないはずだ。冒険者の男女比がそれを証明している。


「そういうわけで、まずは実験的に女だけの部隊を作ろうと思っているそうだ。」

「なるほど。男だけの部隊と比べて、遜色ない働きができれば、徴兵制の改革に乗りだそうというわけだな。」

「うまくいけば、兵力は2倍になる。」

「数年で退役できるのだから、他の業種に大きな影響もない、か。」

「特に獣人の能力をいかせば、もっと凄い部隊になると思うんだが。」

「さもあろう。

 よし、我ら馬獣人は、アーネス隊長が作る女限定部隊に人員を出そう。騎兵および軍馬として使ってくれ。

 さっそく他の獣人にも話をしてみよう。」


 乗り気になった馬獣人。

 急にとんとん拍子で進む話に、発起人のアーネスが一番ぽかんとしている。

読者様は読んで下さるだけで素晴らしい。

ブクマとか評価とかして下さった読者様、ありがとうございます。

作者は小躍りして喜んでおります。

ヽ(゜∀゜)ノ うぇ──────ぃ♪

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