介護士は森を目指す
読んでくれてありがとうございます。
楽しんでくれると嬉しいです。
頭痛は治まってきましたが、節々の痛みやらダルさやらが、まだつらいです。
そんなわけで、マクセンが選んだ依頼を受けてみることにした。
依頼主は人間の商人で、依頼品はすでに梱包済み。届け先は熊獣人の村。配達依頼だ。
「熊獣人は森の中に村を作って住んでるっす。
主な産業は養蜂っすね。蜂蜜作りっす。」
「体が黄色いのか? 赤いシャツとか着てるのか?」
「は?」
「いや、何でもない。」
違うと知っていても、確認しておかなくてはならない事だってある。
「で、危険地帯は?」
今回はそこを通るのが目的だ。パワードスーツをテストしなくては。
「森そのものっすね。
熊獣人はパワーがあるんで平気で生活してるっすけど、人間にとっては凶悪な魔物の巣窟っす。」
なるほど。村は森の中。その森が危険。つまり不可避。素晴らしい。テストするための口実は完璧だ。
人によっては、開発中の新装備なんて不確実なものは危険だからやめておけというだろう。ましてや危険地帯への突入など。せめて安全な場所で試して確実性を保障できるようになってからにしろと。
まあ、間違ってはいない。
だが急激に成長するためには、できそうもない目標を立てるのがいい。どうやって実現していいのかさっぱり分からないような壮大な目標を立てるのがいい。壮大というのは、つまり大勢に影響が出るという事だ。それが「実現したらいいな」と思ってくれる人が、協力してくれる。結果、実現する。
小さい目標だと、応援してくれるだけで協力してくれない事が多い。なぜなら、「自分には関係ない」という内容になってしまうからだ。
介護士的に言えば、立てない老人が歩こうとするのを「危ないから座ってて」というのではなく「よし、歩こう」と手伝う。なぜなら、できるようになりたい事があるのなら、それ自体を実行するのが近道だからだ。
歩きたいなら歩くのが近道である。別に理学療法士を嘗めているわけではないし、筋力訓練や関節可動域訓練を無駄だと言うつもりもない。ただ、たとえばピアノを演奏できるようになりたい人がいたとすると、その人は「手の指の筋力や可動域について訓練する」という段階から始めるのだろうか? たぶん多くの人が、とりあえず弾いてみるという段階から始めるだろう。鍵盤のどこにどの指を置いて構えるかというのは、後から覚える技術だ。離れた部分を押せるように関節可動域を広くして手を大きく開くように訓練するのも、後から覚えることだ。そして介護士も、未経験から始めて、まずやってみる事から始めた。そのうち上達したのだ。まずやって、やり続ける事が重要だ。
読者様は読んで下さるだけで素晴らしい。
ブクマとか評価とかして下さった読者様、ありがとうございます。
作者は小躍りして喜んでおります。
ヤッホー\(☆∀☆)/