介護士は性欲を持て余す
読んでくれてありがとう(*´▽`*)
楽しんでくれると嬉しいです。
読者様には申し訳ない事ですが、不定期更新になる予定です。
今回はだいぶ駆け足で一気に成長してしまいます。
修行の過程をちゃんと書けないのは、ひとえに作者の力不足であります。申し訳ない。
ちゃんと実力があれば、訓練生と兵士の時代の4年間だけで1章、あるいは訓練生と兵士で2章分作れてしまうのでしょうね。
この世界の「貴族」というものは、爵位と領地を持っている。なぜ持っているかというと、爵位は「平民とは違う」という事を示すための称号であり、領地は「国が戦力を必要としたときに兵士を出すため」である。貴族は領主として領地を運営し、そこに住む領民の中から兵士を募集して、国が求めるときにその兵を率いて参戦する。貴族に領地が与えられているのは、そのためだ。
そして領主の権力というのは、かなり独立性が高い。要するに、領地によって法律の内容やその守らせ方が違ってくるのだ。たとえば俺が住んでいる領地では徴兵制があって15歳の誕生日になった者は練兵場で訓練を受ける。だが、領地によっては、ほとんど誘拐や脅迫のような方法でむりやり兵士を集め、ほとんど訓練もさせずに実戦投入するという場合もある。
俺はかなり幸運な場所に生まれたという事だ。あるいは両親が、そういう場所を選んで住み着いたのかもしれない。
練兵場に入った俺は、他の訓練生たちと一緒に訓練を受けた。
内容は、走り込みや筋トレといった基礎体力の向上、野営や模擬戦といった実践訓練だ。一緒に訓練を受ける訓練生たちのレベルはバラバラである。それぞれ誕生日が違うから訓練を受けている期間も違うし、才能とか体質とかもあるので、使えるレベルになったと判断された人から、訓練生を卒業して兵士になる。
聞けば、平均1年で卒業だが、3年たっても卒業できない場合は、そのまま兵士にされる。兵士になりたくないからといって訓練をサボって卒業レベルにならないでいると、そのまま兵士にされて死亡率が高まるというわけだ。これはサボれない。
地球の学校みたいに、みんな一斉に訓練開始という制度になっていないのは、訓練内容が段階的になっていないからだ。最初から卒業レベルの訓練内容を課されて、新人は当然ついていけないが、やっているうちに次第にできるようになる、という教育方法なのだ。
「なかなか鍛えているようだな。」
初日、教官が俺をそう評価した。
たしかに父親に鍛えられて基礎体力はついた。死役所での訓練もあって、模擬戦も得意だ。
「でもお前、野営は全然ダメだな。」
食糧や食器などを現地調達する訓練だ。
こればかりは、体力があっても知識がなければどうしようもない。獣を狩るために野山を駆けまわり、父を相手に対人戦の訓練もしてきたが、山で遭難した状態のまま生き延びる訓練はしてこなかった。獣を狩ることはできても、食べられる山菜を見分けることはできず、木を削って食器を作るなんて全くの素人だ。木の枝と葉っぱでテントを作るなんて事も、やった事がない。
そんなわけで、俺の卒業は普通に1年かかった。
そのあと兵士として3年過ごすことになった。
訓練生で3年過ごした奴なら、18歳で卒業になるから、そこから3年で21歳。徴兵制は実家がなにをやっていても関係なく兵士にならなくてはいけないので、たとえば商人の息子とかは兵役を終えたら実家で商売を覚えなくてはならない。職人の息子は、兵役を終えてから技術を学ばなくてはならない。そういった事から、遅くても21歳で実家に戻れるようにしている。
俺の場合は16歳で卒業して、19歳まで兵士をやるわけだ。ごく典型的である。
徴兵期間が終わっても軍に残りたいという人は、そのまま兵士を続ける事ができる。だが、俺は兵士を辞めて冒険者になる事にした。実家が農業を始めたのは母が妊娠してから。つまり両親は冒険者だった時期のほうが長い。しかも現役時代の話を聞いて育ち、この異世界のファンタジーな部分を見てみたいという欲求は高まっている。つまり、俺が実家に戻るというのは、冒険者になる事だと言っても過言ではない。……過言か? いや、でも過言だったとしても、俺は冒険者になる。そう決めた。だからなる。
……。
…………。
……………………すまん、嘘ついた。
正直な話、一番の理由は性欲だ。
兵士は男ばかりで、女は1人もいない。この4年間、俺は女を見ることも会話することも触れることもなかった。しかも肉体は今まさに人生で最も性欲を持て余す時期だ。
兵士を続けても実家に戻って農業をやっても、どちらも禁欲生活になる。無理だ。女を抱きたい。なんだかもう、誰でもいいから襲いかかりたいという衝動さえ湧いてくる。しかし犯罪者にはなりたくない。
だが、このままでは危険だ。マズローの欲求階層説において「性欲」は「生理的欲求」の1つとされる。安全欲求より下の階層なのだ。性欲を満たさない限り、安全欲求が湧いてこないのである。つまり、厳罰を受けるリスクを承知でも性欲を満たす事を優先してしまうという事だ。もう少し我慢しなければならない羽目になったら、俺はもう性犯罪者になってしまうかもしれない。
じゃあ、どうするか?
風俗だろう。世界最古の職業の1つであり、性犯罪を防ぐためには警察や刑罰よりも役立つ素晴らしいお仕事。それが風俗だ。もはや警察官より風俗嬢のほうが偉大だと言っても過言ではあるまい。ちなみに、この世界に「警察」という組織はない。警備隊が治安維持を担っている。
無料で使える警察と違って、風俗は有料だが、兵士として稼いだカネが、あまり使う機会もなかったので残っている。何しろ人里離れた場所で、来るかどうかも分からない敵を警戒する仕事だ。基地というより野営地といったほうが正しい陣地で、来る日も来る日も見張りに立つ毎日だった。どうやら最近、隣国との関係があまり良くないらしい。
ともかく、兵士を続けてもそういう環境に置かれるので、街で女を買う時間はない。しかし実家に戻っても、あんな田舎村には風俗店がない。村娘を口説いて抱く手もあるが、そんなに時間を掛けている余裕がない。
そういうわけで風俗だ。
とりあえず3軒ハシゴしてみたが、訓練生時代から都合4年もため込んだ性欲は1回や2回では満足できなかった。実家暮らしでは女を買いに街まで行くのは遠すぎる。やはり街に住まなくては。それにはカネだ。収入が必要だ。しかし、戦うことしか学んでいない。介護士として働くのは無理だ。この世界には介護施設がない。自分で作る手もあるが、企業経営なんて成功率は低い。俺は介護士として働いた経験はあるが、施設を運営した経験はないのだ。
じゃあ、どうするか?
冒険者だ。それしかない。
読者様は読んで下さるだけで素晴らしい!
( ・`д・´)キリッ
だというのに、わざわざ感想まで書いてくださった方がいらっしゃる。
なんという素晴らしい読者様なのでしょうか。。・゜・(*/□\*)・゜・。ウワァーンもしかして神ですか……?
好き勝手に書いているのに、そこへ新しい視点・意見を頂けて、感謝感激しております。
評価とかブクマとかしてくれると、作者が喜びます。
(σ*´∀`)