介護士は相手を承認する
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「素晴らしい! 君たちは、本当に忠義者だ。」
命令を受けて出撃した先でのトラブルなのだから、本当なら救援が差し向けられてしかるべきだ。
それが「なかったこと」にされて、存在そのものを否定され、討伐隊を差し向けられた。
これが裏切りでなくて何だと言うのか。これを「捨てられた」と表現する以外にどう言えばいいのか。
「だというのに、君たちは、なおも公爵の言葉に従おうとしている。あるいは討たれて死ぬのが役割だと理解した者もいただろうに、君たちはより困難な道を選んだ。実に見事な忠誠心だ。組織を拡大し、テロ行為を繰り返し、完璧に無法者を演じて見せたな。驚くべき意識の高さだ。このような兵士がいるのなら、ゴーファ公爵も、この国も、安泰だろう。
問題は、君たちが優秀すぎたことだな。ちょっと成果を出しすぎている。」
全員がぽかんとしていた。
ゴーファ公爵も、アーネスも、マクセンも、アルテナも、そして「蛇」も。
まあ、普通に考えたら、テロ集団を擁護する理由にはならないと判断するだろう。いくつもの村を制圧して、少年兵の育成にも手を染めていた。どう考えても悪だ。情状酌量の余地はあっても、報復を正当化する理由にならないばかりか、そもそも「報復」の範囲を超えている。ゴーファ公爵に恨みを持ったのなら、ゴーファ公爵に対して晴らせばいいのだ。無関係の他人を巻き込んではならない。
だが、この問題の根本はそこではない。それは単なる事実、出来事だ。行動した結果だ。そして行動とは、心によって決定される。だからこの問題の根本は心なのだ。
承認欲求という器を持ってゴーファ公爵の前に並び、承認の黄金水を注いで貰っていた彼らは、ある日突然その器をひっくり返された。彼らはその器を拾い上げ、空っぽになった器に我慢ならなかった。失われた黄金水を取り戻すために、泥水になってしまった覆水をかき集めようとしていたのだ。
だからこそ、彼らはゴーファ公爵を誘拐した。殺す事ができなかった。殺してしまったら、もうゴーファ公爵からは黄金水どころか泥水さえも貰えないから。
「君たちは軍人の鑑だ。君たちこそが英雄だ。」
肩を叩いて「蛇」を承認してやると、彼はぽかんとした顔のまま、ぽつりとつぶやいた。
「あんた……いったい……?」
俺はうなずき、自分が転生者である事を明かした。
そして、過去の体験を語った。毎日どれだけ頑張っても「いやだ」「やめろ」「人殺し」などと言われて心が折れたときの話を。
「あんたも……そうなのか……。」
「この国は法治国家だ。テロ行為は処罰されなくてはならない。
だが、もし君たちが処刑を免れたなら、俺の所へ来い。直接ゴーファ公爵の下へ戻るのは体裁が悪いだろう。だが、君たちほどの英雄を放っておくのは、国家の損失だ。」
「…………。」
「蛇」はうつむき、そして顔を上げた。
「俺たちの事を、そんな風に言ってくれるのか。
もし命があれば、あんたに預けよう。」
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